都内から中央道を1時間半、山々を越えた先に笛吹市はある。
気候を生かした果物生産が盛んであり、中でも桃は自治体別収穫量全国1位を誇る。
一帯に広がる桃栽培密集地は“国内随一の桃源郷”と呼ばれており、毎年4月には一面の桃の花を眺めることができる。
この土地でかれこれ60年以上、桃とぶどうを育てている田中農園の田中征吉さん・朝子さんご夫妻が今回の案内人。
NHKの紀行ドラマでも取り上げられたこの景色だが、実はひとつの桃、ひと房のぶどうを出荷するのにも大変な工程を経ている。
例えばぶどうであれば、雨を避けるためひと房ごとに傘をかけ、粒同士が潰し合わないように摘粒をする。桃には日光を浴びてもらうために重たいシルバーのシートを敷き詰めていく。こうした作業はほんの一部で、60年間毎日汗をかきながら作業を行っている。
普段、何も考えずに食べている現状があることに対し「一つひとつ真心を込めて育てていることを、もっと多くの方に知って欲しい」と征吉さん。
SDGsが叫ばれる昨今、こうした人々の汗とこだわりがあるからこそおいしい果物が食べられている事実を、より広く伝えるべきかもしれない。