木崎駅(群馬県太田市)の駅舎を見たときにこのたたずまいが気に入って、この物語はこの駅から始めようって話してたんです。それから、金山のケヤキの木。この大きな木と石段を入れて撮れたらとってもいいだろうな、もっと言えば晴れた中で撮りたいなって思って。たまたま撮影の日に晴れたのでよかったです。この大きな木も、僕が下関(山口県)にいた頃いつも遊んでいた神社の木を思い出しました。ここで初恋の二人がコソコソしゃべるのはなんか素敵だなと思って、とにかくこのシーンだけは晴れてくれって祈っていました。
はい。前日リハーサルの上で、本番は実際の祭りに「せーの!」で俳優を入れて撮りました。山車が電線をかわす度に揺れて潰れそうになったり、人が大勢いたのでリスクはありましたが、おかげで臨場感のあるシーンを撮ることができました。助監督の頃に『北の国から』で純と蛍のシーンを、富良野のへそ祭りで撮っていたので今回もできると思いました。
また、ねぶた祭りの期間中どちらかは必ず雨が降ると言われていたのですが、「絶対降らない」と言った井上順さんが現場にいる間は本当に降らなかったんです。でも井上さんの出番が全部終わったとたんに雷雨になって(苦笑)。そこから2時間くらい、桐山君のライブシーンを撮るために4~50名のエキストラの皆さんがテントで立ったまま天気待ちしてくれて。道路封鎖解除の刻限まで残りわずかというギリギリの状況で、無事に撮影が終了しました。
去年の暮れ、市長やYEG(太田商工会議所青年部)など主要な方たちに一番最初に見てもらった時、手ごたえがありました。いきなり社長さんが600枚程チケットを買ってくれたり、教育長さんが太田市の全中学生7100人にみせると言って実現してくれたり。その中学生がツイッターで「そこそこいい映画だった」とか言ってて(笑)。教育長さんに先日お礼を言いに行ったんですが、その方はもうおじいちゃんなのに全中学生に授業として映画を観させるという感性がすごいですよね。それをOKした市長さんも、なぜ学校で観させないのかという意見に対して、「今は映画館にもなかなか足を運びたがらないから、これだけ音が良いスクリーンで観るという体験を共有させたい」って仰ったんです。生徒のことをとても考えていますよね。
北九州FCは専任スタッフのおかげで今一番ロケの自由がきく場所だと思います。基本的にFCは役所だから3年単位で部署が変わるけど、北九州は専任です。昔、映画でルイジアナ州に行ったんですが、ルイジアナ州のFCは専任2名によるロケ受入れ体制が整っていました。すごかったのが、日本映画でこの規模で映画をつくったらガソリンや宿泊、食事でいくら落ちるか全部数字に出して、だったらこのくらいの協力するよって提案してくれたこと。やっぱり映画を誘致するだけじゃなく専任の人を育てる必要があると思います。
一方で、撮る側も「撮ってやってるんだぞ」じゃなくて「撮らせていただいてます」という気持ちでいかないとうまくいかないと思います。僕はいつも人の力に感謝しているし、大事なのは人の繋がりです。
淡々と粛々と進む(笑)。リズムなんですよ。僕はモニターの所に行かずずっとカメラの横にいるので、カットかけて僕がOKって言ったらすぐ次へ。技術的なチェックなんかは昼休みにでもしておいて欲しい。ライトの加減とか技術的なこと、フレーミングはカメラマンや照明の親分の仕事です。セリフは僕が聴いてOK出してて、もし音の問題があったら録音部が「今のとこセリフ、オンリーだけ録らせて」って手をあげて「はいじゃあやってください」という感じ。リズムが大事だから淡々と粛々とテンポよく進みます。
その瞬間に何が大事かを見極められる人。たとえば僕のチームで撮影するとき、ひょっとしたら昼飯は1~2回は抜きかもしれない。でも俺たちはご飯食べにロケ地に行っているわけじゃなくて、1食2食が抜けても死なないから、そこで1番いい状況で1番いい画を撮るという覚悟だけは欲しい。それはカメラマンだけじゃなく、照明役の1番下のケーブルを運ぶ助手さんにも同じ意識がないと良い画は撮れない。
何かの映画の時に、大手映画会社のプロデューサーが「うちのスタッフは必ず1時間休憩して、飯を食べるんだ」って言ってて。その時僕のチームの美術監督が「だったらお前一人で食ってろよ、俺たち飯食いに撮影所来てねえんだよ、いい画撮るんだよ!」って怒鳴ったんです。その通りだと思いました。1食抜いたくらいで死ぬ人はいなくて少なくともそのためにアンパンをポケットに1つ入れておこうぜくらいの意識でやっている。何のためにそこに来て何を撮るかという覚悟だけは、俳優ふくめ全スタッフが同じ意識を持っていてほしいなと思います。
木崎駅(群馬県太田市)の駅舎を見たときにこのたたずまいが気に入って、この物語はこの駅から始めようって話してたんです。それから、金山のケヤキの木。この大きな木と石段を入れて撮れたらとってもいいだろうな、もっと言えば晴れた中で撮りたいなって思って。たまたま撮影の日に晴れたのでよかったです。この大きな木も、僕が下関(山口県)にいた頃いつも遊んでいた神社の木を思い出しました。ここで初恋の二人がコソコソしゃべるのはなんか素敵だなと思って、とにかくこのシーンだけは晴れてくれって祈っていました。
はい。前日リハーサルの上で、本番は実際の祭りに「せーの!」で俳優を入れて撮りました。山車が電線をかわす度に揺れて潰れそうになったり、人が大勢いたのでリスクはありましたが、おかげで臨場感のあるシーンを撮ることができました。助監督の頃に『北の国から』で純と蛍のシーンを、富良野のへそ祭りで撮っていたので今回もできると思いました。
また、ねぶた祭りの期間中どちらかは必ず雨が降ると言われていたのですが、「絶対降らない」と言った井上順さんが現場にいる間は本当に降らなかったんです。でも井上さんの出番が全部終わったとたんに雷雨になって(苦笑)。そこから2時間くらい、桐山君のライブシーンを撮るために4~50名のエキストラの皆さんがテントで立ったまま天気待ちしてくれて。道路封鎖解除の刻限まで残りわずかというギリギリの状況で、無事に撮影が終了しました。
去年の暮れ、市長やYEG(太田商工会議所青年部)など主要な方たちに一番最初に見てもらった時、手ごたえがありました。いきなり社長さんが600枚程チケットを買ってくれたり、教育長さんが太田市の全中学生7100人にみせると言って実現してくれたり。その中学生がツイッターで「そこそこいい映画だった」とか言ってて(笑)。教育長さんに先日お礼を言いに行ったんですが、その方はもうおじいちゃんなのに全中学生に授業として映画を観させるという感性がすごいですよね。それをOKした市長さんも、なぜ学校で観させないのかという意見に対して、「今は映画館にもなかなか足を運びたがらないから、これだけ音が良いスクリーンで観るという体験を共有させたい」って仰ったんです。生徒のことをとても考えていますよね。
北九州FCは専任スタッフのおかげで今一番ロケの自由がきく場所だと思います。基本的にFCは役所だから3年単位で部署が変わるけど、北九州は専任です。昔、映画でルイジアナ州に行ったんですが、ルイジアナ州のFCは専任2名によるロケ受入れ体制が整っていました。すごかったのが、日本映画でこの規模で映画をつくったらガソリンや宿泊、食事でいくら落ちるか全部数字に出して、だったらこのくらいの協力するよって提案してくれたこと。やっぱり映画を誘致するだけじゃなく専任の人を育てる必要があると思います。
一方で、撮る側も「撮ってやってるんだぞ」じゃなくて「撮らせていただいてます」という気持ちでいかないとうまくいかないと思います。僕はいつも人の力に感謝しているし、大事なのは人の繋がりです。
淡々と粛々と進む(笑)。リズムなんですよ。僕はモニターの所に行かずずっとカメラの横にいるので、カットかけて僕がOKって言ったらすぐ次へ。技術的なチェックなんかは昼休みにでもしておいて欲しい。ライトの加減とか技術的なこと、フレーミングはカメラマンや照明の親分の仕事です。セリフは僕が聴いてOK出してて、もし音の問題があったら録音部が「今のとこセリフ、オンリーだけ録らせて」って手をあげて「はいじゃあやってください」という感じ。リズムが大事だから淡々と粛々とテンポよく進みます。
その瞬間に何が大事かを見極められる人。たとえば僕のチームで撮影するとき、ひょっとしたら昼飯は1~2回は抜きかもしれない。でも俺たちはご飯食べにロケ地に行っているわけじゃなくて、1食2食が抜けても死なないから、そこで1番いい状況で1番いい画を撮るという覚悟だけは欲しい。それはカメラマンだけじゃなく、照明役の1番下のケーブルを運ぶ助手さんにも同じ意識がないと良い画は撮れない。
何かの映画の時に、大手映画会社のプロデューサーが「うちのスタッフは必ず1時間休憩して、飯を食べるんだ」って言ってて。その時僕のチームの美術監督が「だったらお前一人で食ってろよ、俺たち飯食いに撮影所来てねえんだよ、いい画撮るんだよ!」って怒鳴ったんです。その通りだと思いました。1食抜いたくらいで死ぬ人はいなくて少なくともそのためにアンパンをポケットに1つ入れておこうぜくらいの意識でやっている。何のためにそこに来て何を撮るかという覚悟だけは、俳優ふくめ全スタッフが同じ意識を持っていてほしいなと思います。
(STORY)
ミュージシャンをめざし、勘当同然で上京した佳幸(桐山漣)。10年たったある日、父親からある知らせを受けた彼は、ギターと共に複雑な思いを抱えて帰郷する。そこには、昔と変わらず陽気な母・明子(宮崎美子)、高校生になった妹・幸恵(安田聖愛)、厳格さが影を潜めた父・年男(升毅)、小学校の教師となった同級生・唯香(杉野希妃)たちの姿があった。生まれ育った街で故郷の人々の思いに触れた佳幸は、自分自身、そして10年間完成させられなかった曲に向き合っていく…。
監督:佐々部清
脚本:橋本剛実、佐々部清
出演:桐山漣、升毅、杉野希妃、安田聖愛、
伊嵜充則、井上順、宮崎美子 ほか
7月11日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
©「群青色の、とおり道」製作委員会、太田市
佐々部 清(ささべ・きよし)
1958年、山口県下関市生まれ。フリーの助監督を経て、2002年『陽はまた昇る』で監督デビュー。『チルソクの夏』(03)、『半落ち』(04)で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。その他の作品に『四日間の奇蹟』(05)、『出口のない海』(06)、『夕凪の街 桜の国』(07)、『三本木農業高校、馬術部』(08)、『日輪の遺産』(11)、『ツレがウツになりまして。』(11)、『六月燈の三姉妹』(14)など多数。
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