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プロデューサーインタビュー

2020.10.13

映画を観た方々が少しでも前向きに「リスタート」できるようになればと思います/ 映画『リスタートはただいまのあとで』の上野境介プロデューサーに『地域映画ならでは』を聞く

プロデューサー上野境介

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  • ――映画『いしゃ先生』『トモダチゲーム 劇場版』『フィルムに宿る魂』など、多く映画作品のプロデュースを務める上野Pに「作品が生まれた経緯」「ロケ地に求める事」「撮影の裏側」を語って頂きました。
    ---どのような経緯で作品が生まれのですか?その中で、映画を見る人に伝えたい事などもお伺いできればと思います。

     井上監督がホリプロさんのプロデューサーの方で『植物図鑑』や『パーフェクトワールド』のプロデュースをされた方でして、その方が監督をしたい想いと理由などを聞き、その話の中で「やりましょう」となりました。題材と主演の決定は、監督が「この原作で」「このキャスト」で最初から決めて、製作に入りました。監督はホリプロスカウトキャラバンで審査員を行っていて、今回の作品の主演の古川さんはその時「審査員特別賞」を受賞して。その頃からの付き合いで、「監督をやる時にはぜひ古川さんでやりたい」と。監督の想いを凄く感じました。

    作品に関しては、BLを題材にしたものではあるのですが、この作品を通じて「人間愛」を感じていただければと思います。癒しをテーマにしているので、観た人たちが、この時期だからこそという訳ではないのですが少しでも前向きに「リスタート」できるようになればと言う想いがあります。

    ――撮影の際、こだわったことは何ですか?

     ロケ地で言うと「田中商店」です。実は田中商店での撮影場所は、元々家具がなく、なにもない店でした。ここで撮影するとなった時に、千曲市の家具店の方に協力いただき外部から家具を持ってきて配置・装飾し撮影しました。その際の進め方もそうですが、地元の千曲ロケーションサービスの窓口の方など多くの協力があったからこそ出来た撮影だったと思います。地元の方と仲良く、という事も大切にしました。

  • ――今作品のロケ地・ネタの探し方について経緯を教えてください。

      千曲市に関していうと、もともと弊社の社員が地域活性プランニングの運営する「ロケツーリズム協議会」「ふるさと甲子園」に一昨年くらい前から出席していて、その参加自治体の中に千曲市が参加していてロケの受入体制や宿泊などお話を聞いたのがきっかけです。それから千曲市でのロケが『リスタート』の前の作品で行われました。その作品で僕は、1日しか滞在できなかったのですが、非常に町、土地に魅力を感じ、是非、今度も千曲市で撮ろうとなりました。

    またお恥ずかしい話ですが、予算等の都合上、今回は少ないスタッフで団結してやろう、という思いがあり、それだけにスタッフが楽しく撮影できる環境づくりができる街を探しておりました。そんな想いの中、協力をしてくれるのは何処だろうと考えた時、前作でもお世話になった千曲市が候補にあがり、実際、宿泊などのコスト面でも相談に乗ってくれました。ホテルの人も撮影隊に慣れているようで「ここは機材部屋です」等、スムーズに場所の案内をしてくれたので安心して利用でき、感謝です。上田市に関しては、「上田電鉄」と千曲市では撮影できない場所を中心に撮影を行い、長野県のロケ対応の横の連携によりスムーズに撮影でき、とても助かりました。

    ――どのようなスケジュールで撮影を行ったのですか?

     企画・構成は去年1月から動いています。当初の予定で言うと、本来は昨年の11月にロケを予定していましたが、台風の影響で千曲川が決壊し被害に遭い千曲市でのロケが叶わず。それから、本当に千曲市でロケを行って良いのか悩みました。しかし、スタッフ一同やはり千曲市で撮影したいということで決定しました。今年1月にロケハン・撮影を済ましてしまい、6月まで編集を行っていました。無事に公開でき、本当によかったです。

  • ――印象深いロケ地のシーンはどのようなシーンですか?

      この企画は去年の1月に監督に初めてお会いし、11月にロケハン・12月から撮影開始という予定でいましたが昨年の11月の台風による大雨で千曲川が氾濫し、撮影の協力をお願いするような状況ではなくなりました。実際、私たちが「そんな時に撮影に行って良いのか」という思いもあり、ロケ場所の変更も考えましたが、「来てくれれば嬉しいです」と言ってくれたこともあり、時期を少しずらしはしましたが撮影することになりました。

    当初、11月に撮ろうと思っていた「リンゴ園」は季節が変わって撮れなくなりましたが、それでも果樹園の撮影をやりたいという話の中でリンゴ園に変わる物を探しました。そんな中、「あんずの里アグリパーク」が見つかり、みかんもイチゴもとれて、ビニールハウスもあります、と言われて実際見に行ったのですがとても綺麗で。これは絵になる、と思い決定しました。

    ――撮影中、キャストの皆さんの裏話などはありますか?

     雰囲気は良かったです。和気藹々としてました。裏話で言うと、スタッフは千曲市の温泉・宿に満足していました。空き時間を有効に使っていました。ロケ地になった「牛若」というお店で、スタッフ、キャスト、市役所の皆さんと中打上げなども行い、一体感があった現場だったと思います。

    キャストは竜星さんが地元に溶け込もう、その空気感を感じられるという思いもがあったようで、一人でふらっとご飯を食べに行ったりしていましたね。古川さんはずっとお芝居と向き合いお部屋でプランを考えたり、監督と夜に話をしたりしていました。

  • ――撮影中、大変だった事はなんですか?

    撮影時、大変だった事は「寒さ対応」ですね。寒さとの戦いでした。当たり前ですが、スタッフがカバーするのが大変そうでしたが、これも千曲市の方々の協力もあり、温かい食事を差し入れしていただいたりなど、非常に恵まれた環境であつたように思います。それ以外は本当に順調でした。それは千曲市の方々のロケの対応もあってですね。私たちの求めるものに応えてくれて、うまく連携できたと思います。

    ――キャスティングですが、古川さん、竜星さんになった経緯をお伺いしても良いですか?

     古川さんも竜星さんも監督の思いがあり、選びました。それを受けての企画でもあったので。監督は竜星さんに対しては演出らしい演出はしていなくて、髪を下ろして欲しい、ぐらいしか言っていませんでした。(笑)信用されていたんだと思います。古川さんと監督は芝居のプランをずっと話していました。昔から知っているからこその会話があるのでしょうね。佐野さん演じる上田役の場合、「癖のある役者」は誰だろうと探している時に、ポイントで光るような役が良いと思ったので、以前作品を一緒に制作したことのある佐野さんを監督に推薦しました。監督にも非常に気に入っていただけて良かったです。

  • ――今後、地域での撮影に求めることはありますか。

     基本的にご当地で撮ることは幸せなことが多いのですが、移動と宿泊の部分は悩ましいところです。そこが少しでも安くなると嬉しいです。うちは配給もやるので、「撮影する場所、地域に映画館がある」というのがコンセプトでやっていたのですが、千曲市で一番悩んだのは、映画館がないことでした。どうしようかなと思いました。ただ、上田市には映画館があります。千曲市の方は長野県に見に行くとも言っていたので、そこの映画館に話せば地元の映画館のような感じになるかな、と。作ったものを地元の方々に見に行く環境がないと、「あの映画どうなったの」ということになりかねませんので。ホール上映もありますが、どうせなら映画館で上映したいなと。

    ――映像制作者を目指す方々へ向けてひと言お願いします。

     映像制作をやっていて、やっていたら、辛いことがあっても続けていたら良い事あるなと日々思います。私はもとともと異業種から来ましたが、映画がやりたくて、すったもんだあり(笑)、会社を作って今があります。この業界は大変で迷うこともあると思うのですが、やらないよりはやったほうが良いです。辛くてやめる方もたくさんいるのですが、続けていれば絶対に良いことがあると思うので、まずは飛び込む。諦めない。そうすれば、良い出会いもありますので。

INFORMATION

映画『リスタートはただいまのあとで』

映画『リスタートはただいまのあとで』

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場で上司に人間性を否定され、会社を辞めて10年ぶりに田舎に戻った光臣(古川雄輝)は、近所で農園を営んでいる熊井のじいちゃんの養子・大和(竜星 涼)と出会う。大和のことを「馴れ馴れしくてウザい奴」と思っていた光臣だが、父親に実家の家具店を継ぐ事を拒絶され、農園の手伝いをはじめると、大和と過ごす時間が増えていく。ふさぎこんでいる光臣を励まし、心の痛みに寄り添う優しい大和。次第に、自分の弱さも受け入れてくれる大切な存在に変わっていく。光臣は大和へ想いを伝えることはできるのか?

そして、親との確執を乗り越えて、自分の夢と向き合う事ができるのか?

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【作品情報】

2020年9月4日(金)公開

出演者:古川雄輝、竜星涼、村上絵梨、佐野岳、中島ひろ子、螢、雪次朗、甲本雅裕

監督:井上竜太

脚本:佐藤久美子 

原作:ココミ著者「リスタートはただいまのあとで」(プランタン出版)

企画:ホリプロ 制作プロダクション:キャンター/ホリプロ 宣伝:とこしえ

製作:映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

                                                                                   【INTERVIEW】

プロデューサー

上野境介さん

 1976年大阪生。制作/宣伝/配給を一貫して行える会社を目指し、2012年、株式会社キャンターを設立。地域医療に尽力した実在の女医・志田周子さんの半生を全編山形県ロケで描いた映画『いしゃ先生』(2015)をはじめ、近年では『トモダチゲーム』シリーズ(2017)、「ダウト‐噓つきオトコは誰‐」(2019)、『テイクオーバーゾーン』(2020)等数多くの作品を手掛ける。直近作は11月27日公開のホラー映画『真・鮫島事件』が待機中。

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