映画『孤狼の血』(18)、『犬鳴村』(19)を手がけた紀伊宗之プロデューサーが「作品が生まれた経緯」や三池監督作品ならではの「ロケの施行方法」、さらに主演二人をキャスティングした意図とは? 常に「こだわり」を持ちながら進む、紀伊プロデューサーにインタビューし探る。
映画『初恋』という作品で心がけたことはなんですか?
僕は東映のプロデューサーで、東映がやる理由と今やる理由が自分の中で「腹落ち」したら作ろうと思っています。東映は①実録モノのヤクザ映画の時代②Vシネマの時代とアウトロー映画が輝いていた2つの時代があって、三池監督はVシネマの時代にとてつもないオリジナルのエネルギーを発散していた。東映・東映ビデオとお世話になっているのですが、その中に傑作が沢山あって。日本ではVシネマで誰も知らないのにカンヌに行ったり、世界中に名前が出て行く。そういう勢いがあった時代の三池監督の映画をやりたいな、というのがありました。三池監督のところに行って「映画やりましょう」という話をさせていただいたのですが、「この原作をやりましょう」とかいうのは全くなく、やはりオリジナルで、とお願いし物語を作っていきました。勢いのある企画は進むのが早いので、2018年の4月ぐらいから始めたのですが、半年ぐらいで撮影に入れました。
――企画はどういう場で生まれていくのですか?
どういうものを撮れば良いのか、というのはある意味「寝ても覚めても」ですね。そんな中で「これはいけるのではないか?」という風に、最後は勘ですね。その直感にたどり着くまでに、ずっと色々なことを雑多に考えているということだと思います。一番熱烈にロケに来て欲しいと思っている場所があったら教えてください、と言って「こういう場所がやりたいと言っています」「資金も援助すると言っています」とか言ってくれたらそこから考えることもあるし。「じゃあどういう物語をその地域でやったらいいのかな」と。