――映画『ヒメノア~ル』(16)、『犬猿』(18)、『愛しのアイリーン』(18)を手がけた吉田恵輔監督に「作品が生まれた経緯」や「こだわった点や、苦労した点」、さらに”ロケ地”へのこだわりに関して語っていただきました。――『BLUE/ブルー』が生まれた経緯を教えてください。
僕自身が中学校の時から、部活をやらずにボクシングを習っていました。それから引っ越す度に変わりましたが、今もまだやっていて、五ヶ所ぐらい渡り歩いてきました。
その中でいろいろな人と出会いと別れがありました。入ってくる者もいれば去っていく者もいて、かつ負ける者もいました。その中に、名も無きボクサーたちがたくさんいるのです。しかし、その人たちの努力や流した汗へ花束を渡すような作品が一個あっても良いのではないかと思い、筆をとりました。チャンピオンになった人の映画はあるけど、なれなかった人たちへの映画を一つ作りたいと思ったのが始まりです。
――実際に経験されて、実話も入っているのかなと思っているのですがどうでしょうか?
自分自身が出会った人たちの集合体といった感じです。自分たちが出会って、好きだった人とか。ボクシングが好きだったけど結果を出せなかった人に「俺はこう思っていましたよ」と言ってあげたいという感覚です。実際にあった話もたくさんあります。
ネタ自体は昔から、ボクシングをやっているので持っていたのですが、「やろう」と思っていたのはもっと昔です。役者の稽古する時間もあるし、ボクシングが題材の作品は[選出]しづらいのです。ボクシング映画はヒットで言うアタリ・ハズレが難しく、お金も時間もかかります。実際、時間がかかりました。