―――――映画『花戦さ』(17)、『影踏み』(19)を手がけた篠原哲雄監督に「作品が生まれた経緯」や「撮影のこだわり」、さらに「キャスティング秘話」等 作品に対する想いをインタビューし探る。---映画『癒しのこころみ~自分を好きになる方法~』はどういった経緯でできたのですか?
リラクゼーションという仕事は人の身体の施術や解しを行っていくわけですが、その仕事の意味や価値観を映画で問いかけていきたいというところから施術を行うセラピストを主人公にした映画の企画が持ち上がり、賛同したプロデューサーから僕は話をいただきました。セラピストは「施術を受けている人の精神面を知りながら、その人に最も良い施術をしていく」のですが、セラピスト自身も「仕事を通して幸せを感じていく」という循環があり、人に癒しを与える仕事とは自分自身への癒しでもあるということになります。「人を幸せにしたい」と思って仕事についた人たちの気持ち・仕事の役割を取材を通して知り、セラピストという職業は心身共に癒されたい現代人に必要な職業ではないかと強く感じ、映画化へ動き出しました。
――――実在する題材を元に作品を作られているということで、企画前・企画後で新たに知ったという事などありますか?
普段、自分も肩こりや腰に違和感を感じ辛い時は施術を受けにいくわけですが、室内で施術をするだけでは必ずしも癒されるわけではない、ということを知りました。今回お世話になった、リラクゼーションの会社のチームが、「富士山静養園」を利用して新人研修をやっているそうです。実は、あの富士の山麓は無医村なのです。村の人は、「富士山静養園」の園主の方が開設した診療所に通っています。西洋医学だけではなく、自然治癒で治していく統合医療を行う病院の施設で、日本でも珍しい形態だそうです。新しい試みで、医療そのもののあり方が変わってきているのだと思います。