脚本家とかプロデューサーとしては、脚本の意味さえ通ればまず最低限はクリアなのですが、
もうひとつ、監督が演技をさらに良くしたりとか撮り方を面白くするためのロケーション選びがあります。
例えば脚本のト書きに「公園」と書いてあるとします。
「会話する2人、男女がベンチに座っている」と書いてあれば、
これは公園を選んで来てベンチでやればいいのですが、
ただやっぱり監督としては、公園でただ喋ってるのはつまらない。
例えば、男女が夫婦で今後の生活のことを喋っているとします。
「私たちの儲けでどうやって生きていくの」みたいな感じで。
ト書きでは公園と書かれているけど、公園で撮る意味はないんじゃないかって一回疑うんです。
これを河原に変えて橋の下にホームレスがいたりして、
ホームレスを見ながら「ああなるかもしれないわよね」って言うと話が膨らむじゃないですか。
脚本の意味以上になるっていうか。そういうことを考えるんですよね。
どこでも成立する話をどこでやるかが監督の才能だと思います。