1986年生まれ。神奈川県出身。2009年、東宝株式会社入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。過去のプロデュース作品に、映画『怒り』(16)、『追憶』(17)、『亜人』(17)、『散り椿』(2018年9月28日公開)がある。
弊社としては以前、東野さんの原作をお借りした実写映画『プラチナデータ』で成功した例がありましたので、東野さんに信頼いただけていたのでは、と思っています。『ラプラスの魔女』は東野さんが作家生活30周年の年に出版された作品なのですが、明確な主人公がいないのが原作の特徴で、章ごとに視点が変わっていく新しいタイプの小説です。弊社は映画化した時に、誰を主人公にしてどう見ていくのかを企画の段階でご提示させていただいたので、そこを面白く感じていただいたのだと思います。
登場人物が多いので、二時間の中で描ききるためにキャラクターが出てきた瞬間の説得力が欲しいと考えた結果です。リリー・フランキーさんのように、少し映っただけでも「この人、何かありそうだな」と思わせる存在感が必要だと考えました。そうすると、必然的にどの配役も主役級の方にお願いすることになります。東野さん原作で三池監督が作られる映画ということで、本来は主役を張れる役者さんばかりですが、皆さんにご快諾いただけました。
最近の三池監督は漫画原作というか、アクションものが続いていたからですね。弊社では『悪の教典』を以前三池監督に手掛けていただいています。サスペンス小説を映像で魅せるテクニックはもちろんお持ちですし、凄く緊張感のある作品を撮ってくださる方なので、新しい組み合わせで新鮮さがあって良いと思いました。東野さんが小説を書く時に「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」と挑戦したことを、僕等も映像として挑戦したかったので、三池監督なら確実に体現できると考え、企画が進んでいきました。
三池組初参加の広瀬さんのために、櫻井さんが話しかけやすい空気を作っていたんでしょうね。広瀬さんは当時、筋トレにハマっていたので、空き時間には広瀬さんが櫻井さんを誘って、一緒に筋トレする姿をよく見かけました。若い広瀬さんの体力に対して、櫻井さんは「10代にはついていけないよー(笑)」なんて言いながら、物語で青江が円華に翻弄されるように、広瀬さんにずっと翻弄されていました。
原作の雪深い温泉地という設定に対して、3月からの撮影では、なかなか雪深い場所がなく苦労しました。結果的に福島と会津若松で撮っています。特に雪山は映画の冒頭のシーンになるので、観客をどれだけ惹きつけられるか、という話を監督としながら画になるロケ地を選びました。一面の雪景色がそこはかとない緊張感を誘い、役者の姿が映える印象的な画が撮れました。宿のシーンは、複数の温泉宿をお借りして部分的に撮影をしたので、全館貸し切りはしていません。
あの廃墟は、映画『シン・ゴジラ』も担当した美術の林田さんによる、東宝スタジオに作った力作のセットです。甘粕 才生(豊川悦司さん)が惚れ込んだ映画撮影セットが今は廃墟になっているという設定なので、壊れているけど見栄えも意識しなければならないという点で、作るのは凄く難しかったのではないでしょうか。ただ、甘粕 才生というキャラクターの嗜好がセットと合わさり、凄くうまく作れたのではないかと思います。
ぜひ、櫻井さん演じる青江教授になった気持ちで観てください。櫻井さんと同じ目線で、一緒に謎解きをしながら事件を探っていく過程を楽しんでいただけると、面白いのではないかと思います。観終わった後に壮大な始まりを感じるような、誰も観たことがないジャンルの映画です。
また、映画の中でリリーさんが言っていることは凄く説得力があり、観終わった後に「自分も頑張れば、色々な予測ができるかもしれない」と思える映画にもなっています。僕も未来予測がしたくて、物理や数学の勉強を始めています(笑)。また、登場人物のその後の人生が見たくなるような終わり方なので、僕自身も続編ができることを願っています。
作品の内容は、役者さんが理解する前に、自分も100%以上理解していないと説明できないと思っているので、それは意識しています。今作であれば、数学や物理の本などを色々読み漁りました。前作の映画『怒り』の時には、同性愛を描いているので友人を伝って生の意見を聞いたり、沖縄の基地問題も扱っていたので、実際に沖縄まで足を運び、現地を歩いてまわったりもしました。そうして得たものを監督と話しながら脚本に落とし込んでいくことは、意識的に取り組むようにしています。
自分が一番最初のお客さんでありたいと思っているので、まず自分が観て面白いと思えるかどうかが気になります。また、自分に近い人が観て面白いと思えるかどうか、も考えます。奥さんと一緒に観に行って「つまらなかった」と言われたくないので(笑)。お客さんが喜ぶにはどうしたら良いのかなというのは、常に映画作りで意識しています。
櫻井さんは、その意識を強くお持ちの方なので、「自分が格好良く見えるにはこうしたい」などではなくて、お客さんがどう受け止めるか、を常に考えているように思います。だからこそ、あれだけ素晴らしいパフォーマンスが出来る人なのだと今回感じました。自分もそうありたいですね。
映画づくりは人を扱う仕事なので、基本、予定通りにはいきません。それはロケーションの自然条件等もそうなのですが、何でも変更がつきものなのです。三池組のスタッフは百戦錬磨なので、何があっても慌てず、色々な代案や伏案を常に持っています。撮影現場では、状況が想定に合わないから待つ、撮らない、となりがちなのですが、柔軟な対応力を持ち合わせた人がプロフェッショナルだと思っています。私もそうなりたいと思っていますし、そういう人たちとお仕事ができたら幸せだな、と思います。
1986年生まれ。神奈川県出身。2009年、東宝株式会社入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。過去のプロデュース作品に、映画『怒り』(16)、『追憶』(17)、『亜人』(17)、『散り椿』(2018年9月28日公開)がある。
弊社としては以前、東野さんの原作をお借りした実写映画『プラチナデータ』で成功した例がありましたので、東野さんに信頼いただけていたのでは、と思っています。『ラプラスの魔女』は東野さんが作家生活30周年の年に出版された作品なのですが、明確な主人公がいないのが原作の特徴で、章ごとに視点が変わっていく新しいタイプの小説です。弊社は映画化した時に、誰を主人公にしてどう見ていくのかを企画の段階でご提示させていただいたので、そこを面白く感じていただいたのだと思います。
登場人物が多いので、二時間の中で描ききるためにキャラクターが出てきた瞬間の説得力が欲しいと考えた結果です。リリー・フランキーさんのように、少し映っただけでも「この人、何かありそうだな」と思わせる存在感が必要だと考えました。そうすると、必然的にどの配役も主役級の方にお願いすることになります。東野さん原作で三池監督が作られる映画ということで、本来は主役を張れる役者さんばかりですが、皆さんにご快諾いただけました。
最近の三池監督は漫画原作というか、アクションものが続いていたからですね。弊社では『悪の教典』を以前三池監督に手掛けていただいています。サスペンス小説を映像で魅せるテクニックはもちろんお持ちですし、凄く緊張感のある作品を撮ってくださる方なので、新しい組み合わせで新鮮さがあって良いと思いました。東野さんが小説を書く時に「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」と挑戦したことを、僕等も映像として挑戦したかったので、三池監督なら確実に体現できると考え、企画が進んでいきました。
三池組初参加の広瀬さんのために、櫻井さんが話しかけやすい空気を作っていたんでしょうね。広瀬さんは当時、筋トレにハマっていたので、空き時間には広瀬さんが櫻井さんを誘って、一緒に筋トレする姿をよく見かけました。若い広瀬さんの体力に対して、櫻井さんは「10代にはついていけないよー(笑)」なんて言いながら、物語で青江が円華に翻弄されるように、広瀬さんにずっと翻弄されていました。
原作の雪深い温泉地という設定に対して、3月からの撮影では、なかなか雪深い場所がなく苦労しました。結果的に福島と会津若松で撮っています。特に雪山は映画の冒頭のシーンになるので、観客をどれだけ惹きつけられるか、という話を監督としながら画になるロケ地を選びました。一面の雪景色がそこはかとない緊張感を誘い、役者の姿が映える印象的な画が撮れました。宿のシーンは、複数の温泉宿をお借りして部分的に撮影をしたので、全館貸し切りはしていません。
あの廃墟は、映画『シン・ゴジラ』も担当した美術の林田さんによる、東宝スタジオに作った力作のセットです。甘粕 才生(豊川悦司さん)が惚れ込んだ映画撮影セットが今は廃墟になっているという設定なので、壊れているけど見栄えも意識しなければならないという点で、作るのは凄く難しかったのではないでしょうか。ただ、甘粕 才生というキャラクターの嗜好がセットと合わさり、凄くうまく作れたのではないかと思います。
ぜひ、櫻井さん演じる青江教授になった気持ちで観てください。櫻井さんと同じ目線で、一緒に謎解きをしながら事件を探っていく過程を楽しんでいただけると、面白いのではないかと思います。観終わった後に壮大な始まりを感じるような、誰も観たことがないジャンルの映画です。
また、映画の中でリリーさんが言っていることは凄く説得力があり、観終わった後に「自分も頑張れば、色々な予測ができるかもしれない」と思える映画にもなっています。僕も未来予測がしたくて、物理や数学の勉強を始めています(笑)。また、登場人物のその後の人生が見たくなるような終わり方なので、僕自身も続編ができることを願っています。
作品の内容は、役者さんが理解する前に、自分も100%以上理解していないと説明できないと思っているので、それは意識しています。今作であれば、数学や物理の本などを色々読み漁りました。前作の映画『怒り』の時には、同性愛を描いているので友人を伝って生の意見を聞いたり、沖縄の基地問題も扱っていたので、実際に沖縄まで足を運び、現地を歩いてまわったりもしました。そうして得たものを監督と話しながら脚本に落とし込んでいくことは、意識的に取り組むようにしています。
自分が一番最初のお客さんでありたいと思っているので、まず自分が観て面白いと思えるかどうかが気になります。また、自分に近い人が観て面白いと思えるかどうか、も考えます。奥さんと一緒に観に行って「つまらなかった」と言われたくないので(笑)。お客さんが喜ぶにはどうしたら良いのかなというのは、常に映画作りで意識しています。
櫻井さんは、その意識を強くお持ちの方なので、「自分が格好良く見えるにはこうしたい」などではなくて、お客さんがどう受け止めるか、を常に考えているように思います。だからこそ、あれだけ素晴らしいパフォーマンスが出来る人なのだと今回感じました。自分もそうありたいですね。
映画づくりは人を扱う仕事なので、基本、予定通りにはいきません。それはロケーションの自然条件等もそうなのですが、何でも変更がつきものなのです。三池組のスタッフは百戦錬磨なので、何があっても慌てず、色々な代案や伏案を常に持っています。撮影現場では、状況が想定に合わないから待つ、撮らない、となりがちなのですが、柔軟な対応力を持ち合わせた人がプロフェッショナルだと思っています。私もそうなりたいと思っていますし、そういう人たちとお仕事ができたら幸せだな、と思います。
(STORY)
雪山で起きた2つの不審死。それぞれの事件現場は遠く離れていたが、死因はどちらも自然現象下での硫化水素中毒死であり、死亡した二人は知人同士だった。警察は事件の調査を、地球化学の研究者で大学教授の青江(櫻井翔)に依頼。現場の地形や地質などを検証した青江は、自然科学的見地から事件性を否定する。しかし、現場に現れた一人の女・円華(広瀬すず)が、その場で次に起こる自然現象を言い当てていく。円華は甘粕(福士蒼汰)という青年を探していると言い、青江は協力を頼まれるが…。
監督:三池崇史 原作:東野圭吾
脚本:八津弘幸
出演:櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰、
高嶋政伸、檀れい、リリー・フランキー、玉木宏、豊川悦司 ほか
5月4日(金)より全国ロードショー
(C)2018 「ラプラスの魔女」製作委員会
臼井真之介(うすい・しんのすけ)プロデューサー
1986年生まれ。神奈川県出身。2009年、東宝株式会社入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。過去のプロデュース作品に、映画『怒り』(16)、『追憶』(17)、『亜人』(17)、『散り椿』(2018年9月28日公開)がある。