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ホーム > 映像関係者の声 > プロデューサーインタビュー > 映画史に刻まれる最大最強の脅威に日本はどう挑む!/一緒に働くスタッフには、食事を大事にしてほしい

映画史に刻まれる最大最強の脅威に日本はどう挑む!/一緒に働くスタッフには、食事を大事にしてほしい

2016.07.21
プロデューサー
佐藤善宏さん

1977年生まれ。福岡県出身。2001年東宝株式会社へ入社し、映画企画部所属。TVドラマ『モップガール』(07)『パズル』(08)、映画『ROOKIESー卒業ー』(09)、『あなたへ』(12)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』二部作(15)などのプロデュースを担当。

タイトルの「シン・ゴジラ」にはこだわられたとお聞きしました。

 庵野監督はタイトルに関して明確に「『シン・ゴジラ』でしょう」と言われまして、そこには皆異論は全くありませんでした。〝ゴジラ″というタイトルの前に何か言葉がつくことが今までの作品でなかったので、そのこと自体も新しいな、と思いました。

〝ゴジラの新しいステージを目指す″というスタンスは、タイトルをつける段階から固まっていたと感じます。〝今までのゴジラとは違う″というところを、タイトルから勝負しています。前作から12年経ち、ファンの方々の年齢も上がっています。戦後の水爆実験などを背景に製作された初代ゴジラから当時の方が受けた衝撃を、今の時代の我々がどう超えるか、ということも意識しています。

「新しいゴジラを作る」ということになった時はどう思われましたか?

 私としては、映画と言えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ジュラシック・パーク』といったハリウッド映画が全盛期だったのでそちらの影響が強いので、僕自身はそんなに〝ゴジラ″には強い思い入れがなかったのも事実です(苦笑)。ただ〝映画企画部″という、映画を製作する立場としては、東宝のアイドルであるゴジラの企画というのは常に求められています。だから、ファンの立場で大人気作品の新シリーズを作る、というよりは製作者の立場として常に考えてきた、というところです。

 私は自分が作るのなら、敵怪獣のいなかった84ゴジラが映画の原体験でリアルな世界が土台だったので、あの路線の、現実世界でゴジラとどのように向き合うかを突き詰めていく、というものが面白いと思ったし『シン・ゴジラ』の製作においてもそれを意識しました。

『シン・ゴジラ』の「新しいゴジラ」自体はどんなコンセプトで生まれましたか?

 コンセプトというよりは、庵野秀明・樋口真嗣・尾上克郎という3人の監督がこの時代にいて、さらにその三人が素晴らしいコラボをした特撮展があった。その力が相まったからこそ、生まれでたものだと僕は思っています。

 それにやはり東日本大震災があり、日本社会を取り巻く状況にもパラダイムシフトが生まれた。日本に住む人々があの時感じた「想定外」を経験したからこそ、今回の「シン・ゴジラ」もあるのだと思います。

どういう特撮を使うか、でも議論があったとお聞きしました。

 色々なアプローチをした上で撮影には臨みましたが、作品中に使用していないものの方が多いです。試行錯誤の中で特撮の〝限界″も見えました。でも、だからといって安易にフルCGにしたのではなく、様々な特撮を試し「特撮の見せ方」というものが見えてきた上でのCGという選択です。その違いは明確です。

 CGは制作費や期間で大きな差が出ます。ただ今回は庵野監督の演出はピンポイントでどこに、どう使うか、というのが明確にあったので、今回はそういう意味では予算・期間面でもCGは正しい選択でした。特撮は実体感があるが良いのですが、どうしても重量感などの面で特撮感は出てしまうので、今回のリアルシュミレーションの世界では相応しくなかったのかもしれません。

CGを使われていたことで観ていて「ゴジラと戦っていることが虚構なのか」ということも感じられ、それが狙いかとも思いました。

 今回のデータは森ビルさんにご協力いただき、東京都内の全地図データなども使用させてもらいリアルに近づけています。CGでないと作れない空撮的場面も多いので、逆にそういった部分がリアルに観られることで虚構感を持たれたのかもしれません。

 今回、CG、特撮などどの撮り方が『シン・ゴジラ』にとってふさわしいのか、庵野さん、樋口さん、尾上さんと議論の白熱した時も多かったです。皆見せ方は常に新しいものを、と考えていましたので、実写の限界へのチャレンジもそこには含まれていたと思います。

特撮以外にも「実写ゴジラ」ということでスケールの大きい撮影になったかと思いますが、ロケ地探しはご苦労がありましたか?

 そうですね。東京だとさすがに厳しいので地方を考えていました。埼玉や川崎など色々と声を挙げて下さった自治体はあったのですが、実際の上陸地点で一度チャレンジしてみようという話になりました。大規模なエキストラを入れての撮影でしたが「一定時間だけなら」ということでOKをいただき、道路を封鎖しての撮影に。夜の撮影はできないとのことで、そのシーンは宇都宮に行って撮りました。どの地域の方も〝ゴジラ″ということで非常に協力体制を敷いて頂き撮影はしやすかったです。企画が立ち上がった時から初代ゴジラへのオマージュという意識が皆にあったので、特にゴジラ上陸のシーンは相当話し合い、その上でロケ地を選択していきました。

キャストはどうやって決められたのですか?

 監督の脚本ではキャラクターがしっかりと描かれているので、どういう方をキャスティングしたら良いかということは見えやすかったです。出演して下さった皆さんも日本映画の一つのジャンルである「ゴジラ映画」への出演には、何か象徴的なものを感じて下さっていたと思います。

 ゴジラそのものへの思い入れは、人それぞれかと思うのですが、現場での役者さんへの演出は、常に庵野さん、樋口さんのお二人が一緒にされていました。映画的演出と、物語を伝える脚本家としての頭を持っているお二人なので、いい意味でそれがコラボしたと思っています。感情を表に出すキャラクターが少ないので、俳優の方々はお芝居をするのが非常に難しい部分が多々あったのだと思います。

過去のゴジラ作品と同じスタッフさんもいらしたのでしょうか?

 結構いらっしゃいました。でも初参加のスタッフによって作品に新しい血が入ることにもなりますし、あえて経験者を集めるというこだわりはありませんでした。『シン・ゴジラ』は大きな作品ですが「ゴジラだから!」というより、『シン・ゴジラ』という新しい映画を撮るためにやりたいことを積み上げて言ったら大きくなってしまった、という感じですね。

今後、「こういう人と一緒に働きたい」というスタッフの特性はありますか?

 〝食事を大切にする人″がいいですね。食事は大切です。『シン・ゴジラ』ではなかなかまとまった食事時間がとれなかったのですが、できる限りケータリングを呼んだりして、なるべく温かい物をとれるようにしていました。どうしてもそれが無理な場合は弁当を用意しましたが、何か1品付け合せがあるような心遣いが出来ればよいと常に考えていました。食事の時間と内容、量に関しては、予算的にもあまり削りたくないと思っています。

『シン・ゴジラ』を観る方へメッセージをお願いします。

 ゴジラそのものを知らなくても、映画として本当にドキドキする作品です。怪獣映画などとジャンル分けするのではなく、映画そのものとして本当に面白いものになっています。映画館で感じる緊張感たるや、たぶん今まで経験したことのないものがあると思いますで、ぜひ劇場で観ていただきたいと思います!

1977年生まれ。福岡県出身。2001年東宝株式会社へ入社し、映画企画部所属。TVドラマ『モップガール』(07)『パズル』(08)、映画『ROOKIESー卒業ー』(09)、『あなたへ』(12)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』二部作(15)などのプロデュースを担当。

タイトルの「シン・ゴジラ」にはこだわられたとお聞きしました。

 庵野監督はタイトルに関して明確に「『シン・ゴジラ』でしょう」と言われまして、そこには皆異論は全くありませんでした。〝ゴジラ″というタイトルの前に何か言葉がつくことが今までの作品でなかったので、そのこと自体も新しいな、と思いました。

〝ゴジラの新しいステージを目指す″というスタンスは、タイトルをつける段階から固まっていたと感じます。〝今までのゴジラとは違う″というところを、タイトルから勝負しています。前作から12年経ち、ファンの方々の年齢も上がっています。戦後の水爆実験などを背景に製作された初代ゴジラから当時の方が受けた衝撃を、今の時代の我々がどう超えるか、ということも意識しています。

「新しいゴジラを作る」ということになった時はどう思われましたか?

 私としては、映画と言えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ジュラシック・パーク』といったハリウッド映画が全盛期だったのでそちらの影響が強いので、僕自身はそんなに〝ゴジラ″には強い思い入れがなかったのも事実です(苦笑)。ただ〝映画企画部″という、映画を製作する立場としては、東宝のアイドルであるゴジラの企画というのは常に求められています。だから、ファンの立場で大人気作品の新シリーズを作る、というよりは製作者の立場として常に考えてきた、というところです。

 私は自分が作るのなら、敵怪獣のいなかった84ゴジラが映画の原体験でリアルな世界が土台だったので、あの路線の、現実世界でゴジラとどのように向き合うかを突き詰めていく、というものが面白いと思ったし『シン・ゴジラ』の製作においてもそれを意識しました。

『シン・ゴジラ』の「新しいゴジラ」自体はどんなコンセプトで生まれましたか?

 コンセプトというよりは、庵野秀明・樋口真嗣・尾上克郎という3人の監督がこの時代にいて、さらにその三人が素晴らしいコラボをした特撮展があった。その力が相まったからこそ、生まれでたものだと僕は思っています。

 それにやはり東日本大震災があり、日本社会を取り巻く状況にもパラダイムシフトが生まれた。日本に住む人々があの時感じた「想定外」を経験したからこそ、今回の「シン・ゴジラ」もあるのだと思います。

どういう特撮を使うか、でも議論があったとお聞きしました。

 色々なアプローチをした上で撮影には臨みましたが、作品中に使用していないものの方が多いです。試行錯誤の中で特撮の〝限界″も見えました。でも、だからといって安易にフルCGにしたのではなく、様々な特撮を試し「特撮の見せ方」というものが見えてきた上でのCGという選択です。その違いは明確です。

 CGは制作費や期間で大きな差が出ます。ただ今回は庵野監督の演出はピンポイントでどこに、どう使うか、というのが明確にあったので、今回はそういう意味では予算・期間面でもCGは正しい選択でした。特撮は実体感があるが良いのですが、どうしても重量感などの面で特撮感は出てしまうので、今回のリアルシュミレーションの世界では相応しくなかったのかもしれません。

CGを使われていたことで観ていて「ゴジラと戦っていることが虚構なのか」ということも感じられ、それが狙いかとも思いました。

 今回のデータは森ビルさんにご協力いただき、東京都内の全地図データなども使用させてもらいリアルに近づけています。CGでないと作れない空撮的場面も多いので、逆にそういった部分がリアルに観られることで虚構感を持たれたのかもしれません。

 今回、CG、特撮などどの撮り方が『シン・ゴジラ』にとってふさわしいのか、庵野さん、樋口さん、尾上さんと議論の白熱した時も多かったです。皆見せ方は常に新しいものを、と考えていましたので、実写の限界へのチャレンジもそこには含まれていたと思います。

特撮以外にも「実写ゴジラ」ということでスケールの大きい撮影になったかと思いますが、ロケ地探しはご苦労がありましたか?

 そうですね。東京だとさすがに厳しいので地方を考えていました。埼玉や川崎など色々と声を挙げて下さった自治体はあったのですが、実際の上陸地点で一度チャレンジしてみようという話になりました。大規模なエキストラを入れての撮影でしたが「一定時間だけなら」ということでOKをいただき、道路を封鎖しての撮影に。夜の撮影はできないとのことで、そのシーンは宇都宮に行って撮りました。どの地域の方も〝ゴジラ″ということで非常に協力体制を敷いて頂き撮影はしやすかったです。企画が立ち上がった時から初代ゴジラへのオマージュという意識が皆にあったので、特にゴジラ上陸のシーンは相当話し合い、その上でロケ地を選択していきました。

キャストはどうやって決められたのですか?

 監督の脚本ではキャラクターがしっかりと描かれているので、どういう方をキャスティングしたら良いかということは見えやすかったです。出演して下さった皆さんも日本映画の一つのジャンルである「ゴジラ映画」への出演には、何か象徴的なものを感じて下さっていたと思います。

 ゴジラそのものへの思い入れは、人それぞれかと思うのですが、現場での役者さんへの演出は、常に庵野さん、樋口さんのお二人が一緒にされていました。映画的演出と、物語を伝える脚本家としての頭を持っているお二人なので、いい意味でそれがコラボしたと思っています。感情を表に出すキャラクターが少ないので、俳優の方々はお芝居をするのが非常に難しい部分が多々あったのだと思います。

過去のゴジラ作品と同じスタッフさんもいらしたのでしょうか?

 結構いらっしゃいました。でも初参加のスタッフによって作品に新しい血が入ることにもなりますし、あえて経験者を集めるというこだわりはありませんでした。『シン・ゴジラ』は大きな作品ですが「ゴジラだから!」というより、『シン・ゴジラ』という新しい映画を撮るためにやりたいことを積み上げて言ったら大きくなってしまった、という感じですね。

今後、「こういう人と一緒に働きたい」というスタッフの特性はありますか?

 〝食事を大切にする人″がいいですね。食事は大切です。『シン・ゴジラ』ではなかなかまとまった食事時間がとれなかったのですが、できる限りケータリングを呼んだりして、なるべく温かい物をとれるようにしていました。どうしてもそれが無理な場合は弁当を用意しましたが、何か1品付け合せがあるような心遣いが出来ればよいと常に考えていました。食事の時間と内容、量に関しては、予算的にもあまり削りたくないと思っています。

『シン・ゴジラ』を観る方へメッセージをお願いします。

 ゴジラそのものを知らなくても、映画として本当にドキドキする作品です。怪獣映画などとジャンル分けするのではなく、映画そのものとして本当に面白いものになっています。映画館で感じる緊張感たるや、たぶん今まで経験したことのないものがあると思いますで、ぜひ劇場で観ていただきたいと思います!

作品情報
『シン・ゴジラ』

(STORY)

現代日本に初めてゴジラが現れた時、日本人はどう立ち向かうのか?

 

脚本・編集・総監督:庵野秀明

監督・特技監督:樋口真嗣 准監督・特技統括:尾上克郎

出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ

7月29日(金)より全国ロードショー

© 2016 TOHO CO.,LTD.

 

佐藤善宏(さとう・よしひろ)プロデューサー

1977年生まれ。福岡県出身。2001年東宝株式会社へ入社し、映画企画部所属。TVドラマ『モップガール』(07)『パズル』(08)、映画『ROOKIESー卒業ー』(09)、『あなたへ』(12)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』二部作(15)などのプロデュースを担当。

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