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ホーム > 映像関係者の声 > プロデューサーインタビュー > 芸人が夢と現実に葛藤/板尾創路監督が大ヒット小説を映画化!

芸人が夢と現実に葛藤/板尾創路監督が大ヒット小説を映画化!

2017.11.17
プロデューサー
西野智也さん

1987年生まれ、東京都出身。2011年、東宝入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。これまでに、福士蒼汰と小松菜奈が主演したラブストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(16)を手掛けている。

原作は大ヒット作ですが、映画化に至ったエピソードを教えてください。

 芥川賞のような、一種、近寄り難いものを映画化することは、大きな挑戦でした。長年芸人として活躍されている板尾創路さんがメガホンを取り、そこにキャスティングや色々な要素がうまく重なったことで、企画が本格的に動き出しました。脚本の段階から指揮を取る板尾監督の姿をみていると「半端な事はできない」という、覚悟みたいなものを感じました。

ドラマ化もされた作品ですが、映画化するにあたり、大切にされていた事はありますか。

 映画版のプロデュースチームには、ドラマ版を担当した人もいました。僕は一から『火花』を作る立場で、ドラマと映画の差異化を意識していたかもしれません。原作が同じでロケ地が被っていても、ドラマと映画では、尺もキャストもスタッフも、絵の見え方も違ってきます。

 『火花』は挫折の物語です。ドラマは10時間あるので、“いかに挫折していくのか”をやりすぎるぐらい描けるのですが、映画の2時間ではそれはできません。なので、ドラマに比べて物語の過程を追い難いと思っていました。尺がない分、一瞬一瞬を繋げて見せるような形で撮影していきました。それが結果としてドラマとの演出面での差異化に繋がっていると思います。

『火花』といえば熱海だと思いますが、どのような経緯で熱海がロケ地になったのでしょうか。また心に残るエピソードはありますか。

 熱海は原作でも印象的な所なので、最初からロケ地の候補にあがっていました。脚本の流れ通りに撮りたいという監督の意向で、3月に熱海でクランクインしています。撮影前にエキストラを集めて挨拶をしたのですが、そこで桐谷健太さんがCMでおなじみの『海の声』を歌ってくれて、それに乗っかるように菅田将暉さん、最後は監督も熱唱していました。撮影初日は夏祭りのナイトシーンで、2日ほどかけて撮影しました。夏の設定から始まったので、エキストラさんは浴衣や、半袖に短パンなど夏の格好をしていただきました。エキストラの人数も多くて、300人ぐらいはいましたが、リハーサルと本番の間などに助監督が「早く服を着て!」「風邪ひいちゃうよ!」と頻繁に歩き回って声がけをしていました。監督とキャストの心配りと、地元の方の温かな協力もあって、良いムードでスタートがきれました。

井の頭公園のシーンも、印象的でした。

 井の頭公園は、池があるのが良いです。映画の序盤では神谷と徳永が園内を散歩するシーンがあり、終盤では徳永が1人で歩くシーンがあるのですが、全く同じ道を歩いて撮影しています。撮影したのは同じ日なのですが、前半と後半は同じロケーションでも色味をいじって季節を変えて、違った表情がみえるようにしています。

 橋のシーンは水面の反射が凄く綺麗だし、緑も多くて井の頭公園は良いロケーションでした。板尾組は、明るい雰囲気の現場だったので、ピクニックのような和やかな雰囲気もありましたね。

 

主演2人に、菅田さんと桐谷さんをキャスティングした決定打は何でしたか?

 まず関西弁を喋れる人という条件があり、菅田さんは絶対に徳永役にはまるだろうと思っていました。コンビでの関係性も期待できそうという意見もあがっていました。神谷役に関しては、存在感があって同時にカリスマ性がありながら、徳永が親近感を寄せられる人、ということで探しました。たまたまですが、菅田さんと桐谷さんの仲が良いという話を聞いていたので、この2人が良いのではないかという話になりました。僕は、桐谷さんは目力があるのが良いと思っていて、どんな神谷が観られるのか、桐谷さんという役者にかけてみたい気持ちがありました。

漫才のシーンは、相当練習されたのでしょうか。

 監督の「突っ込みは、芸人もしくは芸人経験者が良い」という考えから、菅田さん、桐谷さんの相方には現役の芸人「2丁拳銃」の川谷修士さん、元芸人で現在俳優の三浦誠己さんにお願いしました。

 川谷さんは人柄も良くて、役柄上、菅田君からタメ語でいじられていましたが、その関係が見ていて微笑ましかったです。お芝居にも仲の良さが反映されています。三浦誠己さんのキャスティングは板尾監督の強い推薦で、お芝居は当然うまいですし、元芸人さんなので漫才の切り替えしの感じも良く、桐谷さんとは違うビジュアルの迫力があったのが良かったです。

現場の雰囲気も良かったですか。

 主演2人の仲が良かったというのが、一番良かったです。基本的に2人が話をしている時そのままの雰囲気で本番に入っていきました。彼らの関係性ができているので、監督は、敢えて2人に細かい演出はしていませんでした。役者さんとプロの芸人さんを一緒に撮影する、というのは普通の映画監督にはない発想ですが、現場の雰囲気も良く、それがうまく作品に反映しているので、板尾監督の判断はさすがだと思います。

映画ならではの『火花』の魅力を教えください。

 板尾監督は「シュール」な人というイメージがありますが、実際はあらゆる表現ができる方です。映画の中ではシュールなシーンもあれば、王道の笑いも、ホロッと感動するところもあります。漫才のシーンは漫才として、普通に笑えて、全てを楽しめる作品です。原作の『火花』を読んでいない方も、映画を観ていただければ、こんな素敵な話なのだということを分かりやすくお伝えできているのではないかと思います。

1987年生まれ、東京都出身。2011年、東宝入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。これまでに、福士蒼汰と小松菜奈が主演したラブストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(16)を手掛けている。

原作は大ヒット作ですが、映画化に至ったエピソードを教えてください。

 芥川賞のような、一種、近寄り難いものを映画化することは、大きな挑戦でした。長年芸人として活躍されている板尾創路さんがメガホンを取り、そこにキャスティングや色々な要素がうまく重なったことで、企画が本格的に動き出しました。脚本の段階から指揮を取る板尾監督の姿をみていると「半端な事はできない」という、覚悟みたいなものを感じました。

ドラマ化もされた作品ですが、映画化するにあたり、大切にされていた事はありますか。

 映画版のプロデュースチームには、ドラマ版を担当した人もいました。僕は一から『火花』を作る立場で、ドラマと映画の差異化を意識していたかもしれません。原作が同じでロケ地が被っていても、ドラマと映画では、尺もキャストもスタッフも、絵の見え方も違ってきます。

 『火花』は挫折の物語です。ドラマは10時間あるので、“いかに挫折していくのか”をやりすぎるぐらい描けるのですが、映画の2時間ではそれはできません。なので、ドラマに比べて物語の過程を追い難いと思っていました。尺がない分、一瞬一瞬を繋げて見せるような形で撮影していきました。それが結果としてドラマとの演出面での差異化に繋がっていると思います。

『火花』といえば熱海だと思いますが、どのような経緯で熱海がロケ地になったのでしょうか。また心に残るエピソードはありますか。

 熱海は原作でも印象的な所なので、最初からロケ地の候補にあがっていました。脚本の流れ通りに撮りたいという監督の意向で、3月に熱海でクランクインしています。撮影前にエキストラを集めて挨拶をしたのですが、そこで桐谷健太さんがCMでおなじみの『海の声』を歌ってくれて、それに乗っかるように菅田将暉さん、最後は監督も熱唱していました。撮影初日は夏祭りのナイトシーンで、2日ほどかけて撮影しました。夏の設定から始まったので、エキストラさんは浴衣や、半袖に短パンなど夏の格好をしていただきました。エキストラの人数も多くて、300人ぐらいはいましたが、リハーサルと本番の間などに助監督が「早く服を着て!」「風邪ひいちゃうよ!」と頻繁に歩き回って声がけをしていました。監督とキャストの心配りと、地元の方の温かな協力もあって、良いムードでスタートがきれました。

井の頭公園のシーンも、印象的でした。

 井の頭公園は、池があるのが良いです。映画の序盤では神谷と徳永が園内を散歩するシーンがあり、終盤では徳永が1人で歩くシーンがあるのですが、全く同じ道を歩いて撮影しています。撮影したのは同じ日なのですが、前半と後半は同じロケーションでも色味をいじって季節を変えて、違った表情がみえるようにしています。

 橋のシーンは水面の反射が凄く綺麗だし、緑も多くて井の頭公園は良いロケーションでした。板尾組は、明るい雰囲気の現場だったので、ピクニックのような和やかな雰囲気もありましたね。

 

主演2人に、菅田さんと桐谷さんをキャスティングした決定打は何でしたか?

 まず関西弁を喋れる人という条件があり、菅田さんは絶対に徳永役にはまるだろうと思っていました。コンビでの関係性も期待できそうという意見もあがっていました。神谷役に関しては、存在感があって同時にカリスマ性がありながら、徳永が親近感を寄せられる人、ということで探しました。たまたまですが、菅田さんと桐谷さんの仲が良いという話を聞いていたので、この2人が良いのではないかという話になりました。僕は、桐谷さんは目力があるのが良いと思っていて、どんな神谷が観られるのか、桐谷さんという役者にかけてみたい気持ちがありました。

漫才のシーンは、相当練習されたのでしょうか。

 監督の「突っ込みは、芸人もしくは芸人経験者が良い」という考えから、菅田さん、桐谷さんの相方には現役の芸人「2丁拳銃」の川谷修士さん、元芸人で現在俳優の三浦誠己さんにお願いしました。

 川谷さんは人柄も良くて、役柄上、菅田君からタメ語でいじられていましたが、その関係が見ていて微笑ましかったです。お芝居にも仲の良さが反映されています。三浦誠己さんのキャスティングは板尾監督の強い推薦で、お芝居は当然うまいですし、元芸人さんなので漫才の切り替えしの感じも良く、桐谷さんとは違うビジュアルの迫力があったのが良かったです。

現場の雰囲気も良かったですか。

 主演2人の仲が良かったというのが、一番良かったです。基本的に2人が話をしている時そのままの雰囲気で本番に入っていきました。彼らの関係性ができているので、監督は、敢えて2人に細かい演出はしていませんでした。役者さんとプロの芸人さんを一緒に撮影する、というのは普通の映画監督にはない発想ですが、現場の雰囲気も良く、それがうまく作品に反映しているので、板尾監督の判断はさすがだと思います。

映画ならではの『火花』の魅力を教えください。

 板尾監督は「シュール」な人というイメージがありますが、実際はあらゆる表現ができる方です。映画の中ではシュールなシーンもあれば、王道の笑いも、ホロッと感動するところもあります。漫才のシーンは漫才として、普通に笑えて、全てを楽しめる作品です。原作の『火花』を読んでいない方も、映画を観ていただければ、こんな素敵な話なのだということを分かりやすくお伝えできているのではないかと思います。

作品情報
映画『火花』

(STORY)

漫才コンビ「スパークス」としてデビューしたものの、なかなか売れない芸人の徳永(菅田将暉)。彼は営業先の熱海で先輩芸人・神谷(桐谷健太)と出会う。神谷の奇抜な芸風と温かい人柄に惹かれた徳永は、出番終わりの居酒屋で神谷へ弟子入りを志願。神谷はそれを快諾し、その代わりとして徳永に「俺の伝記を作って欲しい」と依頼する。その日から徳永は神谷との出来事をノートに書き綴ることに。2年後、東京に拠点を移した神谷と再会した徳永。仕事の少ない二人は毎日のように出歩き才能を磨き合う日々を送るが、やがて、二人の間に意識の違いが生まれ始める。

 

監督・脚本:板尾創路

原作:又吉直樹(文春文庫刊)

脚本:豊田利晃

出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、川谷修士、三浦誠己、加藤諒、高橋努、日野陽仁、山崎樹範 ほか

11月23日(木)より全国ロードショー

(C)2017「火花」製作委員会

 

西野智也(にしの・ともや)プロデューサー

1987年生まれ、東京都出身。2011年、東宝入社。現在、映像本部映画企画部に所属し、映画を企画するなどプロデューサーとして活躍。これまでに、福士蒼汰と小松菜奈が主演したラブストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(16)を手掛けている。

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