2020年がクランクインとのことでしたが、コロナの影響はいかがでしたか?
当初予定していた撮影プランを大きく変更しなければならないほどの大きな影響を受けました。ちょうど、コロナショック直前の頃まで中国でロケハンをしていたのですが、中国ロケどころか、国内での撮影もままならない未曾有の事態となりました。
クランクインを遅らせるほかなく、最悪の場合、中止すべきではという意見もありました。映画業界全体に、このような不穏な空気が流れていた。制作スタッフにはフリーの方が多いんです。先が見えずに職を辞めようとするような方もいて。そんな中で、この業界全体が、『キングダム』の動向に注目し、それに習おうとするような空気があり、自分が踏ん張らなければ、日本映画の火が消えてしまいそうでした。どうにか、『キングダム』を止めることなく、安全につくり続けたいという思いから、病院と業務提携し、ハリウッドのガイドラインも参考にしたりして、徹底した感染対策を行いながら撮影を決行しました。結果、約1年にわたる撮影中、罹患者はゼロだったんです。クルー全員の強い結束により、無事、走り切ることができました。
実際の撮影は、中国で撮っている場所もあると思いますし、日本で再開された部分もあると思いますが、どのようになさったのでしょうか。
コロナ禍だったので、我々が中国入りして撮影するのは難しいと判断し、もともと中国ロケを予定していたシーンのなかで、国内で撮れる部分がないか、検証し直しました。それでも、たとえば、大量の馬や兵士がいるようなカットはどうしても中国で撮る必要があったので、中国の現地スタッフの力を借りることにしました。中国での監督は、ジャッキー・チェン作品のアクション監督もされている方にお願いすることができまして。佐藤監督が決めたカット割りを見ながら、日本と中国のチームがワンカットずつ丁寧に撮影方法を検討していきました。600名ほどの兵士に、馬が100頭もいるような迫力の大合戦シーンなどは、このような予期せぬコラボレーションにより生み出されました。