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ホーム > 映像関係者の声 > プロデューサーインタビュー > オール青森ロケ。全開の津軽弁に、本格的な津軽三味線。青森の魅力を存分に楽しめる作品になっています。/ 映画『いとみち』の松村龍一プロデューサーに『青森ロケならではの制作秘話』を聞く

オール青森ロケ。全開の津軽弁に、本格的な津軽三味線。青森の魅力を存分に楽しめる作品になっています。/ 映画『いとみち』の松村龍一プロデューサーに『青森ロケならではの制作秘話』を聞く

2022.05.27
プロデューサー
松村龍一さん

2012年『奇跡のリンゴ』で、弘前FC白戸氏との出会いから、完成まで約8年間。「作品が生まれた経緯」や「津軽を題材とした作品ならではのこだわり」「ロケ地としての青森の良さ」を松村プロデューサーに語って頂きました。

映画『いとみち』が生まれた経緯を教えてください。
 2012年公開の阿部サダヲさん、菅野美穂さん出演の映画『奇跡のリンゴ』で当時私は制作担当(ロケーションマネージャー)として作品に参加していました。その時に津軽の人々、素晴らしい土地や文化に出会い、心底感動しました。私の出身は大阪なのですが、実は昔から弘前に対してずっと憧れがありました。敬愛する司馬遼太郎さんが大学受験の時に弘前に行き、津軽の素晴らしさに触れています。その影響で高校・大学の頃からずっと津軽は憧れの土地でした。ようやく『奇跡のリンゴ』で仕事として念願が叶い撮影は物凄く大変だったのですが、四季を通して津軽を体験し、撮影後に、苦楽を共にした弘前FCの白戸氏と「もう一度津軽で映画を作りましょう」というところから8年かかった企画でした。
制作時代から『いとみち』という構想はあったのでしょうか?
 そうですね。弘前を後にした2012年には小説が出ていたので、帰りの新幹線で読んでいました。越谷オサムさん原作には、一人の少女の成長物語、津軽に住む人々の営み、津軽三味線やハードロックの音楽的要素が満載で、色々な角度から映画に出きると感じました。作品に出てくるおばあちゃんが、実はヴァン・ヘイレンが凄く好きで、そのギターフレーズを三味線で弾くのですが、それが格好よく面白いなあと思って。そして『奇跡のリンゴ』は方言全開の津軽弁というより、やわらかい津軽弁だったので、今作品は少しお客さんが理解が出来ないことを覚悟しつつも、津軽弁を音楽的アプローチで、方言そのままの津軽弁で制作したいと思っていました。
ロケの撮影期間は?
 2020年の5月に撮影する予定だったのですが、コロナで延期になり、9月になりました。そのちょうど1年前にはお金の目処がついていて、小説の舞台も4月からの新学期の設定だったので、その辺を目指していたのですが、うまくいかなかったので、2学期からの設定としました。撮影期間は3週間ほどです。青森にスタッフが泊まりきりとなるので、スケジュールを考えると、それぐらいが限界でしたね。宿泊はコロナ禍で一人一部屋用意していて、45~50人ぐらいいたのですが、価格の交渉等は、弘前市さんが頑張ってくれました。
「いとみち」でこだわった点や苦労した点を教えてください。
 とことん津軽にこだわって、追求して、撮影場所はもちろんですが、キャスティングは出来得る限り、現地の方で撮影しようと横浜さんとは企画の時から話し合っていました。おばあちゃんも、できれば俳優でない一般の三味線弾ける人で津軽弁のできる人を探していましたが、中々簡単にはいきませんでした。たまたま本屋で、西川洋子さんという、津軽三味線奏者の高橋竹山さんの最初の弟子で、自伝も書かれている人を見つけました。制作委員会に入っている青森のテレビ局の人が西川さんのラジオ番組を担当していたので、そこから話を進めていきました。そのキャスティングは難しかったですが、この作品がうまくいった一つの要因はそこにあると思います。駒井さんは早くからオファーしていて、2019年1月に横浜さんと一緒に会ってお話をしました。また、『いとみち』にたくさんの方に参加してほしいという思いで、現地でオーディションも行いました。青森の劇団の方など幅広い年代の人が来てくれました。色んな人の力を借りながら、土地の良さを出せたと思っています。他に気を付けたこととしては、オール青森ロケで、メイン舞台となるメイドカフェのシーンをどこでやるかが一番難しかったです。青森には実際の場所がありませんから、一から作りました。
ロケ地探しにこだわりはありましたか?
 主人公の家には、最新の注意を払いました。沢山の候補の中から、岩木山を望むことができる古い家屋で撮影をすることができました。
弘前市・板柳町・青森市のサポートや、一緒に作っていて、嬉しかった対応はありますか
 弘前市・板柳町・青森市さんには脚本をまるまる読んでもらい、ロケ地をしっかり引き出してもらっていました。私も『奇跡のリンゴ』時のロケハンで大概の場所は把握していたので、「いやいやもっと違うところちょうだいよ」みたいなやり取りをしながら、アイデアを出してくれました。現地の人は自分たちの町の自慢のところ映してほしいと提案してくれるのですが、「作品を観て青森のことが好きになって、青森に行きたいなぁと思って頂くこと、後世に残る作品を残していく」というのが自身の製作テーマだったので、「ごめんね、本当はここ映したいんだけど、トータルで作品のバランスを考えるとこういう絵作りになってしまう」と説明し、納得してもらいながらやっていきました。きっちり相手の話を聞いたうえで、製作サイドのやりたいことと市町村の方々の考えとうまく共存して作品創りが出来たと思っています。撮影スタッフやエキストラで、ボランティアとして作品を支えてくれたたくさんの人たちの笑顔が、とても励みになりました。
青森県の特産品はおいしいものはありましたか?
 イカメンチです!すり身のイカを野菜と一緒に揚げたものなのですが、地元で居酒屋行ったら絶対に頼みますね。ビールにも合うし最高です!また日本酒がおいしくて、お刺身・お魚も美味しいです。そして六趣という長芋の焼酎があるのですが、お酒が好きな方は一度飲んで頂きたいです。ロケ弁は、制作部が居酒屋さんに交渉し「土地のものを入れてください」と、交渉してくれてイカメンチも入っていたと思います。弘前にはアップルパイのお店が50店舗くらいあって、ガイドブックまで発行されています。
松村さん自体、フィルムコミッションに求めることや重視することはありますか?
 私はずっと制作担当、ラインプロデューサーを経験し、一からロケハンをするというところからやっていたので、一緒に楽しんで汗をかいてくれることが前提です。「博士の愛した数式」という作品でも、上田市のFCの人と作業していたのですが、初めはお互いを知らないので一緒に現地を周り、作品やお互いの人生のことを話ながらやっていました。短い間でも、「こんな作品にしていきたい」というのが共鳴して「パチっ」てハマってくれば嬉しいです。
プロデューサーの方は一番優先的に考えることってなんでしょうか?
 ロケーションをどこにするかは大事にしています。予算、作品のクオリティを決定づけるので慎重に慎重を重ねます。
最後に、映像制作者の若い目指す学生の方や、制作部の若い子に向けて何かプロデューサーとしてのアドバイス等をお伺い出来ればと思います
 映像業界はいま、過渡期を迎えています。業務体制を含めた、働き方・給与等の課題が山積しています。が、自分のやりたい、表現したい世界観があれば、無限の可能性がある業界です。そこには色々な苦労や挫折がついては回ると思うけど、そこを超えた時には、とてつもない喜びと充実感が待っています。共に未来を創っていきましょう。

----ありがとうございました!
作品情報
映画『いとみち』
________________________________
「人があるげば道ができ、道を振り返れば歴史という景色が見えるど言う。
わあの歴史はまんだ、どごさも見当たらね」
青森県弘前市の高校。日本史の授業で音読をあてられ、相馬いと(駒井蓮)は
この世には珍しく激しい津軽弁で、みんなから笑われる。

訛りと人見知りのせいで本当の自分を見せることができず、友人もいない。
得意だったはずの津軽三味線も気乗りせず、弾かないままずっとしまい込んでいる。

そんなもやもやした日々を過ごすいとが意を決して始めたアルバイト先は
なんとメイドカフェ!五能線と奥羽本線を乗り継ぎ “大都会”青森市へ。
津軽メイド珈琲店には、やたら丁寧な店長の工藤優一郎(中島歩)、
強気なシングルマザーの葛西幸子(黒川芽以)、
漫画家を目指している福士智美(横田真悠)がいた。
いとはメイド服はばっちり似合って喜んだものの、キメ台詞が言えない。
「お、お、おおんがえりなさいませ、ご、ごすずんさま!」。
オーナーの成田太郎(古坂大魔王)はその不気味さでびびるいとに「絆」をアツく語る。

ある日、テレビのニュースで成田が逮捕されたことが報じられ驚愕するいと。
突然のメイドカフェ廃業の危機に、いとが立ち上がった。
「わあ、好ぎだ人だぢど、ずっと一緒に働きてえです。
まんだいっぺえお客さんさ来てもらいてえんです。三味線弾がせでください!」。
_______________________________
【作品情報】
2021年6月18日(金)公開
出演者: 駒井蓮、豊川悦司、黒川芽以、横田真悠、中島 歩、古坂大魔王、ジョナゴールド(りんご娘)、宇野祥平、西川洋子
原作:越谷オサム
脚本・監督:横浜聡子
主題歌:人間椅子「エデンの少女」
配給:アークエンタテインメント
©2021「いとみち」製作委員会

                                                                                   【INTERVIEW】
プロデューサー
松村龍一さん
1969年生まれ。大阪府大阪市出身。199年に石井聰亙(現:岳龍)監督の福岡映画塾に参加。1997年『CAT’SEYEキャッツ•アイ』(林海象監督)にフリーの制作部として映画業界へ。以後、様々な映画制作に携わる。1999年『ガメラ3邪神<イリス>覚醒』、『死国』、『千年旅人』、2000年『三文役者』、2002年 『阿弥陀堂だより』、2003年 『スパイ・ゾルゲ」、『座頭市』、2005年『博士の愛した数式』、2013年『奇跡のリンゴ』に参加。2015年、hide 50th anniversary FILM『JUNK STORYをプロデュース。2017年9月株式会社ドラゴンロケット設立、本作が第一弾映画作品となる。
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