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ホーム > 映像関係者の声 > プロデューサーインタビュー > 第2弾!「保護司」をしているひとりの女性の成長物語を、どうしても映画一本では描き切れないという想いがありました/ 映画『前科者』の加茂義隆プロデューサーに『企画から作品が出来るまでの経緯』を聞く

第2弾!「保護司」をしているひとりの女性の成長物語を、どうしても映画一本では描き切れないという想いがありました/ 映画『前科者』の加茂義隆プロデューサーに『企画から作品が出来るまでの経緯』を聞く

2022.01.28
プロデューサー
加茂義隆さん
第2弾!『アフロ田中』『ピース オブ ケイク』 など、多くの作品のプロデュースを務める加茂プロデューサーに「作品が生まれた経緯」「撮影のこだわり」を語って頂きました。
映画化に至って、「ここをロケ地にしよう」という構想などはあったのでしょうか?(1/2)
 ロケ地についてはいくつか特に重要なところがありました。岸監督と撮影の夏海さんの撮り方は結構自由で。 例えば主人公の有村さんと対峙する森田さんが向きあって話をするときに、役者の表情を撮る際に良い顔を絶対逃したくないという思いで、有村さんがセリフを喋っている途中であっても、向き合っている森田さんに急にカメラを向けたりするんです。ドキュメンタリーのようにカメラを現場で自由に振りながら、撮影してゆきます。その撮影手法に合う場所というのも一つのポイントでした。
映画化に至って、「ここをロケ地にしよう」という構想などはあったのでしょうか?(2/2)
 岸監督は位置関係にもリアリティをもって撮るので、広い範囲で撮影許可が取れている場所が必要な場合もあります。例えば、終盤刑事たちが張り込み、その前で車が衝突するシーンがあるのですが、ロケーション的には張り込み部屋だけ別の場所で撮影しても…という発想もできるのですが、そうしたくないという「こだわり」があります。要は「ここから刑事たちが覗いている先で実際に事が起きる」という地理的なリアリティが重要になります。
周辺環境なども含め、大変そうだなと…現場は大変でしたか?
 大変でしたね。あのシーンだけで3日、4日かかっていました。実際のロケ場所探しは、制作部が頑張ってくれました。千葉県の木更津付近なのですが、物語にとって嘘がないリアルなシーンにできる、良い場所を見つけてくれました。
そのほか、ロケーションに関して印象深い設定などはありますか?
 主人公が大きな出来事を乗り越えて友人関係になるみどり(石橋静河)と一緒に地元に帰るという大切なシーンを湘南の片瀬海岸東海岸で撮影させていただきました。学校の図書館に行くシーンがあるのですが片瀬海岸から少し北上した実際の中学校をお借りしました。実は、この時期は、コロナ禍で学校での撮影協力を得るのがかなり難しい時でした。そんな中で快く貸してくださり、すごく助けられました。映画の最後はしっかり希望を持たせたいという話をしていたので、佳代とみどりが歩く浜辺やこの学校など、湘南周辺ではとても良い画が撮れたと思います。
先ほど仰っていたのですが、カーアクションとかは地元の地域の理解とかすごく重要ですか?
 重要ですよね。こちらは借していただいて大掛かりなことをする側ですけど、せっかくの映画撮影なので地域の方々も楽しんでもらえるようなエンターテイメントを作らなきゃいけないなと思います。
有村架純さん以外のキャストさんも本当に味があって良かったと思いますが、もともと最初からこの人にしようっていうイメージとかあったのでしょうか?
 実は、有村さんと森田さんという組み合わせは私が最初に小学館に出した企画書で書いていた2人なんです。寄り添うという意味では気真面目さとかいろんな面を持っているけど包み込んでくれるような人が良いと思っていたので、包容力のある笑顔が素敵な有村さんで岸監督ともイメージは一致していました。阿川佳代役の有村さんが対する工藤役には、相当パンチのある人を持ってきたいと思っていました。一番インパクトのある組み合わせは誰だろうと思っていたとき、ちょうど森田剛さん主演の『FORTUN(フォーチュン)』という舞台に出会いました。森田さんのお芝居の魅力に完全に魅了されてしまい、この人しかいないと直感的に名前を挙げさせていただきました。お二人から「やります」とお返事をいただいたときは本当に嬉しかったです。
そのほかのキャストさんに関してはいかがでしょうか?
 まず、刑事の滝本真司役は年齢感的に佳代(有村架純)と同世代でないといけないということと、彼自身もつらい過去を持っているという設定の中で、目でそれを表現できる方を探していました。キャスティングプロデューサーのおおずさんが藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』の磯村勇斗さんのお芝居が素晴らしいから観てほしいと推薦をいただきました。映画を観て、監督含めて満場一致で磯村さんにオファーさせていただきました。あとリリー・フランキーさんや木村多江さんといった岸組の作品に出られてる素晴らしい俳優陣。あとは若葉竜也さん。森田剛さんの出演が決まっていた中で、彼とガッツリ芝居をする重要な役どころでした。森田剛という芝居の化け物みたいな人と芝居でガッツリやり合うにはもう化け物しかいないという思いで若葉さんのお名前が挙がりました。石橋静河さんはドラマ版の方で非常に大きな役割を担っています。ドラマ版の1、2話で最初の保護観察対象者として登場し、全話通じて最後には佳代と友情関係が結ばれる。映画の方では佳代の気持ちを支えてあげる友人として出てきます。そうなると同年代で、かつ有村さんとは違う空気をまとっている人が必要でした。傷害事件を起こしてしまうヤンキーだが人情味がある難しい役です。三宅唱監督の『君の鳥は歌える』や石井裕也監督の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石橋さんの演技をみんなが大絶賛して、是非石橋さんにお願いしたいということでオファーをしました。
今後加茂さんが作品に携わる際にやりたい作品や、ロケなどはありますか?
 ロケって題材やそのお話やキャラクターに寄り添う非常に大きな要素ではあるので、ネタが何かによって当然違います。しかし最近思うのが、よくドラマや映画を見ていて、「ここよく見るな」というロケ現場も結構あると思います。ご協力いただける方がいてこそなので、ありがたいことと感じつつ、選択肢が増えるともっと面白くなると思います。他の作品では見たことのないような風景ももっと出てくるといいなと感じます。それは僕らが知らないだけなのか、あってもなかなか借りるのが難しかったりするのか、色々あるとは思いますが、既視感のしない新しい世界観の作品が世の中に溢れてくれるともっとワクワクすると思います。余談ですが、足利ロケの時に渋谷の交差点のロケセットを見に行ったのですが、規模が大きくとても良かったです。日本で巨大スタジオをなんかも作れたらいいですね(笑)
映像業界の若い世代へのアドバイスがあれば何か頂きたいなとおもっています。
 ドラマや映画を作るお仕事って夢がないといけない世界だとは思いますが、今色々な人の言葉や状況を見聞きしていると夢だけではやっていけない現実も事実としてあると思います。特に過酷な労働環境やアップデートできていない業界慣習など我々若い世代が向き合うべき問題は多々あります。とは言え、社会で働く一個人として前向きに仕事する気持ちは絶対に忘れてはいけないと思います。せっかく夢の仕事を手に入れたのに、いろんな環境で縮こまってしまうこともあると思いますが、大人たちに削がれないようにいつまでも夢や野心は絶対に持ち続けてほしいと思います。
第2弾!『アフロ田中』『ピース オブ ケイク』 など、多くの作品のプロデュースを務める加茂プロデューサーに「作品が生まれた経緯」「撮影のこだわり」を語って頂きました。
映画化に至って、「ここをロケ地にしよう」という構想などはあったのでしょうか?(1/2)
 ロケ地についてはいくつか特に重要なところがありました。岸監督と撮影の夏海さんの撮り方は結構自由で。 例えば主人公の有村さんと対峙する森田さんが向きあって話をするときに、役者の表情を撮る際に良い顔を絶対逃したくないという思いで、有村さんがセリフを喋っている途中であっても、向き合っている森田さんに急にカメラを向けたりするんです。ドキュメンタリーのようにカメラを現場で自由に振りながら、撮影してゆきます。その撮影手法に合う場所というのも一つのポイントでした。
映画化に至って、「ここをロケ地にしよう」という構想などはあったのでしょうか?(2/2)
 岸監督は位置関係にもリアリティをもって撮るので、広い範囲で撮影許可が取れている場所が必要な場合もあります。例えば、終盤刑事たちが張り込み、その前で車が衝突するシーンがあるのですが、ロケーション的には張り込み部屋だけ別の場所で撮影しても…という発想もできるのですが、そうしたくないという「こだわり」があります。要は「ここから刑事たちが覗いている先で実際に事が起きる」という地理的なリアリティが重要になります。
周辺環境なども含め、大変そうだなと…現場は大変でしたか?
 大変でしたね。あのシーンだけで3日、4日かかっていました。実際のロケ場所探しは、制作部が頑張ってくれました。千葉県の木更津付近なのですが、物語にとって嘘がないリアルなシーンにできる、良い場所を見つけてくれました。
そのほか、ロケーションに関して印象深い設定などはありますか?
 主人公が大きな出来事を乗り越えて友人関係になるみどり(石橋静河)と一緒に地元に帰るという大切なシーンを湘南の片瀬海岸東海岸で撮影させていただきました。学校の図書館に行くシーンがあるのですが片瀬海岸から少し北上した実際の中学校をお借りしました。実は、この時期は、コロナ禍で学校での撮影協力を得るのがかなり難しい時でした。そんな中で快く貸してくださり、すごく助けられました。映画の最後はしっかり希望を持たせたいという話をしていたので、佳代とみどりが歩く浜辺やこの学校など、湘南周辺ではとても良い画が撮れたと思います。
先ほど仰っていたのですが、カーアクションとかは地元の地域の理解とかすごく重要ですか?
 重要ですよね。こちらは借していただいて大掛かりなことをする側ですけど、せっかくの映画撮影なので地域の方々も楽しんでもらえるようなエンターテイメントを作らなきゃいけないなと思います。
有村架純さん以外のキャストさんも本当に味があって良かったと思いますが、もともと最初からこの人にしようっていうイメージとかあったのでしょうか?
 実は、有村さんと森田さんという組み合わせは私が最初に小学館に出した企画書で書いていた2人なんです。寄り添うという意味では気真面目さとかいろんな面を持っているけど包み込んでくれるような人が良いと思っていたので、包容力のある笑顔が素敵な有村さんで岸監督ともイメージは一致していました。阿川佳代役の有村さんが対する工藤役には、相当パンチのある人を持ってきたいと思っていました。一番インパクトのある組み合わせは誰だろうと思っていたとき、ちょうど森田剛さん主演の『FORTUN(フォーチュン)』という舞台に出会いました。森田さんのお芝居の魅力に完全に魅了されてしまい、この人しかいないと直感的に名前を挙げさせていただきました。お二人から「やります」とお返事をいただいたときは本当に嬉しかったです。
そのほかのキャストさんに関してはいかがでしょうか?
 まず、刑事の滝本真司役は年齢感的に佳代(有村架純)と同世代でないといけないということと、彼自身もつらい過去を持っているという設定の中で、目でそれを表現できる方を探していました。キャスティングプロデューサーのおおずさんが藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』の磯村勇斗さんのお芝居が素晴らしいから観てほしいと推薦をいただきました。映画を観て、監督含めて満場一致で磯村さんにオファーさせていただきました。あとリリー・フランキーさんや木村多江さんといった岸組の作品に出られてる素晴らしい俳優陣。あとは若葉竜也さん。森田剛さんの出演が決まっていた中で、彼とガッツリ芝居をする重要な役どころでした。森田剛という芝居の化け物みたいな人と芝居でガッツリやり合うにはもう化け物しかいないという思いで若葉さんのお名前が挙がりました。石橋静河さんはドラマ版の方で非常に大きな役割を担っています。ドラマ版の1、2話で最初の保護観察対象者として登場し、全話通じて最後には佳代と友情関係が結ばれる。映画の方では佳代の気持ちを支えてあげる友人として出てきます。そうなると同年代で、かつ有村さんとは違う空気をまとっている人が必要でした。傷害事件を起こしてしまうヤンキーだが人情味がある難しい役です。三宅唱監督の『君の鳥は歌える』や石井裕也監督の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石橋さんの演技をみんなが大絶賛して、是非石橋さんにお願いしたいということでオファーをしました。
今後加茂さんが作品に携わる際にやりたい作品や、ロケなどはありますか?
 ロケって題材やそのお話やキャラクターに寄り添う非常に大きな要素ではあるので、ネタが何かによって当然違います。しかし最近思うのが、よくドラマや映画を見ていて、「ここよく見るな」というロケ現場も結構あると思います。ご協力いただける方がいてこそなので、ありがたいことと感じつつ、選択肢が増えるともっと面白くなると思います。他の作品では見たことのないような風景ももっと出てくるといいなと感じます。それは僕らが知らないだけなのか、あってもなかなか借りるのが難しかったりするのか、色々あるとは思いますが、既視感のしない新しい世界観の作品が世の中に溢れてくれるともっとワクワクすると思います。余談ですが、足利ロケの時に渋谷の交差点のロケセットを見に行ったのですが、規模が大きくとても良かったです。日本で巨大スタジオをなんかも作れたらいいですね(笑)
映像業界の若い世代へのアドバイスがあれば何か頂きたいなとおもっています。
 ドラマや映画を作るお仕事って夢がないといけない世界だとは思いますが、今色々な人の言葉や状況を見聞きしていると夢だけではやっていけない現実も事実としてあると思います。特に過酷な労働環境やアップデートできていない業界慣習など我々若い世代が向き合うべき問題は多々あります。とは言え、社会で働く一個人として前向きに仕事する気持ちは絶対に忘れてはいけないと思います。せっかく夢の仕事を手に入れたのに、いろんな環境で縮こまってしまうこともあると思いますが、大人たちに削がれないようにいつまでも夢や野心は絶対に持ち続けてほしいと思います。
作品情報
映画『前科者』
ふたつの仕事をかけ持つ阿川佳代、28歳。コンビニ勤務は至って平穏だが、もうひとつの務めは波乱に満ちていた。元受刑者の更生を助ける保護司という仕事で、国家公務員だがボランティアのため報酬は一切ない。それでも阿川は、次々と新たな問題を起こす前科者たちを、「あなたは崖っぷちにいます!」と厳しく叱り、「落ちたら助けられなくなります」と優しく励ます。「もっと自分の人生を楽しめば」と周りには言われるが、何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。 そんな中、阿川は殺人を犯した工藤誠を担当することになり、懸命に生きる彼を全力で支える。ところが、工藤は保護観察終了前の最後の面談にも現れず、社員登用が決まっていた自動車修理工場からも姿を消す。折しも連続殺傷事件が発生、捜査線上に工藤が浮かぶことで、これまで阿川が隠してきた過去や“保護司になった理由”が明かされていく。 阿川は工藤の更生のために何ができるのか‐‐‐_______________________________【作品情報】2022年1月28日(金)公開出演者: 有村架純、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江、森田剛原作:「前科者」(原作/香川まさひと・月島冬二「前科者」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載))監督・脚本・編集:岸善幸音楽:岩代太郎助成:文化庁「文化庁文化芸術振興費補助金」(映画創造活動支援事業)「独立行政法人日本芸術文化振興会」配給:日活、WOWOW制作プロダクション:日活、テレビマンユニオン製作:映画「前科者」製作委員会(WOWOW、日活、バップ、テレビマンユニオン、小学館、Filmarks)©2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会映画版へと続く<はじまりの物語>「WOWOWオリジナルドラマ 前科者 −新米保護司・阿川佳代−」WOWOWオンデマンド、Amazon Prime Videoで配信中原作:香川まさひと・月島冬二「前科者」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)監督・編集:岸善幸 岡下慶仁脚本:港岳彦音楽:岩代太郎出演:有村架純 石橋静河 大東駿介 古川琴音 柄本時生 大西信満 富田健太郎 橋本さとし 徳永えり 秋山菜津子/宇野祥平 北村有起哉                                                                                   【INTERVIEW】株式会社WOWOW 事業局コンテンツ事業部プロデューサー加茂義隆さん
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