MENUCLOSE
掲載のご依頼 メルマガ登録 制作会社様へ お気に入りリスト よくあるご質問
会員登録 ログイン
ホーム > 映像関係者の声 > プロデューサーインタビュー > 第1弾!「保護司」をしているひとりの女性の成長物語を、どうしても映画一本描き切れないという想いがありました/ 映画『前科者』の加茂義隆プロデューサーに『企画から作品が出来るまでの経緯』を聞く

第1弾!「保護司」をしているひとりの女性の成長物語を、どうしても映画一本描き切れないという想いがありました/ 映画『前科者』の加茂義隆プロデューサーに『企画から作品が出来るまでの経緯』を聞く

2021.12.21
プロデューサー
加茂義隆さん
第1弾!『アフロ田中』『ピース オブ ケイク』 など、多くの作品のプロデュースを務める加茂プロデューサーに「作品が生まれた経緯」「撮影のこだわり」を語って頂きました。
どのような経緯で作品が生まれたのですか?

  2018年に原作コミックの第一巻を書店で見て、タイトルのインパクトの強さに惹かれたのがきっかけです。タイトルからしてハードな内容なのかなと思って手にしたのですが、「人生において間違いを犯してしまった人」と「その更生を見守る保護司」をしている若い女性の物語がかなり丁寧に描かれていて、人情味のある温かい話だな思ったのが最初の印象でした。最近は、犯罪やそれ以外にも“間違い”を起こしてしまった人に対して辛辣な言葉がネットやSNSで溢れる風潮があり、日々ネットニュースなどを見ては嫌な気分になる時期がありました。この本は間違いを犯した人をもう一度生き直すために奔走する主人公・阿川佳代と必死に生きようとする前科者たちを丁寧に描いていて、今にマッチしているテーマなのではないかと思い、映像化を小学館に相談したのが始まりです。

加茂さんが自ら企画を持って作られたという形ですか?

  はい。最初に小学館に「映像化したいです」と企画書を持ってゆきました。あまり知名度が高くはない「保護司」という職業をしている女性の成長物語にしたいと考えたときに、どうしても映画一本じゃ描き切れないという想いがありました。「ドラマと映画という両方の形で、やりたい」という希望を原作者の香川先生や月島先生がご快諾してくれたことで企画がスタートできました。

監督はどこから入られたのですか?

 岸監督とは、僕が前職のとき映画の企画開発したことがありました。しかしその企画を成立させることができなかったプロデューサーとして悔しい過去があります。それから、「いつか岸監督と映画を作りたい」という想いがずっと心にありました。同時に「次は絶対に成立させる」という強い想いも心のどこかで燃えていました。岸監督はNHKの「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日~8月6日」、「開拓者たち」や「ラジオ」といった素晴らしいドラマを撮られてきました。 これらのドラマはリアリティとドラマチックさが絶妙なバランスで描かれていたので、実在の職業と成長物語が題材の『前科者』は岸監督なら絶対に面白くなるという思いで相談させていただきました。

企画が成り立って撮影期間ってだいたいどれくらいで撮られたのでしょうか?

 ドラマと映画は続けて撮りました。最初に映画を撮り、映画の撮影が終わってからドラマの撮影したのですが、2020年の12月から2021年の2月の中頃にかけての撮影期間でした。約2ヵ月程です。年が明けてから緊急事態宣言にもなり、コロナ禍での撮影でした。WOWOWもコロナ禍における制作ガイドラインがあるので、そのルールの中でどう撮っていくかということを考えていました。大変でしたけど、各スタッフ、キャスト、関係者のご協力で乗り越えました。

スケジュール調整は相当苦労されたのではないでしょうか?

 スタッフ・キャスト・関係者が皆緊張感をもって撮影を進めていました。特に撮影現場のスケジュールを組んでゆくチーフ助監督とロケ場所などの交渉をしてくれた制作部さん、衛生管理担当のスタッフは特にしんどい精神状態だったと思います。本当に感謝しております。

ロケ地の話もお伺いできればと思いますが、 原作・ドラマなど作品を通して印象的なロケ場所はありますか?

 原作にもありますが、湘南ですかね。 原作だと彼女自身も湘南地域に住んでいる設定なのですが、湘南周辺は綺麗でおしゃれな街なので映像化するとき全体を湘南設定にするとトーンが少し明るくなりすぎてしまうと言うのを心配していました。であれば、「彼女の地元が湘南である」という設定にするのはどうかと監督と相談しました。原作者にも相談し、佳代が帰って来る温かい光の溢れる地元であり過去に不幸な事件が起きてしまった、帰りたいけど帰れない因縁の土地という設定にさせてもらいました。本編の彼女が住んでいる自宅は(前橋で撮ったのですが)、都内近郊設定で、彼女の地元が湘南周辺であるという距離感です。

ロケ中でキャストさんやスタッフの方々のなんかその裏話とかありますか?

 とにかく寒かったです(笑) みんな凍えていました。小さなヒーターを持って、キャストの周り持っていったりもしました。数人のスタッフの裏話でいうと、キャストの前にヒーターを持っていくっていうのは、キャストが本番にいった際に実は自分に当てられるということもあり、率先してヒーターをキャストに当てに行っている人もいました(笑)。ただ、そんな寒さの中、キャストの皆さんは集中していて岸組の熱量の高さに脱帽していました。実は岸監督、撮影時にテストをしないんです。段取りをしてテストをして本番という流れが多いのですが、岸監督は段取りやったらすぐ本番。自分がどう撮られるか分からない中で芝居だけをひたすらやるという独特な撮り方をしているので、相当な集中力が必要なんだと思います。現場のモニターの映像を見て涙を流しているスタッフもいました。それだけ役者さんが集中して素晴らしい芝居をしていることなのだと思いました。とても印象的な光景でした。

加茂さんが「これをやろう」というきっかけも、コロナ禍が背景というのはあるのでしょうか?

 企画したときはコロナ前だったのですが、やっているうちに、コロナによって人と人の関係が少し変わり、分断や孤立などより目に見えやすくなったというか、それに伴い心無い言葉もより激しくなっている気がしました。その先にある人と人の希望みたいなものって結局、人間同士が手を取り合わないと生まれないと思います。そういう対話が人を助けるということや、助けてもらう勇気、辛いときに甘える力など、この映画からなにか感じ取っていただけたら嬉しいです。

保護司という設定が特殊だなと感じましたが、話を持って行った時に有村さんはどういうリアクションでしたか?

 オファーしたとき私はマネージャーさんとしか 話はしてないのですが、取材などを聞いていると有村さん自身も「保護司」という仕事を知ってはいたが、無給の国家公務員であるなどその詳細まではご存じでなかったようです。保護司は、例えば弁護士のように何か自分が特殊な権限を持ってアクションを起こすということができない仕事です。本当に見守るだけ、寄り添うだけという仕事のあり方にまず興味を持っていただけたのだと思います。岸監督とプロデューサー陣の間でエンターテイメントとして希望のある終わりにしたいという想いがあり、保護司という職業が物語の中でどういう役割を果たせるかということを計算しながら脚本を作ったので、有村さんにはこのメッセージ性とエンタテインメント性の全体的なバランスもご評価いただいていてご出演をご了承頂いたのかと思っております。

企画当初の段階からの気持ちの変化というのは当然あったということですか?

 そうですね、変化というかより想いが強くなっていったという感じです。それこそ冒頭に話したネットの書き込みも、前よりも激しくなっている気がします。残念ながらコロナ禍においては対人関係に苦しい思いをして、悩み、時には自ら命を絶ってしまう人もいます。2020年以降、人と人が生きるために手を取り、寄り添うことがテーマのこの作品に対して作りたい気持ちはどんどん強くなってきた気がします。

 

‐‐‐第2弾へつづく

第1弾!『アフロ田中』『ピース オブ ケイク』 など、多くの作品のプロデュースを務める加茂プロデューサーに「作品が生まれた経緯」「撮影のこだわり」を語って頂きました。
どのような経緯で作品が生まれたのですか?

  2018年に原作コミックの第一巻を書店で見て、タイトルのインパクトの強さに惹かれたのがきっかけです。タイトルからしてハードな内容なのかなと思って手にしたのですが、「人生において間違いを犯してしまった人」と「その更生を見守る保護司」をしている若い女性の物語がかなり丁寧に描かれていて、人情味のある温かい話だな思ったのが最初の印象でした。最近は、犯罪やそれ以外にも“間違い”を起こしてしまった人に対して辛辣な言葉がネットやSNSで溢れる風潮があり、日々ネットニュースなどを見ては嫌な気分になる時期がありました。この本は間違いを犯した人をもう一度生き直すために奔走する主人公・阿川佳代と必死に生きようとする前科者たちを丁寧に描いていて、今にマッチしているテーマなのではないかと思い、映像化を小学館に相談したのが始まりです。

加茂さんが自ら企画を持って作られたという形ですか?

  はい。最初に小学館に「映像化したいです」と企画書を持ってゆきました。あまり知名度が高くはない「保護司」という職業をしている女性の成長物語にしたいと考えたときに、どうしても映画一本じゃ描き切れないという想いがありました。「ドラマと映画という両方の形で、やりたい」という希望を原作者の香川先生や月島先生がご快諾してくれたことで企画がスタートできました。

監督はどこから入られたのですか?

 岸監督とは、僕が前職のとき映画の企画開発したことがありました。しかしその企画を成立させることができなかったプロデューサーとして悔しい過去があります。それから、「いつか岸監督と映画を作りたい」という想いがずっと心にありました。同時に「次は絶対に成立させる」という強い想いも心のどこかで燃えていました。岸監督はNHKの「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日~8月6日」、「開拓者たち」や「ラジオ」といった素晴らしいドラマを撮られてきました。 これらのドラマはリアリティとドラマチックさが絶妙なバランスで描かれていたので、実在の職業と成長物語が題材の『前科者』は岸監督なら絶対に面白くなるという思いで相談させていただきました。

企画が成り立って撮影期間ってだいたいどれくらいで撮られたのでしょうか?

 ドラマと映画は続けて撮りました。最初に映画を撮り、映画の撮影が終わってからドラマの撮影したのですが、2020年の12月から2021年の2月の中頃にかけての撮影期間でした。約2ヵ月程です。年が明けてから緊急事態宣言にもなり、コロナ禍での撮影でした。WOWOWもコロナ禍における制作ガイドラインがあるので、そのルールの中でどう撮っていくかということを考えていました。大変でしたけど、各スタッフ、キャスト、関係者のご協力で乗り越えました。

スケジュール調整は相当苦労されたのではないでしょうか?

 スタッフ・キャスト・関係者が皆緊張感をもって撮影を進めていました。特に撮影現場のスケジュールを組んでゆくチーフ助監督とロケ場所などの交渉をしてくれた制作部さん、衛生管理担当のスタッフは特にしんどい精神状態だったと思います。本当に感謝しております。

ロケ地の話もお伺いできればと思いますが、 原作・ドラマなど作品を通して印象的なロケ場所はありますか?

 原作にもありますが、湘南ですかね。 原作だと彼女自身も湘南地域に住んでいる設定なのですが、湘南周辺は綺麗でおしゃれな街なので映像化するとき全体を湘南設定にするとトーンが少し明るくなりすぎてしまうと言うのを心配していました。であれば、「彼女の地元が湘南である」という設定にするのはどうかと監督と相談しました。原作者にも相談し、佳代が帰って来る温かい光の溢れる地元であり過去に不幸な事件が起きてしまった、帰りたいけど帰れない因縁の土地という設定にさせてもらいました。本編の彼女が住んでいる自宅は(前橋で撮ったのですが)、都内近郊設定で、彼女の地元が湘南周辺であるという距離感です。

ロケ中でキャストさんやスタッフの方々のなんかその裏話とかありますか?

 とにかく寒かったです(笑) みんな凍えていました。小さなヒーターを持って、キャストの周り持っていったりもしました。数人のスタッフの裏話でいうと、キャストの前にヒーターを持っていくっていうのは、キャストが本番にいった際に実は自分に当てられるということもあり、率先してヒーターをキャストに当てに行っている人もいました(笑)。ただ、そんな寒さの中、キャストの皆さんは集中していて岸組の熱量の高さに脱帽していました。実は岸監督、撮影時にテストをしないんです。段取りをしてテストをして本番という流れが多いのですが、岸監督は段取りやったらすぐ本番。自分がどう撮られるか分からない中で芝居だけをひたすらやるという独特な撮り方をしているので、相当な集中力が必要なんだと思います。現場のモニターの映像を見て涙を流しているスタッフもいました。それだけ役者さんが集中して素晴らしい芝居をしていることなのだと思いました。とても印象的な光景でした。

加茂さんが「これをやろう」というきっかけも、コロナ禍が背景というのはあるのでしょうか?

 企画したときはコロナ前だったのですが、やっているうちに、コロナによって人と人の関係が少し変わり、分断や孤立などより目に見えやすくなったというか、それに伴い心無い言葉もより激しくなっている気がしました。その先にある人と人の希望みたいなものって結局、人間同士が手を取り合わないと生まれないと思います。そういう対話が人を助けるということや、助けてもらう勇気、辛いときに甘える力など、この映画からなにか感じ取っていただけたら嬉しいです。

保護司という設定が特殊だなと感じましたが、話を持って行った時に有村さんはどういうリアクションでしたか?

 オファーしたとき私はマネージャーさんとしか 話はしてないのですが、取材などを聞いていると有村さん自身も「保護司」という仕事を知ってはいたが、無給の国家公務員であるなどその詳細まではご存じでなかったようです。保護司は、例えば弁護士のように何か自分が特殊な権限を持ってアクションを起こすということができない仕事です。本当に見守るだけ、寄り添うだけという仕事のあり方にまず興味を持っていただけたのだと思います。岸監督とプロデューサー陣の間でエンターテイメントとして希望のある終わりにしたいという想いがあり、保護司という職業が物語の中でどういう役割を果たせるかということを計算しながら脚本を作ったので、有村さんにはこのメッセージ性とエンタテインメント性の全体的なバランスもご評価いただいていてご出演をご了承頂いたのかと思っております。

企画当初の段階からの気持ちの変化というのは当然あったということですか?

 そうですね、変化というかより想いが強くなっていったという感じです。それこそ冒頭に話したネットの書き込みも、前よりも激しくなっている気がします。残念ながらコロナ禍においては対人関係に苦しい思いをして、悩み、時には自ら命を絶ってしまう人もいます。2020年以降、人と人が生きるために手を取り、寄り添うことがテーマのこの作品に対して作りたい気持ちはどんどん強くなってきた気がします。

 

‐‐‐第2弾へつづく

作品情報
映画『前科者』

ふたつの仕事をかけ持つ阿川佳代、28歳。コンビニ勤務は至って平穏だが、もうひとつの務めは波乱に満ちていた。元受刑者の更生を助ける保護司という仕事で、国家公務員だがボランティアのため報酬は一切ない。それでも阿川は、次々と新たな問題を起こす前科者たちを、「あなたは崖っぷちにいます!」と厳しく叱り、「落ちたら助けられなくなります」と優しく励ます。「もっと自分の人生を楽しめば」と周りには言われるが、何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。

 そんな中、阿川は殺人を犯した工藤誠を担当することになり、懸命に生きる彼を全力で支える。ところが、工藤は保護観察終了前の最後の面談にも現れず、社員登用が決まっていた自動車修理工場からも姿を消す。折しも連続殺傷事件が発生、捜査線上に工藤が浮かぶことで、これまで阿川が隠してきた過去や“保護司になった理由”が明かされていく。

 阿川は工藤の更生のために何ができるのか‐‐‐

_______________________________

【作品情報】

2022年1月28日(金)公開

出演者: 有村架純、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江、森田剛

原作:「前科者」(原作/香川まさひと・月島冬二「前科者」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載))

監督・脚本・編集:岸善幸

音楽:岩代太郎

助成:文化庁「文化庁文化芸術振興費補助金」

(映画創造活動支援事業)「独立行政法人日本芸術文化振興会」

配給:日活、WOWOW

制作プロダクション:日活、テレビマンユニオン

製作:映画「前科者」製作委員会(WOWOW、日活、バップ、テレビマンユニオン、小学館、Filmarks)

©2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

 

映画版へと続く<はじまりの物語>

「WOWOWオリジナルドラマ 前科者 −新米保護司・阿川佳代−」

WOWOWオンデマンド、Amazon Prime Videoで配信中

原作:香川まさひと・月島冬二「前科者」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)

監督・編集:岸善幸 岡下慶仁

脚本:港岳彦

音楽:岩代太郎

出演:有村架純 石橋静河 大東駿介 古川琴音 柄本時生 大西信満 富田健太郎 橋本さとし 徳永えり 秋山菜津子/宇野祥平 北村有起哉

【INTERVIEW】

株式会社WOWOW 事業局コンテンツ事業部

プロデューサー

加茂義隆さん

 

撮影に協力的な企業・地域を
無料で紹介!
宣伝やイメージアップを目的とした、撮影に積極的な企業・施設のみ掲載しているため、
最も大変な最初の撮影許可交渉が不要で、時間短縮やコストカットにつながります。