本作の見どころを含め、どんな方に観てもらいたいですか?
実際に終活を気にかけているシニア世代や、その子供世代(40代以上)にまずは観て頂きたいです。終活=死に支度 というイメージを持たれている方もいらっしゃるかとは思いますが、ご覧になって頂ければわかりますが、“笑って泣けて役に立つ”エンターテインメントになっています。この映画を観ることで、何かきっかけがないと話しづらい“終活”についてやこれからの人生をどう過ごすかなどということについて、話をするきっかけにして頂ければと思います。人生のどこかの局面で向き合うであろう、お役立ち情報もふんだんに入れさせて頂きました。また、クライマックスでは、青春時代にシャンソン歌手になることを夢見ていた主人公・千賀⼦がステージで歌う姿や歌声にも是非注目して頂きたいです。
映像制作者を目指す学生の方や、制作部の若い方に向けてプロデューサーとしてメッセージをお願いいたします。
私は最初に就職した大日本印刷の子会社の映像センターに5年程いて、CSの番組や企業向けVPなどを制作していました。
ノンリニアの編集やデジタルカメラでの撮影が始まった頃でしたので、取材の仕込みから撮影―編集―納品と一人でやることも多く、非常に良い経験になりました。そして、そこで出会った映画系のディレクターから刺激を受けて映画学校に通うようにもなり、自主映画のプロデューサーを何本かやりました。ただ、あまりに低予算でスタッフに全くお金が払えず、商業映画をやらないとまずいなと思っていた時、ちょうど東映で芸術職という専門職募集でプロデューサー職を募っていたので応募したところ、採用されました。最初に参加した映画が『男たちの大和/YAMATO』という製作費が15億ぐらいの作品で、規模感の違いに衝撃を受けました。それから15年ほど東映で様々な映画の製作に携わり、宣伝や二次利用に至るまで経験をさせてもらいました。
プロデューサーは、企画を形にするため監督や脚本家との取材や打合せを行い、企画案が出来たらキャスティングやロケーションの仕込み、宣伝から劇場公開、そして二次利用展開にも関わって…というようにやるべきことがたくさんあります。「お終活」のように何年もかけて企画開発を行うことも多く、日々出会う人や場所、出来事が企画のヒントになったり、日常の何気ないことが脚本に生かされたりします。作品が世に出るまでには大変なことも多いので、この1本を作ったら映画製作は終わりにしようと思う時もありますが、公開してちょっと落ち着いて、また次の企画の話を初めてしまうとすぐ2,3年経ってしまうのですよね。今はフリーランスでやっているので一本一本が最後だと思ってやっています。何らかで縁が繋がって新しい作品に携われることになったら、それを有り難く思ってやれれば良いかなと。若くて制作の現場に入ったばかりの人は常に必死で大変だと思いますが、私も出会った人たちとの縁があって多少は長くやれているように、しんどいことがあっても、もがいているうちにたまに良い縁が繋がっていくと思いますので、その日その日を大事にして前向きにやってみてください。