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「今だからこそ、綺麗な映画を作りたい」という想いがありました。/ 映画『ツユクサ』の菅谷英智プロデューサーに『企画から作品が出来るまでの経緯』を聞く

2022.05.14
プロデューサー
菅谷英智さん

映画『ワルボロ』や『ツーアウトフルベース』など、多くの作品のプロデューサーを務める菅谷英智プロデューサーに、「作品が生まれた経緯」や「撮影時の裏話」、「ロケ地選定のこだわり」を語って頂きました。

映画『ツユクサ』が生まれた経緯を教えてください。
 一番最初にお話を頂いたのは平山監督からでした。平山監督と脚本の安倍照雄さんが十年以上前から二人で考えている作品だと説明を受けました。同時に監督自身が、今回一緒にプロデューサーを務めた朝日新聞社の神保プロデューサーと、配給の東京テアトルの沢村プロデューサーとも調整を進めていたようで、平山監督の本作品に対する並々ならぬ熱量を感じました。その後頂いたシナリオを読ませて頂いて「すごく面白い」と感じた上に、出演が小林聡美さん、松重豊さんと伺ってこのプロジェクトは絶対に面白くなると確信し、開発を進めていきました。
「ツユクサ」でこだわった点を教えてください。
 「暗い話題ばかりの世の中だからこそ、キラキラした素敵な大人の物語にしたい」と、関係者全員でこだわりました。本作は、嫌な人間が一人も出てきません。実は、個人的に始めはそれが少しだけ心配だったのですが、平山監督と脚本の安倍さんお二人が10年以上温め続けてきたストーリーをとことん信じようと思いました。結果、完成した映画を観て「変な事言わなくて良かった…」と思いました(笑)。
「綺麗な映画」ということでロケ地探しもこだわりましたか。
 もちろんです。美しい景色、きれいな風景は本作の必須項目でした。元々は四国舞台で考えていましたがコロナウイルスの影響も考慮し、関東近郊でロケ地を探し始めました。企画当初からの港町という設定は外せない中で、多くの地域をロケハンしました。その中でも静岡県西伊豆町が“海の色”がイメージ通りでした。距離的には少し遠くなってしまいましたが、景色が最高だったのでメイン舞台に決めました。海以外の美しい風景もあり、多くのシーンを撮影しました。
ロケ地の話もお伺いできればと思いますが、作品を通して印象的なロケ場所はありますか?
 五十嵐芙美役の小林聡美さんと櫛本直子役の平岩紙さんが引っ越しすることを話しているシーンを撮影した黄金崎です。こんなに綺麗な景色が見れることに本当に感動しました。他にも、篠田吾郎役の松重豊さんと櫛本航平役の斎藤汰鷹さんがルートビアを飲んでいた乗浜海岸も美しい風景が印象に残っています。平山監督もとても気に入っていて、別の機会に再訪したいと言っていました。
その西伊豆町のサポートや、一緒に作っていて、嬉しかった対応はありますか。
 夜間の撮影も協力的だったことはすごく有難かったです。小林聡美さんの乗っている車に隕石がぶつかり、車がひっくり返るシーンは、深夜1時ごろまで撮影をしていました。細心の注意を払って撮影していましたが、大人数で動き回り、且つライティングもしていたので近隣の住民の方々のご迷惑にならないかと本当に心配していました。しかし、事前に西伊豆の町おこし協力隊の方々が交渉してくださっていてそのお陰で驚くほどスムーズに撮影を行うことができました。他にも、レスポンスが速いことは助かりました。突飛な要求やエキストラの手配などを柔軟に対応頂きました。平日の撮影にも関わらず、多くの方々にエキストラ協力でお集まりいただき、地元全体が協力的だったのが本当に嬉しかったです。
ロケ中でキャストさんやスタッフの方々の裏話はありますか?
 西伊豆町での撮影終了後の車移動中に、平岩紙さんがお勧めして下さった燻製タバスコを買って、スタッフと盛り上がっていました。コロナ下の撮影でしたので、現場とホテルの往復で、外での食事が出来ませんでしたので今回はお土産に買ったりなどして楽しんでいました。
コロナ下で撮影を行ったと思いますが、苦労された点を教えてください。
 主に食事と宿泊です。他の現場でも実施していると思いますが、特に食事については徹底して感染症対策を行いました。黙食の徹底や車内での食事を厳しく禁止しました。撮影終了後もコンビニでおにぎりなどを買って、ホテルの部屋で各自食べるといった形でした。通常であれば、地元のお店でご当地グルメを堪能することもロケの醍醐味だったりするのですが、最近はそういった楽しみ方が出来なくなってしまいました。宿泊は可能な限り少なくなるようにスケジューリングをお願いしたのですが、そのせいで移動などの面で俳優やスタッフにキツイ思いをさせてしまいました。宿泊をする際は1人1部屋を徹底して行いました。
最後に、映像制作者を目指す学生の方や、制作部の若い子に向けて何かプロデューサーとしてのアドバイス等をお伺い出来ればと思います。
 強い情熱があれば自分のやりたいことを実現出来る業界だと思います。映画製作は点が集まって線になってその線が画となっていくという過程が物凄く色濃くでる仕事だと思ってますしその中でもプロデューサーという職制は一番最初の点だと思います。忘れないでほしいのが、なぜその点に自分がなろうと思ったのか?そして自分自身どのような画を観たかったのか?は作品の完成から公開まで絶対にブレてはいけないと思ってます。様々な人の意見を聞き方向性を変えていく事は悪いことでありませんが、自分がこういう映画が見たいんだという一番最初に感じたことを叶えられるように頑張ってください。


ありがとうございました!
作品情報
映画『ツユクサ』
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とある小さな田舎町で暮らす芙美(小林聡美)。ボディタオルを作る会社で働きながら、ひとり暮らしをしている。同じ職場の直子(平岩紙)と妙子(江口のり子)は、何でも話せる友達で、直子のひとり息子の航平(斎藤汰鷹)は、うんと歳は離れているけれど大の仲良し。一緒に遊びに行ったり、髪を切ってあげたり、義父・貞夫(渋川清彦)とうまくコミュニケーションが取れないという航平の相談に乗ったり、何でも話せる親友だ。

そんなふうに平凡な毎日を丁寧に暮らしている芙美だが、ワケあって、少し前から断酒会に通っている。ある日の断酒会の帰り道、芙美が運転する車に何かがぶつかり、車体が転倒してしまう事故が起きる。どうやら港に隕石が落ち、その破片が芙美の車にも飛んできたらしい。隕石に遭遇する確率は1億分の1。考え方によっては奇跡に出会うようなものだ。

もうひとつ、小さな出会いが芙美におとずれる。なじみのバーでナポリタンを食べながらマスター(泉谷しげる)と話していると、見慣れない篠田(松重豊)という男性がやって来る。彼は以前、芙美がジョギング中に何度か見かけた男性で、草笛が上手な人だった。その日をきっかけに親しくなっていく芙美と篠田。

気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、うんと年の離れた親友の少年と遊びに出かけたり……日々を楽しく送る芙美だが、ときおり悲しみが見え隠れする。彼女がひとりで暮らしていることには理由があって、その理由にはある哀しみがあった。そして草笛をきっかけに出会った篠田もまた哀しみを抱えて生きている人で……。

50歳を目前にした芙美に、小さな奇跡が起きようとしていた———
_______________________________
【作品情報】
映画『ツユクサ』
公開日:全国公開中

<キャスト>
小林聡美
平岩紙 斎藤汰鷹 江口のりこ
桃月庵白酒 水間ロン 鈴木聖奈 瀧川鯉昇
渋川清彦 / 泉谷しげる / ベンガル
松重豊

<スタッフ>
監督:平山秀幸 脚本:安倍照雄
音楽:安川午朗
主題歌:中山千夏「あなたの心に」(ビクターエンタテインメント)
配給:東京テアトル
©2022「ツユクサ」製作委員会

【INTERVIEW】
プロデューサー
菅谷英智さん
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