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仏伊日合作配信ドラマ『神の雫/Drops of God』で国境を越えた製作話を制作総指揮のクラウス・ジーマンさんに聞く!

2023.09.14
プロデューサー
クラウス・ジマーマンさん

その一滴が、運命を変える。

山下智久 海外ドラマ初主演作。

大人気漫画「神の雫」が、ワインに運命を翻弄される男女を描く国際連続ドラマに生まれ変わり、国境を越えて実写化

約 10 カ月に及ぶ撮影を経てクランクアップし、フランス、イタリア、そして最後は原作の舞台でもある日本で撮影を行われた。


Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」(全8話)

9月15日(金)よりHuluで独占配信開始

「神の雫」の原作を知ったきっかけ、感想を教えてください。
 原作の漫画を読んだのは、シリーズが始まった直後の2012年ぐらいだったと思います。
 最初は、日本人がワインを題材にした漫画を書くなんてと非常に驚きました。それと同時に、これを映像化するのは無理だろうとも感じていました。
 漫画自体は冒頭からすごく興味をそそられる内容で、当時フランスでもかなりのヒットになっていました。そこからしばらくして、5年程前にシリーズ全作品をさらに深く読みました。その頃に講談社さんにアプローチし、テレビシリーズとして映像化できないかという話を始めました。
 ただその時点ではまだ、実際にシリーズ化、映像化が可能かどうかは、自分の中ではっきり答えが出ていませんでした。
日本の人気漫画「神の雫」を連続ドラマにリメイクするというアイデアはどこから生まれたのですか?
 日本とフランスとの話を伝えるための、最善の方法を模索した結果です。それと同時に、「神の雫」の原作に敬意を持って、忠実にあるための結果でもあります。原作と違いすぎるものは作りたくなかったので、この作品をどのように形にしたらよいかと色々と考えた末、漫画の原作に関わる方々とHulu、フランス側のパートナーに提案してみました。
 これまで私自身、国際的な合同作品にはいくつも携わっていましたが、この「神の雫/Drops of God」に関しては、私にとって大きな挑戦でした。理由としては、私が今まで日本とフランスとの合同作品を経験したことがなかったということと、味や五感に訴える作品にも携わったことがなかったことです。そこから数ヶ月、作家の方々と、こういう形ならば実現できるのではないかという案を出していきました。中でも、我々にとっては、日本とフランスとの話を伝える最善の方法を見つけ出すことが一番大事なことでした。
原作の主人公 神咲雫をフランス人女性カミーユに設定変更しようと思った理由とその意図を教えてください。
 元々は、日本人1人とフランス人1人、合わせて2人の男性という設定でストーリーを進めていました。フランス人を1人入れたのは、日本とフランスの合同作品だということをアピールできると思ったからです。正直に言うと、主人公の1人を女性に変えるという案は、だいぶ制作が進んだ段階で思いつきました。もうキャスティングが始まる直前、プロダクションの準備が始まる間近の、突然の発想でした。
 ワインの世界は、伝統的にも男性社会というところがあり、最近ようやく少しずつソムリエや、ワインを製造する方々の中でも女性が参入してきている状況です。加えて2人の主人公のうちの1人を、ワイン業界とは全然関わりのないアウトサイダーから用いるのが面白いかも!という発想から、アイデアを練り上げました。最終的には姉と弟のコンビにして原作者の亜樹直先生に提案し、お二人にもこの設定を面白がっていただき実現することができました。
遠峰一青役に山下智久さんをキャスティングされた理由を教えてください。
 山下さんは実はオーディションで決まりました。ディレクター・監督オーディションだったのですが、そのオーディションの際、役柄に対しての彼の視点が、我々が求めていたものであり、非常に説得力のある演技を見せていただきました。
山下智久さんについて教えてください。
 山下さんは本当に勤勉で、プロとしての仕事ぶりを見せていただき、同年代の日本の役者の中でも、本当に素晴らしい役者なのだと思っています。
 あと「遠峰一青」というキャラクターに対する提案を積極的にしていただきました。
 今回は“ワイン”という、今まで誰も扱ったことないテーマを、どのように映像で表現するかということがいつも議論の焦点でした。その中でも山下さんは色々と考えてくれて、常に「遠峰一青」としての完璧な提案をしていただきました。そして、作品に一層の深みをもたらしてくれましたし、セットの上でもすごく謙虚な方なので完璧を求めるためには何でもしてくれました。撮影現場に「こういう方がいつもいて欲しい」と本当に思いました。

 また山下さんがどれだけ完璧主義者かというエピソードを一つご紹介します。彼自身はワインのスペシャリストではないのですが、より遠峰一青に近づくためにも、撮影現場でもワインについて、どんどん知識をつけていました。撮影が終わる頃には、誰よりもワインに詳しくなっていたと思います。こういった役に対して完璧な側面は本当に素晴らしかったです。
作品の製作にあたって特にこだわったところを教えてください。
 今回のストーリーの中で一番難しかったところは、ワインに対して正確である、間違った情報を伝えないようにするという点です。その為にも、ワインの専門家に何人も入っていただき、アドバイスを受けました。それと同時に、誰もが楽しめる普遍的な作品にしたいという想いもありました。ワインに興味がない人たちにとっても面白い作品にする、そのバランスが大事でした。最終的にはワインというよりはそれぞれの人物の話だったので、その話がちゃんと伝わるように作ることにもこだわりました。
 さらに、もう一つ難しかった、こだわった点は、日本とフランスの2つの文化と言語を、それぞれ間違いなくちゃんと誠実に伝えるというところです。日本とフランスを行き来しているのですが、もちろん日本の文化や言葉に対して敬意もありますし、スタッフの中にも日本語がわかる人もいます。あとは役者さんも日本の方が多かったので、皆さんのアドバイスを受けて、日本の正しい表情というか、言葉や習慣をお伝えしたいと思っていました。フランス人が思う日本人を描きたかったわけではなく、ちゃんと“日本”を伝えたいと思っていたからです。2つの文化の似ている面と似ていない面も、ストーリーの中に盛り込んでいますので、お楽しみください。
ロケーションへのこだわりもかなり強く感じますし魅力的でした。場所探しをする際のこだわりや苦労した場所などはありますか。
 本当に難しかったです。特に日本という国をきちんと理解出来ていない中で、ロケーションを探すというのは非常に難しかったですね。例えば、主人公の「遠峰一青」は名家の出身であり非常に大富豪、かつ何世代も前から知名度が高い一家という設定だったので、このようなお金持ちは東京でどういう暮らしをしているのか、探らなければいけませんでした。住む場所は昔ながらの伝統的な日本の家なのか、それとももう少しモダンな家なのか、息子は親と住んでいるのだろうか、それとも一人暮らしなのだろうか。何もわからなかったので、そういうところから探っていかなければいけないことはすごく大変でした。
 他にも、オフィスシーンでは、日本のオフィスはどういう雰囲気だろうとか。文化を知らないと、こういう一つ一つ細かい点の表現が非常に難しくなり、作業も増えてしまいます。そのため、プロダクションデザインのチームがいて、何ヶ月もかけて、その一つ一つのポイントを探っていました。様々なアドバイザーもいましたし、以前に日本で仕事したことがある方も参加していましたが、作品を作る中での比重が非常に高かったです。

 作品を撮る際、撮影の順番も非常に大事ですね。いろんな破片を組み合わせなければいけません。例えば、日本のホテルという設定のシーンがあるのですが、実はフランスのホテルで撮りました。フランスのホテルで撮りながらも、日本らしく、日本仕様に変えるべく、本当に細かいディテールにも気を使いました。
 他にもそのように設定とは違う国で撮ったシーンもありますので、皆さんにはどこで何を撮ったかというのを、ぜひ当ててみてほしいです。
 あともう一つ、とてもこだわった点は“リアルさ”です。スタジオは一切使いませんでした。最近は、スタジオで撮影することが多いと思いますが、自分たちとしてはリアルを追求するために、一切使用しませんでした。

一番難しかったロケ地は、ワインセラーですね。ワイン学の権威でもあるアレクサンドル・レジェ所有のワインセラーを、遺産として主人公2人のどちらが相続するかの話の中だったので、世界有数の、世界で最も高く美しいワインセラーでなければいけないということがとても難しかったです。というのも、通常のワインセラーは割と狭いんですよね。広さを強調して、かつその中で撮影をしなければいけない、そこがすごく難しかったです。
今回は、2021年8月からというまさにコロナ下での撮影となりましたが、撮影時に大変だったことや完成までで苦労したことがあれば、教えてください。
 全体を通して、非常に難しかったです。そもそも撮影はタイミングがとても重要で、ブドウ畑で収穫の模様を撮影するのですが収穫の期間が非常に短く、その日程がぶれないように調整することが非常に大変でした。
 他にも、日本での撮影の際は、パンデミックの影響で日本に海外の人々が入れない時期があり、撮影再開までに非常に時間がかかったこともあります。あとは、イタリアやタイなどでの撮影もあり世界中回っていたのですが、あのパンデミックの間は本当に大変な時期でした。
 さらに四季をすごく意識していたのですが、自然は待ってくれないので、そのあたりの調整も難しかったです。
本作は批評家にも非常に高く評価されています。改めて、成功の要因はなんだったと言えるでしょうか。
 2つの要因があったと思います。
 1つ目は、テレビシリーズとしてはとてもユニークで今までなかった唯一無二の存在であることです。ワイン・家族をテーマにしていること、日本とフランスを行き来したりしていることが、ユニークであまりない設定ではないかと思っており、それが成功の鍵だと思っています。
 2つ目は、温かい暖色系の色合いを意識的に使い、非常に知的といいますか、美しさだったり、完璧さだったりを表現しているシリーズということです。また、原作は漫画なので、緊張感やドラマ性が強くなるのですが、この対比がさらにユニークにさせている要因だとも思います。非常に美しい出来上がりになっていますし、各地の素晴らしいロケーションで撮影させていただいたので、映像を見るだけでも非常に楽しいと思います。
 ワイン好きの人も、ワインは特に好きではないけれど番組として非常に面白かったという人からも声を聞いています。番組というのは男性向きだったり女性向けだったりと、はっきりわかれたりするのですが、本作の場合は、非常に幅広く、男女ともに楽しんでもらえたのではないでしょうか。
「神の雫/Drops of God」の一番の見どころはどこでしょうか?日本の観客に向けて、メッセージとしてお願いします。
 やはり一番の見どころは最終話ですね。比較的長いテレビシリーズとなりましたが、結末を見守ってほしいです。8時間しっかり見ていただいた方にとって、満足度が高いエンディングになっていると思います。意義のある時間を楽しんでください。
作品情報
ドラマ『神の雫/Drops of God』
著名なワイン評論家のアレクサンドル・レジェが東京の自宅で息を引き取るところからスタート。9歳の時に両親が離婚して以来、アレクサンドルにあっていなかった一人娘のカミーユ(フルール・ジェフリエ)は、彼が遺した世界最大のワインコレクションを含む全財産を相続するためには、アレクサンドルの弟子・一青(山下)との対決に勝つことが条件だと 知る。アレクサンドルの遺書には「一青は“魂の息子”」とありますが、果たしてアレクサンドルと一青の関係は…?複雑な家族関係、相続、そしてワインへの愛が二人の若者を宿命の対決へと導いていく。
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【作品情報】出演者:山下智久、フルール・ジェフリエ
監督:オデット・ラスキン
脚本:コック・ダン・トラン
制作:ダイナミック・テレビジョン
制作協力:アドライン・エンターテイメント
原作:亜樹直、オキモト・シュウ「神の雫」(講談社)

【INTERVIEW】
制作総指揮
クラウス・ジーマンさん

Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」(全8話)
9月15日(金)よりHuluで独占配信開始
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