ロケーションへのこだわりもかなり強く感じますし魅力的でした。場所探しをする際のこだわりや苦労した場所などはありますか。
本当に難しかったです。特に日本という国をきちんと理解出来ていない中で、ロケーションを探すというのは非常に難しかったですね。例えば、主人公の「遠峰一青」は名家の出身であり非常に大富豪、かつ何世代も前から知名度が高い一家という設定だったので、このようなお金持ちは東京でどういう暮らしをしているのか、探らなければいけませんでした。住む場所は昔ながらの伝統的な日本の家なのか、それとももう少しモダンな家なのか、息子は親と住んでいるのだろうか、それとも一人暮らしなのだろうか。何もわからなかったので、そういうところから探っていかなければいけないことはすごく大変でした。
他にも、オフィスシーンでは、日本のオフィスはどういう雰囲気だろうとか。文化を知らないと、こういう一つ一つ細かい点の表現が非常に難しくなり、作業も増えてしまいます。そのため、プロダクションデザインのチームがいて、何ヶ月もかけて、その一つ一つのポイントを探っていました。様々なアドバイザーもいましたし、以前に日本で仕事したことがある方も参加していましたが、作品を作る中での比重が非常に高かったです。
作品を撮る際、撮影の順番も非常に大事ですね。いろんな破片を組み合わせなければいけません。例えば、日本のホテルという設定のシーンがあるのですが、実はフランスのホテルで撮りました。フランスのホテルで撮りながらも、日本らしく、日本仕様に変えるべく、本当に細かいディテールにも気を使いました。
他にもそのように設定とは違う国で撮ったシーンもありますので、皆さんにはどこで何を撮ったかというのを、ぜひ当ててみてほしいです。
あともう一つ、とてもこだわった点は“リアルさ”です。スタジオは一切使いませんでした。最近は、スタジオで撮影することが多いと思いますが、自分たちとしてはリアルを追求するために、一切使用しませんでした。
一番難しかったロケ地は、ワインセラーですね。ワイン学の権威でもあるアレクサンドル・レジェ所有のワインセラーを、遺産として主人公2人のどちらが相続するかの話の中だったので、世界有数の、世界で最も高く美しいワインセラーでなければいけないということがとても難しかったです。というのも、通常のワインセラーは割と狭いんですよね。広さを強調して、かつその中で撮影をしなければいけない、そこがすごく難しかったです。
今回は、2021年8月からというまさにコロナ下での撮影となりましたが、撮影時に大変だったことや完成までで苦労したことがあれば、教えてください。
全体を通して、非常に難しかったです。そもそも撮影はタイミングがとても重要で、ブドウ畑で収穫の模様を撮影するのですが収穫の期間が非常に短く、その日程がぶれないように調整することが非常に大変でした。
他にも、日本での撮影の際は、パンデミックの影響で日本に海外の人々が入れない時期があり、撮影再開までに非常に時間がかかったこともあります。あとは、イタリアやタイなどでの撮影もあり世界中回っていたのですが、あのパンデミックの間は本当に大変な時期でした。
さらに四季をすごく意識していたのですが、自然は待ってくれないので、そのあたりの調整も難しかったです。