山岳医療というテーマはかなり専門性が高いイメージがありますが、撮影にあたってどのような準備をされましたか。
山岳医の先生や救助隊の人にお話を聞かせていただきました。こちらの想像とは違う部分もあって、例えば通常はお医者さんが病院にいて僕らが行って診てもらうかと思いますが、山岳医は現地に行って診ることで救命率が上がると漠然と思っていました。ヨーロッパではその方式をとっているところもあるようですが、日本ではやっていません。
山岳医の先生方とはこの件で大きな議論になりました。やっていないことや美化しすぎた物語は先生方も協力できないし、僕も本望ではありません。日本の山岳医療制度の成り立ちや、今どんな状況になっているのかを聞きました。山に行けた方がいいと思っている先生も中にはいらっしゃいますが、日本は山の標高が低いことや2次災害を起こしてしまう可能性など様々な理由から今の現状になっていることを知りました。
山に行く・行かないというのは物語でもキーになってくるのですね。
ドラマでは場合によっては山に行った方が命を救えるかもしれないと思う宮本歩(杉野遥亮)と行く必要がないという江森岳人(大森南朋)の二人の医者が対立しています。この対立軸で進めていくので、山小屋で治療するときもあれば。病院で治療するときもあります。
単純にヒロイズムで、人を救ってめでたしという話にはできないなと思っていて。山に行かない理由も行く理由もちゃんとドラマの中で描けたら、協力してくださった先生たちもこのドラマの相談にのってくださった意味があると感じてくださるのかなと思います。