1959年、東京都出身。1982年に松竹株式会社に入社後、テレビを経て映画プロデューサーに。山田監督とのコンビは長く、『男はつらいよ』シリーズ(87~95)、『学校』シリーズ(93~00)、『たそがれ清兵衛』(02)、『武士の一分』(06)、『東京家族』(13)、『小さいおうち』(14)など多数。ほかに『愛を積むひと』(15)、『クリーピー偽りの隣人』(16)などを手掛けている。
最初からシリーズ化が考えられていたわけではないんです。『男はつらいよ』のようなプログラムピクチャーは、今やほとんどありません。でも、シリーズ化ができたらいいなという思いは強くありました。試写会で観客が大爆笑しているのを見て『2』もいけるんじゃないか…と思って、いち早く俳優事務所にアプローチし、続編に向けて水面下で相談していました。結果的に映画は大ヒットし、晴れて『2』の製作が決まったんです。
テーマはあくまで「家族」ですが、今作は“免許返上”と“無縁社会”。車をぶつけてばかりいる周造に免許を何とか返上させようとする家族のドタバタ話と、身寄りがなくひとりで生きて死んでしう老人の話です。
8月頭から撮影が始まりましたが、ロケ初日はその夏一番の猛暑日でした。打ち水をした先から地面が乾き、最後は山田監督自ら水を撒き始めたほどです。当初から、夏の撮影は体力的に大丈夫かと心配していたんです。こんな日が続いたら、乗り切れるか不安でしたが、何とか監督、スタッフ、俳優さんたちが頑張ってくれて無事に終わりました。
『寅さん』(『男はつらいよ』)シリーズを思い出していただけると分かると思いますが、同じ役者さんが、しょっちゅう違う役で出演されています。山田監督は、同じシリーズでも1作1作は別作品と考えているんです。小林さんの他にも、前作とは違う役で出ている俳優さんたちがいるので、そんなところも楽しんでください。
前作とおなじ2ヶ月です。『小さいおうち』『母と暮せば』などそれまでの作品は3ヶ月弱ですから、それらに比べると短いですね。喜劇はリズムが大事なので、映画自体の時間も大体1時間40~50分間にして、それはお客さんとしても丁度良い時間なんです。山田監督はリズムにしても完成尺数にしても、全てを計算しながら執筆しています。まさに職人芸ですよ。
映画『東京家族』の時と同じ千葉県にある火葬場で撮影したのですが、あの当時からもう火葬場としては稼働していませんでした。「今回もお願いしよう」と行ってみたら、煙突はすでになく取り壊し直前でした。使用中の火葬場では撮影が難しいため、解体を少し延ばして貰い使わせていただきました。
基本的には東宝スタジオを中心に考えて、新興住宅地が広がる田園都市線沿線で、しかも坂が多いところに絞って調べました。宮崎台から宮前台、鷺沼、たまプラーザ、あざみ野近辺を車で走って見つけたわけです。家は外観だけをお借りして撮影し、中はセットです。入り口のドアは、色の理由もあって、実際の家のドアを山田組仕様のドアに変更しています。
前作同様非常に快く貸していただけましたし、ご近所の方も撮影に慣れてきて下さっているように見えます。2階の部屋も、俳優さんの衣装の着替えやメイクなどでお借りしました。本当にありがたいですし、感謝の気持ちで一杯です。
橋爪さん演じる周造は、家族といつもケンカばかりしているけど、終盤には「俺は幸せ者だ」と言います。「家族」と言うものは現実にはいろいろな問題や形がありますが、でも、「家族とは本来こうあってほしい」という山田監督の思いと願いが、平田家に、そしてこの映画に込められているんです。近年は同居という形が減ってきているし、少子化で大家族という形も少ない。「家族」というのは、面倒くさいけど面白い。平田家は特殊な家族でも何でもないし、とにかく楽しんで欲しいです。騒動はどこでも起こりうること。自分やまわりと重ね合わせながら見てもらえればうれしいですね。
1959年、東京都出身。1982年に松竹株式会社に入社後、テレビを経て映画プロデューサーに。山田監督とのコンビは長く、『男はつらいよ』シリーズ(87~95)、『学校』シリーズ(93~00)、『たそがれ清兵衛』(02)、『武士の一分』(06)、『東京家族』(13)、『小さいおうち』(14)など多数。ほかに『愛を積むひと』(15)、『クリーピー偽りの隣人』(16)などを手掛けている。
最初からシリーズ化が考えられていたわけではないんです。『男はつらいよ』のようなプログラムピクチャーは、今やほとんどありません。でも、シリーズ化ができたらいいなという思いは強くありました。試写会で観客が大爆笑しているのを見て『2』もいけるんじゃないか…と思って、いち早く俳優事務所にアプローチし、続編に向けて水面下で相談していました。結果的に映画は大ヒットし、晴れて『2』の製作が決まったんです。
テーマはあくまで「家族」ですが、今作は“免許返上”と“無縁社会”。車をぶつけてばかりいる周造に免許を何とか返上させようとする家族のドタバタ話と、身寄りがなくひとりで生きて死んでしう老人の話です。
8月頭から撮影が始まりましたが、ロケ初日はその夏一番の猛暑日でした。打ち水をした先から地面が乾き、最後は山田監督自ら水を撒き始めたほどです。当初から、夏の撮影は体力的に大丈夫かと心配していたんです。こんな日が続いたら、乗り切れるか不安でしたが、何とか監督、スタッフ、俳優さんたちが頑張ってくれて無事に終わりました。
『寅さん』(『男はつらいよ』)シリーズを思い出していただけると分かると思いますが、同じ役者さんが、しょっちゅう違う役で出演されています。山田監督は、同じシリーズでも1作1作は別作品と考えているんです。小林さんの他にも、前作とは違う役で出ている俳優さんたちがいるので、そんなところも楽しんでください。
前作とおなじ2ヶ月です。『小さいおうち』『母と暮せば』などそれまでの作品は3ヶ月弱ですから、それらに比べると短いですね。喜劇はリズムが大事なので、映画自体の時間も大体1時間40~50分間にして、それはお客さんとしても丁度良い時間なんです。山田監督はリズムにしても完成尺数にしても、全てを計算しながら執筆しています。まさに職人芸ですよ。
映画『東京家族』の時と同じ千葉県にある火葬場で撮影したのですが、あの当時からもう火葬場としては稼働していませんでした。「今回もお願いしよう」と行ってみたら、煙突はすでになく取り壊し直前でした。使用中の火葬場では撮影が難しいため、解体を少し延ばして貰い使わせていただきました。
基本的には東宝スタジオを中心に考えて、新興住宅地が広がる田園都市線沿線で、しかも坂が多いところに絞って調べました。宮崎台から宮前台、鷺沼、たまプラーザ、あざみ野近辺を車で走って見つけたわけです。家は外観だけをお借りして撮影し、中はセットです。入り口のドアは、色の理由もあって、実際の家のドアを山田組仕様のドアに変更しています。
前作同様非常に快く貸していただけましたし、ご近所の方も撮影に慣れてきて下さっているように見えます。2階の部屋も、俳優さんの衣装の着替えやメイクなどでお借りしました。本当にありがたいですし、感謝の気持ちで一杯です。
橋爪さん演じる周造は、家族といつもケンカばかりしているけど、終盤には「俺は幸せ者だ」と言います。「家族」と言うものは現実にはいろいろな問題や形がありますが、でも、「家族とは本来こうあってほしい」という山田監督の思いと願いが、平田家に、そしてこの映画に込められているんです。近年は同居という形が減ってきているし、少子化で大家族という形も少ない。「家族」というのは、面倒くさいけど面白い。平田家は特殊な家族でも何でもないし、とにかく楽しんで欲しいです。騒動はどこでも起こりうること。自分やまわりと重ね合わせながら見てもらえればうれしいですね。
(STORY)
平田周造(橋爪功)と富子(吉行和子)の離婚騒動から数年。周造はマイカーでの外出をささやかな楽しみにしていたが、車に凹み傷が目立ち始めたことから高齢者の危険運転を心配した家族は運転免許を返上させようと画策する。しかし、頑固オヤジを説得するイヤな役回りを互いになすりつけ合う家族の心を見透かした周造は「いつの間に俺の家族は言いたいことも素直に言えなくなってしまったんだ!」と大激怒。そんな中、周造はトラックとの接触事故を起こしてしまい、ついに家族会議が開かれることに。嫌々ながらも平田家に集まった兄弟夫婦の面々だが、そこで思いもよらない事態が発生し…。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、平松恵美子
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優 ほか
5月27日(土)より全国ロードショー
©2017「家族はつらいよ2」製作委員会
深澤 宏(ふかさわ・ひろし)プロデューサー
1959年、東京都出身。1982年に松竹株式会社に入社後、テレビを経て映画プロデューサーに。山田監督とのコンビは長く、『男はつらいよ』シリーズ(87〜95)、『学校』シリーズ(93〜00)、『たそがれ清兵衛』(02)、『武士の一分』(06)、『東京家族』(13)、『小さいおうち』(14)など多数。ほかに『愛を積むひと』(15)、『クリーピー 偽りの隣人』(16)などを手掛けている。