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ホーム > 映像関係者の声 > 監督インタビュー > ロケ地の人たちの“思い”が僕らを動かすし、僕らもその土地を動かしていきたい

ロケ地の人たちの“思い”が僕らを動かすし、僕らもその土地を動かしていきたい

2015.06.03
映画監督
篠原哲雄さん
最新公開作『種まく旅人 くにうみの郷』を撮ったきっかけを教えてください。
最新公開作『種まく旅人 くにうみの郷』を撮ったきっかけを教えてください。

  新人の頃、前監督の塩屋俊さんのアクターズクリニックで、オーディションに誘われ何回か行ったことがあるんですよ。塩屋さんの後を継ぐ(塩屋さんは13年に急逝)話で、何かのご縁じゃないかと。
もともと土臭い話が好きなので、農業に関わる映画はずっとやりたかったんです。ただ淡路島については、僕も主人公・恵子と同じようにあまり多くの知識は持っていなくて。兵庫県の島であること、玉ねぎが有名であることくらいは知っていましたが、海苔の名産地ということはこの作品で初めて知りましたね。

 海苔作りのリアルなシーンを撮影するため、島の漁師の方々の協力を仰いだそうですが、撮影が行われた2月は海苔漁業の繁忙期だったそうですね。

  それでも全面協力してくれたのは、チーフ助監督の働きのおかげです。彼は1人で撮影前から海苔作りの手伝いをして、実際漁船にも乗ってくれました。そのおかげで漁師の方たちも、だんだん心を開いてくれたんですね。もちろんフィルムコミッション、淡路島フィルムオフィスの方々をはじめ、島をあげての協力体制もありがたかったです。

物語ラストでは、ものすごい量の泥と水を使い、キャスト陣が“疑似かいぼり”を熱演されましたね。撮影はいかがでしたか。

  ため池の水を抜いて、底にたまった泥を人力で海に流し込んでいく。それで畑も海も豊かになるなんて、すごくアナログなんだけど、我々人類の摂理にとっては非常に機能的なものだなと思います。あのシーンは長回し&2キャメで、2日間でなんとか撮り切りました。欲を言えばあと2日は欲しかったですがそうもいかず(笑)。実は途中ですごい寒波が来てしまい、雪かきをしながら撮影したなんて日もあったんです。劇中、ちらちら舞っている雪は本物ですから。

島ロケは苦労もあったかと思いますが、島ならではの楽しみはありましたか。

  とにかく食には恵まれましたね。島の方たちは地元の食材をすごく大事にしていて、飲食店もいろんなことにトライしているんです。劇中に出てくるメニューのいくつかは、地元のコックさんに“海苔と玉ねぎがおいしく食べられるメニューはありませんか?”と相談して、向こうから提案してくれたものもあるんです。玉ねぎは本当に驚くほど甘いんですよ。僕がいつも通っていたのは恵子が津守(豊原功補)たちと行く居酒屋。そこでタコ飯なんかをおいしくいただいていました。あと残念ながら劇中には出せませんでしたが、牛丼も有名。淡路牛というブランド牛と、地元の玉ねぎで作った牛丼は絶品でした。ちょっと高いですが、淡路島に行くことがあればぜひ食べてみて下さい。

ロケ場所選び・ロケ地となる地域の人との関わり方について監督はどうお考えですか。

 自分たちの暮らす場所を大事にしている人たちがいて、その場所だから僕らもきちんと撮りたいと思う。お互いにいいところを出し合いましょうと。それは土地と癒着するということでは決してなく、互いにベストを尽くそうということ。映画を撮る時に土地の美しさはもちろん必要ですが、最後はその土地に関わっている人たちの力だと思います。

 

 以前、函館で『オー・ド・ヴィ』を撮った時も、まちの協力は素晴らしかったですが、やはり“観光映画にはしないぞ”という思いはありました。その中で人間ドラマを描いていったら、必然的にまちに根差した人たちの話になっていきましたね。
  島つながりで言えば、2作品で行った宮古島も印象に残っています。『深呼吸の必要』では、大きい台風に当たってしまい途中から沖永良部島に移って撮影した思い出もありますが…。島の天気は仕方ないですよね(苦笑)。
比較的最近だと『小川の辺』で、1か月ほど滞在した山形もよかった。山形フィルムコミッションが素晴らしいのは有名ですが、出資した方たちもただお金を出すっていうのではなく、自分たちのまちを映画にしてほしいという思いが強くて。そういう人たちの“思い”が僕らを動かすし、逆に僕らが彼らやロケ地を動かしていくこともあるんだと信じています。

最新公開作『種まく旅人 くにうみの郷』を撮ったきっかけを教えてください。
最新公開作『種まく旅人 くにうみの郷』を撮ったきっかけを教えてください。

  新人の頃、前監督の塩屋俊さんのアクターズクリニックで、オーディションに誘われ何回か行ったことがあるんですよ。塩屋さんの後を継ぐ(塩屋さんは13年に急逝)話で、何かのご縁じゃないかと。
もともと土臭い話が好きなので、農業に関わる映画はずっとやりたかったんです。ただ淡路島については、僕も主人公・恵子と同じようにあまり多くの知識は持っていなくて。兵庫県の島であること、玉ねぎが有名であることくらいは知っていましたが、海苔の名産地ということはこの作品で初めて知りましたね。

 海苔作りのリアルなシーンを撮影するため、島の漁師の方々の協力を仰いだそうですが、撮影が行われた2月は海苔漁業の繁忙期だったそうですね。

  それでも全面協力してくれたのは、チーフ助監督の働きのおかげです。彼は1人で撮影前から海苔作りの手伝いをして、実際漁船にも乗ってくれました。そのおかげで漁師の方たちも、だんだん心を開いてくれたんですね。もちろんフィルムコミッション、淡路島フィルムオフィスの方々をはじめ、島をあげての協力体制もありがたかったです。

物語ラストでは、ものすごい量の泥と水を使い、キャスト陣が“疑似かいぼり”を熱演されましたね。撮影はいかがでしたか。

  ため池の水を抜いて、底にたまった泥を人力で海に流し込んでいく。それで畑も海も豊かになるなんて、すごくアナログなんだけど、我々人類の摂理にとっては非常に機能的なものだなと思います。あのシーンは長回し&2キャメで、2日間でなんとか撮り切りました。欲を言えばあと2日は欲しかったですがそうもいかず(笑)。実は途中ですごい寒波が来てしまい、雪かきをしながら撮影したなんて日もあったんです。劇中、ちらちら舞っている雪は本物ですから。

島ロケは苦労もあったかと思いますが、島ならではの楽しみはありましたか。

  とにかく食には恵まれましたね。島の方たちは地元の食材をすごく大事にしていて、飲食店もいろんなことにトライしているんです。劇中に出てくるメニューのいくつかは、地元のコックさんに“海苔と玉ねぎがおいしく食べられるメニューはありませんか?”と相談して、向こうから提案してくれたものもあるんです。玉ねぎは本当に驚くほど甘いんですよ。僕がいつも通っていたのは恵子が津守(豊原功補)たちと行く居酒屋。そこでタコ飯なんかをおいしくいただいていました。あと残念ながら劇中には出せませんでしたが、牛丼も有名。淡路牛というブランド牛と、地元の玉ねぎで作った牛丼は絶品でした。ちょっと高いですが、淡路島に行くことがあればぜひ食べてみて下さい。

ロケ場所選び・ロケ地となる地域の人との関わり方について監督はどうお考えですか。

 自分たちの暮らす場所を大事にしている人たちがいて、その場所だから僕らもきちんと撮りたいと思う。お互いにいいところを出し合いましょうと。それは土地と癒着するということでは決してなく、互いにベストを尽くそうということ。映画を撮る時に土地の美しさはもちろん必要ですが、最後はその土地に関わっている人たちの力だと思います。

 

 以前、函館で『オー・ド・ヴィ』を撮った時も、まちの協力は素晴らしかったですが、やはり“観光映画にはしないぞ”という思いはありました。その中で人間ドラマを描いていったら、必然的にまちに根差した人たちの話になっていきましたね。
  島つながりで言えば、2作品で行った宮古島も印象に残っています。『深呼吸の必要』では、大きい台風に当たってしまい途中から沖永良部島に移って撮影した思い出もありますが…。島の天気は仕方ないですよね(苦笑)。
比較的最近だと『小川の辺』で、1か月ほど滞在した山形もよかった。山形フィルムコミッションが素晴らしいのは有名ですが、出資した方たちもただお金を出すっていうのではなく、自分たちのまちを映画にしてほしいという思いが強くて。そういう人たちの“思い”が僕らを動かすし、逆に僕らが彼らやロケ地を動かしていくこともあるんだと信じています。

作品情報
映画『種まく旅人 くにうみの郷』

(STORY)

日本の第一次産業の現状を調査するという名目で、淡路島市役所に出向してきたエリート官僚の神野恵子(栗山千明)。有能ではあるが、頭でっかちで空気が読めない恵子の振る舞いに戸惑う島民たちだったが、次第に島になじもうとする彼女のひたむきさに心が変わってゆく。そんな折、父の死をキッカケに仲違いしたままの兄弟=豊島岳志(桐谷健太)と豊島渉(三浦貴大)に出会った恵子は、二人を和解させるため、そして痩せた海を再び豊かにするため、15年ぶりに“かいぼり”を復活させようと動き始めるが…。

 

監督:篠原哲雄 脚本:江良至、山室有紀子 出演:栗山千明、桐谷健太、三浦貴大、谷村美月、音月桂、根岸季衣、山口いづみ、永島敏行、豊原功補 ほか

5月30日(土)全国ロードショー ©2015「種まく旅人 くにうみの郷」製作委員会

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