あくまでもシナリオの全体像ができてから決めていきました。実際にお会いして、その人の雰囲気を感じ、演出に生かした部分もあります。
また、一度シーンを撮ってみた後に本人たちからも意見が出てくるので、むしろ撮影が始まり演技をし始めてから、アイデアを出し合ってキャラクターを膨らませた部分も多いですね。シナリオでは淡々と話しているようなシーンでも、作っていくうちに凄いぶつかり合いになることもありました。
映画の中で3人が直接絡むシーンは、意外と少ないです。一緒に撮影しているようで、本人たちは全然会っていないという“映画あるある”ですね(笑)。撮影の終盤に入った現場で「初めまして」と挨拶をしているのを見ると「あ、あの人たちまだ会っていなかったんだ」と気づいたりします。
なかなか俳優同士が会う機会がなかったことについて、紫苑(菅田将暉さん)は姿を見せないキャラクターなので、その関係性でいいんだと思っていました。よく東出さんと池松さんは「僕らは反目するキャラ設定だから、普段から仲良くしないように、なるべくお互い遠巻きにしていよう」と言っていました。でもいつの間にか、すっかり仲良くなってしまって(笑)。役と現実とでは全然違いますね、楽しそうでした。
キャラ作りでは、オリジナルである分、いつもにも増して大事だと思う部分もありました。ビジュアルも含めて、みんなで話しながら“試してみた”ところは凄くありますね。前作から、「この人、死神よりもアクが強いんじゃないか?」と思うほど人間キャラクターの特徴が強くなっていると思います。
竜崎は、狂言回しのように物語を掻き回す存在です。Lの後継者なのに雰囲気がまるで違うビジュアルも試行錯誤しましたね。竜崎と似ているところもあるのが、菅田さん演じる紫苑。悪役だけどクールで白いイメージ。狙いがあるのかないのか読めないキャラです。彼は一人の演技が多かったので難しかったと思うのですが、その微妙なところを出してもらえたな、と思っています。
三島は三島で、そのアクの強いキャラクターの中で、割と中立的に立っていなければいけないので、逆に面白くなると思いました。竜崎と紫苑の濃いキャラの中で埋没しかねなかったのですが、東出さんの芯の強さが生きました。
映画では、正義と悪の基準が曖昧で混沌とした現代の世界を、キャラクターで表現したいと思いました。各々に正義があるのではないかということを、観客には考えてもらいたいですね。
はい。当初の設定やシナリオを少し変更しても、そこが魅力的に見えるのであれば、それで良いのだと思っています。映画『GANTZ』の商店街のシーンも、撮影協力してもらえるところが見つかったから、あのシーンが実現できました。
今回はオリジナルの要素が強いので、見つけたロケーションから「対策本部がここだったら、こういう展開があり得るのでは」と想像を膨らませてロケハンしていました。そんな風に撮影場所を探っていくうちに、神戸ポートアイランド水処理場が見つかり、コンクリート打ちっぱなしの硬質な感じが凄く良くて「よし、これはいけるぞ」と思いました。
そもそも僕にとって、場に合わせてシナリオを変更するというのはよくある話です。昔、自主映画を作っていた頃は「この場所を映画で使うなら、どんなシーンが撮れるだろう」というように、撮影できる場所が先立って映画を作っていくことがよくありました。
そうです。地元のフィルム・コミッションから提案していただいたところをロケハンしていきました。渋谷っぽく見える場所を探した結果、深夜0時から朝5時まで通りを封鎖できるという神戸に決定しました。限られた時間で撮影を行うため、事前に渋谷で一眼レフを使ったシュミレーションをして臨みました。ちなみにもし交差点が見つからなければ、ふれあい広場みたいなところも考えていたので、全く違うシーンになっていたかもしれませんね。
市内各所でロケをした神戸では、撮影終了後に、キャスト陣と元町のとある焼肉屋へ行きました。お店の人から壁にサインを頼まれまして、先陣を切った東出さんが何もない壁にでっかくサインを書き始めました。後に続く人たちはちょっと困っていましたね(笑)。きっとまだお店の壁に残っていると思いますよ
また、その食事の場で、主題歌について知らされました。キャスティングや主題歌など、後から決まる場合、発表する度にみんな驚いたり喜んだりする場面があります。
監督として誰かと働きたいというよりは「この人のやり方を見てみたい」という思いがあります。子供の頃から大学時代を経て現在まで、昔からずっと好きな監督の一人に、スティーブン・スピルバーグ監督があるのですが、僕らとスピルバーグ監督とでは撮り方も違うんじゃないかと思うんです。実際に撮影現場を見てみないと分からないので、スタッフとして働いてみたいですね。彼の映画には、スピルバーグスタイルというのがしっかりあって、普通の食卓の会話シーンだけ見ても「あ、これ、スピルバーグ監督の作品なんだな」とわかります。スピルバーグ監督も含め、やはり昔からの映画監督には、指針になる人がたくさんいますので、そういう人と働いてみたいですね。
スタッフの方々は、色々な監督と仕事をすることができるので「羨ましいな」と思います。だから我々はきっと彼らに客観的にみられているのではないかな、と思うのですが(笑)。
あくまでもシナリオの全体像ができてから決めていきました。実際にお会いして、その人の雰囲気を感じ、演出に生かした部分もあります。
また、一度シーンを撮ってみた後に本人たちからも意見が出てくるので、むしろ撮影が始まり演技をし始めてから、アイデアを出し合ってキャラクターを膨らませた部分も多いですね。シナリオでは淡々と話しているようなシーンでも、作っていくうちに凄いぶつかり合いになることもありました。
映画の中で3人が直接絡むシーンは、意外と少ないです。一緒に撮影しているようで、本人たちは全然会っていないという“映画あるある”ですね(笑)。撮影の終盤に入った現場で「初めまして」と挨拶をしているのを見ると「あ、あの人たちまだ会っていなかったんだ」と気づいたりします。
なかなか俳優同士が会う機会がなかったことについて、紫苑(菅田将暉さん)は姿を見せないキャラクターなので、その関係性でいいんだと思っていました。よく東出さんと池松さんは「僕らは反目するキャラ設定だから、普段から仲良くしないように、なるべくお互い遠巻きにしていよう」と言っていました。でもいつの間にか、すっかり仲良くなってしまって(笑)。役と現実とでは全然違いますね、楽しそうでした。
キャラ作りでは、オリジナルである分、いつもにも増して大事だと思う部分もありました。ビジュアルも含めて、みんなで話しながら“試してみた”ところは凄くありますね。前作から、「この人、死神よりもアクが強いんじゃないか?」と思うほど人間キャラクターの特徴が強くなっていると思います。
竜崎は、狂言回しのように物語を掻き回す存在です。Lの後継者なのに雰囲気がまるで違うビジュアルも試行錯誤しましたね。竜崎と似ているところもあるのが、菅田さん演じる紫苑。悪役だけどクールで白いイメージ。狙いがあるのかないのか読めないキャラです。彼は一人の演技が多かったので難しかったと思うのですが、その微妙なところを出してもらえたな、と思っています。
三島は三島で、そのアクの強いキャラクターの中で、割と中立的に立っていなければいけないので、逆に面白くなると思いました。竜崎と紫苑の濃いキャラの中で埋没しかねなかったのですが、東出さんの芯の強さが生きました。
映画では、正義と悪の基準が曖昧で混沌とした現代の世界を、キャラクターで表現したいと思いました。各々に正義があるのではないかということを、観客には考えてもらいたいですね。
はい。当初の設定やシナリオを少し変更しても、そこが魅力的に見えるのであれば、それで良いのだと思っています。映画『GANTZ』の商店街のシーンも、撮影協力してもらえるところが見つかったから、あのシーンが実現できました。
今回はオリジナルの要素が強いので、見つけたロケーションから「対策本部がここだったら、こういう展開があり得るのでは」と想像を膨らませてロケハンしていました。そんな風に撮影場所を探っていくうちに、神戸ポートアイランド水処理場が見つかり、コンクリート打ちっぱなしの硬質な感じが凄く良くて「よし、これはいけるぞ」と思いました。
そもそも僕にとって、場に合わせてシナリオを変更するというのはよくある話です。昔、自主映画を作っていた頃は「この場所を映画で使うなら、どんなシーンが撮れるだろう」というように、撮影できる場所が先立って映画を作っていくことがよくありました。
そうです。地元のフィルム・コミッションから提案していただいたところをロケハンしていきました。渋谷っぽく見える場所を探した結果、深夜0時から朝5時まで通りを封鎖できるという神戸に決定しました。限られた時間で撮影を行うため、事前に渋谷で一眼レフを使ったシュミレーションをして臨みました。ちなみにもし交差点が見つからなければ、ふれあい広場みたいなところも考えていたので、全く違うシーンになっていたかもしれませんね。
市内各所でロケをした神戸では、撮影終了後に、キャスト陣と元町のとある焼肉屋へ行きました。お店の人から壁にサインを頼まれまして、先陣を切った東出さんが何もない壁にでっかくサインを書き始めました。後に続く人たちはちょっと困っていましたね(笑)。きっとまだお店の壁に残っていると思いますよ
また、その食事の場で、主題歌について知らされました。キャスティングや主題歌など、後から決まる場合、発表する度にみんな驚いたり喜んだりする場面があります。
監督として誰かと働きたいというよりは「この人のやり方を見てみたい」という思いがあります。子供の頃から大学時代を経て現在まで、昔からずっと好きな監督の一人に、スティーブン・スピルバーグ監督があるのですが、僕らとスピルバーグ監督とでは撮り方も違うんじゃないかと思うんです。実際に撮影現場を見てみないと分からないので、スタッフとして働いてみたいですね。彼の映画には、スピルバーグスタイルというのがしっかりあって、普通の食卓の会話シーンだけ見ても「あ、これ、スピルバーグ監督の作品なんだな」とわかります。スピルバーグ監督も含め、やはり昔からの映画監督には、指針になる人がたくさんいますので、そういう人と働いてみたいですね。
スタッフの方々は、色々な監督と仕事をすることができるので「羨ましいな」と思います。だから我々はきっと彼らに客観的にみられているのではないかな、と思うのですが(笑)。
(STORY)
キラ事件から10年。東京・渋谷でデスノートによる大量無差別殺人が発生。デスノート対策本部の三島(東出昌大)が現場に急行すると、デスノート事件を解決すべくICPO(国際刑事警察機構)が日本に送り込んだ名探偵・竜崎(池松壮亮)が目の前に現れ、犯人とデスノートを確保した。そして2人は、あることから6冊のノートがこの世に存在していることを知り、捜査に乗り出す。一方、キラを崇拝するサイバーテロリストの紫苑(菅田将暉)は、対策本部が手に入れたノートを奪おうと目論んでいた。果たして、すべてのノートを手にするのは誰なのか…?
監督:佐藤信介 脚本:真野勝成
原作:大場つぐみ・小畑健「DEATHNOTE」(集英社ジャンプ コミックス刊)
出演:東出昌大、池松壮亮、菅田将暉、川栄李奈/ 戸田恵梨香 /中村獅童、船越英一郎 ほか
10月29日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他、全国超拡大ロードショー
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
佐藤信介(さとう・しんすけ)監督
1970年生まれ、広島県出身。94年に初監督作「寮内厳粛」が、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞。おもな監督作に「GANTZ」二部作(11)、「万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-」(14)、「アイアムアヒーロー」(16)など。次回作「BLEACH」が18年に公開予定。