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主演・神尾楓珠はカットがかかると“クスッと笑う”…その真意とは/映画『恋は光』小林啓一監督に聞く“原作ものの難しさ”や“第二の主人公”について

2022.06.27
映画監督
監督 小林啓一さん

恋の定義を考察する主人公たちに多くの共感が寄せられ話題となった漫画『恋は光』を映画化し、2022年6月17日(金)遂に公開を迎えた。監督・脚本を務めた『ももいろそらを』(13)、『殺さない彼と死なない彼女』(19)の小林啓一監督に、撮影の裏話や撮影を行った岡山県への思いをお話しいただきました。

本作が生まれたきっかけを教えてください
 プロデューサーの滝田さんと「何かやろう」という話をしている中で、これがいいのではないかと原作を紹介していただきました。読んでみると、自分が今までにやってきたようでやっていない物語に非常に興味が湧きました。それが2018年頃だったと思います。
そこから企画を進めて、キャスティングが2年ほど前、撮影が昨年7月からで、という流れです。
原作ものの難しさもあると思いますが、どの程度意識されるのですか
 ただビジュアルを寄せればいいということではありません。原作には当然ファンの方がいらっしゃいますので、その方々に納得していただける映画にする必要はあると考えています。この原作はとても論理的で完璧な作りになっていて、この過程を表現するには2時間では収まりません。
それを考えると、原作に沿ったものを意識する中でもある程度切り離して作る必要があります。書き直しや様々なパターンを考えるうちに、原作と自分の書いたものが混在していきました。
原作から得られるイメージを映像にする際のロケ場所へのこだわりは
 原作は愛媛の松山が舞台だったのですが、コロナの状況で撮影することができませんでした。そこで手を挙げてくださったのが岡山県。移動して、私も様々な土地を見させていただく中で「原作に沿ったもの」という考えががらりと変わり、いかに「よく見えるか」という考えになりました。例えば、原作のように居酒屋シーンが多いと映画では飽きるので、岡山の川や町並みを見て「ここで釣りをしながらあの会話をしたらいいのでは」などとパズルのように決めていきました。そうして進めた結果、全編岡山県での撮影になりました。地方都市の子たちという設定に岡山の自然はとても合っていて、誰が手入れをしているのかとてもきれいな景色でした。中でも吹屋は印象的で、深い山の奥にきれいでかわいらしい町があり驚きました。
 また、全編岡山に決まった理由として、フィルムコミッションの妹尾さんという方をはじめ、対応してくださる方皆さんが協力的だったこともあります。作品に対して「だったらこれが必要ですね」などと提案してくださり、そのパターンが多くて懐が深い。町会長も一緒にまわってくださるなど、撮影がしやすかったです。
 そんなこともあり、劇中では岡山の自然を洗練されたものに見せたかったですし、ポップでキュートなラブコメにしたかったので、撮影には楽し気な場所を選びました。役者の皆さんも開放的な場所での芝居にのびのびされていて、そうした相乗効果もぜひ見ていただきたいです。
主演の神尾楓珠さんはいかがでしたか
 勘がいいのかなと思います。僕が思っているニュアンスをすぐに受け取ってくれて、また彼自身が「西条ならこういう感じなんじゃないか」と常に考えていた気がします。
 撮影中「カット」と言うと、クスッと笑う時があって、どうしたのと聞くと「自分と西条がシンクロして面白かった」と言うんです。西条のタイミングと自分のタイミングをぴったり合わせることで、あまりない芝居のアプローチをしているのかなと思います。普段の姿勢から西条の雰囲気が出ており、この違和感のあるキャラクターを、生身の人間として見せる努力をしてくれていました。
西野七瀬さんについてはいかがでしたか
 僕は彼女の素の部分をそのまま演技に持って行けたらなと思っていました。雰囲気といいますか、華があるけれど普通の子っぽいというのが彼女にぴったりだと思っていました。話してみると普通の子なんです。なのでそれが出ればいいなと。
 最初は混乱があったようなのですが、こういう風にするんだというのをつかんでからは何も問題がなかったです。
今後ロケ地に求めることはございますか
 ロケ地は“第二の主人公”という側面があると思っています。場所ひとつで作品のイメージは大きく変わるので。田舎の方は朗らかな人だというような先入観もあるかもしれませんが、そうしたイメージにも気をつけてロケ場所を選ぶと楽しいです。もっと楽にして、地域の方々とお互いにメリットがあるようなことがあればと思います。
最後に、映像業界を目指す若者へメッセージをいただけますでしょうか
 誰でも入れる業界であって欲しいのですが、実際のところ、そう簡単ではありません。働き方など、もちろん業界全体で変えるべきこともありますが、根本にその人のやる気も必要。最近は女性のスタッフが増えてきており、ガッツがあってやる気もある。だからというわけではないですが、男性も負けずに入ってきて欲しいです。
 そして、今は誰でも簡単に映像を作れる時代です。当然プロには経験値がありますが、アマチュアの方には僕らにない発想力がある。自分たちで作っているから業界と何が違うのかわからないと思います。だからこそ我々も、業界ならではの作品なんだというものを作らなければなりません。

ありがとうございました!!
作品情報
映画『恋は光』
 恋とは誰しもが語れるが誰しもが正しく語れないものである——
恋する女性が光って視えてしまうという特異な体質ゆえに、恋を遠ざけていた大学生・西条。そんな西条に自分の想いを打ち明けられない北代。西条と同じく恋愛経験がなく純粋に恋を探究する東雲。人の彼氏を奪いたくなってしまう悪癖を持つ宿木。
恋についての考え方も経験も異なる個性的な4人が繰り広げる“恋”についての探究は、観るものに「恋とは?」を問いかけ巻き込んでいく…
――――――――――――――――――――――――――
【作品情報】
出演:神尾楓珠 西野七瀬 平祐奈 馬場ふみか
伊東蒼 宮下咲 花岡咲 森日菜美 山田愛奈 田中壮太郎
監督・脚本:小林啓一
原作:秋★枝「恋は光」(集英社ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ刊)
音楽:野村卓史
劇中歌:She & Him「Sentimental Heart」(Merge Records/Bank Robber Music)
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介
コー・エグゼクティブプロデューサー:堀内大示
プロデューサー:滝田和人 青木真代 松嶋翔
共同プロデューサー:岡本圭三
協力プロデューサー:大杉真美

製作プロダクション グラスホッパー/NeedyGreedy
製作 映画「恋は光」製作委員会
製作幹事 ハピネットファントム・スタジオ
配給・宣伝 ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA

©秋★枝/集英社・2022 映画「恋は光」製作委員会
https://happinet-phantom.com/koihahikari/
6月17日(金)全国公開

【Interview】
監督:小林啓一さん
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