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第1回TOKYO青春映画祭・グランプリを受賞するなど約20の映画祭にノミネート、11冠を達成など活躍中! 初の長編作品に挑む小池匠監督にインタビュー

2025.01.14
監督
小池匠さん

クラウドファンディングで多くの人の支持を得て制作した『アイチェルカーレ』が公開へ!
今回は小池匠監督に、作品作りのこだわりや見どころについてお話しいただきます。

今作のタイトルである「アイチェルカーレ」とはどういう意味があるのでしょうか?
完全に僕が作った造語です。イタリアの「チェルカーレ」という言葉が直訳すると「探す」という意味の言葉なんです。そこから引っ張ってきて、物語のテーマである「あい探し」をかけて「アイチェルカーレ」というタイトルを付けました。また、「主人公が自分(“I”)を見つけていく」というダブルミーニング的な意味も込めています。

以前に「探す」というテーマで、別のプロット企画を書いたことがあるのですが、今回はそこからも引っ張ってきた感じでした。以前の企画は、突然姿を消した友達を探していくという話で、犬は出てこないのですが…。これに何か色を付けたら面白くなるかなと思い、それをベースに今作を作りました。
今作で小池監督にとって初めての長編映画への挑戦とのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
本作のプロデューサーであり、ご出演もされている吉川流光さんという方と仲良くさせていただく中で、吉川さんが犬を飼われていまして。吉川さんから「ちょっと犬で映画が撮りたいんですけど、どうでしょう?」というお話をいただき、面白そうなのでやらせてくださいという形で映画企画が始まりました。。

―今回、初めての長編作品ということですが?
もともとこの作品は短編で考えていたんです。でも、脚本を作っているうちに結構長くなってきて。吉川さんとも相談しながら、決まった日数で撮影できるのであれば、脚本を無理に削る必要もないということで、その長さのままで長編映画として、劇場公開を考えていきました。
八王子にある喫茶店
今作ではクラウドファンディングを行ったそうですね
撮影自体はクラウドファンディングを行う前に終えていたので、劇場公開に向けた宣伝活動のためにクラウドファンディングを行いました。
やり方としては、チラシなどは作らず、去年の夏はホワイトボードを持って渋谷に立ち続けるという人海戦術でしたね。吉川さんが描いてくださった僕と犬のとうふのイラスト付きの名刺を配ったり、Tシャツを着て宣伝をしていたら、道ゆく人から協力してみようかなと声をかけてもらうことが結構あったんです。そうやって会った人会った人とお話しをしていたら、応援してくださる人がどんどん増えました。最終的には370人くらいの方に支援をいただいて、金額的にも100万円目標で170万円くらい集まりました。
今回のロケ地について教えてください。決め手やこだわった点はありますか?
今回の映画はほとんど東京都八王子市で撮影しました。作中に出てきた喫茶店も八王子のお店です。ここは、前に別の撮影の時に、窓がなく夜でも昼のシーンが撮れると考えて使わせていただいたことがあったんです。実際にお客さんとしてお店に行ってみて、お会計のときに撮影の相談をしたら快く貸してくださって。今回もまた、夜の時間にお店をお借りしました。
また、ラストシーンは特にこだわりました。脚本のト書きで「景色のいい場所」という抽象的すぎることを書いてしまったので、探すのが大変だったんですよ。それまで八王子方面で撮影することが多かったので、八王子市内の山を登ったりして探していました。最終的には、紹介してもらった埼玉県飯能の公園に決まりました。
「人探し」の映画は、シチュエーション次第で結構どこにでも行けちゃうんですよね。そのため、犬がどこに行ったら面白いかなということを考えてロケーションを決めていきました。あとは、自主制作の映画だったので、お借りできる可能性が高い場所を中心に探していましたね。
上:ヒナタトカゲ「ふたりよがり」
下:FiDZ「閃光」
これまでの作品で印象的なロケ地はありますか?
「いいロケーション」ってやっぱり難しいですよね。何でもないような場所は特に探し出すことが難しかったりします。
以前、ヒナタトカゲというロックバンドの「ふたりよがり」という楽曲をもとに映画をつくったことがあって、その中で白線の上を歩くシーンの撮影があったのですが、意外と撮影に使える白線ってないんですよ。メインの撮影場所の近辺で2、3駅歩き回って「良い白線」を見つけたときはめちゃくちゃ嬉しくなりましたね。

―小池さんはミュージックビデオの作品も多いですね。
そうですね。今年も4月に長野でMVを撮りました。一面の桜でMVを撮りたいと思っていたときに、長野の諏訪の桜が綺麗だということを聞いたんです。一本の桜を映した作品は比較的あるかなと思うのですが、一面の桜ってあんまり見ないなということで長野まで行ってみることになりました。
『アイチェルカーレ』においてのこだわったポイントや、こんな人に見てほしいというメッセージをいただきたいです
どの作品にも当てはまりますが、ファーストシーンとラストシーンにはいつもこだわっています。やはりファーストシーンってその映画を観始める瞬間なので、ファーストシーンで最後まで観たい気持ちになってほしいと思うんです。冒頭1分とか5分とかを観て、つまらなそうだったら観たくなくなるじゃないですか。今回でいうと、僕は過去作品でもクラブみたいな場所が出てくることはあまりなかったのですが、主人公が、この話のきっかけとなる「あい」との出会い部分を印象的に描きたくて使いました。

その他こだわったポイントは、圧倒的にとうふ(犬)ですね。“怪訝そうな顔をするとうふ”とト書きに書いてあって、どうしたらそんな顔するんだ?となり、演出することが難しかったですね。1回やってみても全然うまくいかないし、どうしたらいいんだろうとかと回数を重ねながら徐々に撮影に慣れていきました。
主人公の前に座る動きがあるんですけど、餌を使って覚えさせたりもしました。最後の方のシーンでも呼ばれて主人公のとこに行くシーンは、僕がお芝居見ながら、「今だ!」と言って送り出したりしていましたね。もう圧倒的にとうふ(犬)にはこだわったので、注目してもらいたいです。

観てもらいたい人は…もういろんな人に観てもらいたいですね。作品としてはテーマがちょっと難しいというか、何か大きなことが起きる映画でもないですが、観た人が逆にどう思うんだろうなと楽しみでもあります。

僕は、エンタメは娯楽だと思っているので、1時間ほどの時間をかけて作品を観る時間を単純に楽しんでもらえたらいいなと思います。めちゃくちゃ笑うってわけでも、めちゃくちゃ泣くとかでもない気はするんですけど、いろんな気持ちになりながら作品自体を楽しんでもらえたらいいなっていうふうに思います。
最後に、映像制作者・映像業界・監督を目指す若い方々にメッセージをお願いいたします!
監督を目指す人だったら、とにかく作ってもらいたいですね。
映画を作ることは準備も撮影も仕上げも大変なので、やらない理由はすぐ作れるんですよ。お金がない、人がいない、機材がないとか。
しかも、僕は映画とかって観た人の人生を変える可能性を持ってるものだと思うのですが、一般的に生活する上で別になくてもすごく困るものではない。だから、やる理由を見つける、作るっていうのがすごく難しい気はしています。
好きだからとかそんな理由しかないと思うんですけど、やる理由をどうにか見つけて、作りたいと思ったら1回作ってみてほしいなと僕はいつも思いますね。

今の時代スマホでも撮れますし、最初は友達や家族にも出てもらったっていいのかもしれないし、SNSとかでも募集かけたり、工夫すればいかようにも制作できる。ロケ地なんて、ロケなび!のようなサイトを使うのはもちろん、足を使って探し、時にはお店にも飛び込んでみたらOKしてくれたりもするかもしれない。やらない理由を見つけるより、とにかくやってみて作ってみて、今後に生かせばいいんじゃないかなと思います。

僕は大学生のときに映画専攻の大学に行って、18歳の秋に1本実習で撮りました。そのときに「手を抜かずに、その瞬間、この作品に対して今の自分ができることを全てやったから後悔はない。でも満足はしてない。」というふうに思いました。やっぱり結果に満足はしない方がいいと思うんですよね。きっと満足したら、次がない気はするので。満足しないで次の作品ときに、何かを活かしますというようなことで、もう12年間くらいずっと映画を撮り続けています。未だに満足はしてないですけど、1つも後悔はしてないです。
大変なことだけれど、それくらい単純でいいんじゃないかって。とりあえずやってみたらいいと思います。
作品情報
映画『アイチェルカーレ』
監督:小池匠
プロデュース:吉川流光
脚本:浅見サト
出演:雪乃しほり、とうふ、吉川流光 ほか
公開:2025年公開予定

【あらすじ】
内気で他者と関わり合い自体が苦手な水本マナは、明るく天真爛漫な仁藤あいと、運命的な出会いをする。ふとしたきっかけで共同生活を始める2人だが、ある日あいは忽然と姿を消す。
いつもと違うその様子にマナはあいを探しにいくと、フレンチブルドッグ犬・とうふと出会う。あいを探していく中で、とうふ、そして人々との出会いをきっかけにマナが成長していく物語。

【プロフィール】
小池 匠監督
長野県出身、1994年9月1日生まれ
桜美林大学芸術文化学群にて映画制作を学び、卒業後は商業映画やドラマにて助監督を経験。
近年では映画を中心にドラマ、MV、広告や舞台演出も手がける。
2021年、映画「消しかすの花」ではつんくが主催した第1回TOKYO青春映画祭にてグランプリ・最優秀主演男優賞(陣慶昭)を受賞するなど約20の映画祭にノミネート、11冠を達成する。
2022年、映画「夢が眠る場所」が田辺・弁慶映画祭入選。
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