話題になったドラマ『VIVANT』では、どうして島根県をロケ地に選んだのでしょうか?
島根とのご縁はドラマ『砂の器』(2004年)からになります。
原作の舞台が島根だったので車で回ってみたのですが、初めてだからよく分からないし、地理的にも非常に行きにくい。だから最初は別の場所で撮ろうと思ったんですよ。
そうしたら(当時)奥出雲町観光課長の宇田川さんに「来てもらわなきゃ困ります」と呼び止められまして。
再度訪れたらすごい歓待を受けました。よく見れば、街は洗練されているしご飯は美味しいし、みんな品がいいんです。一気にファンになりました。
島根には変わらずにそのままでいてほしいと思っています。地域が盛り上がるように、ドラマで協力していきたいです。
最後に、これから映像制作を志す若者に向けてメッセージをお願いいたします。
映像制作者は恐怖心を抱かないといけないと思います。
ドラマ『半沢直樹』(2013・2020年)のときも、ヒットしたからよかったけれど、こんなもの作っていいんだろうかっていう気持ちでした。でも、視聴者が先の読めないものを作らないといけません。もし外したらと思うと、やっぱり安全策に走ってしまいますからね。後先考えずチャレンジできるということはテレビ局の社員という強みでもあります。
私はTBSでAD(助監督)からスタートしました。そうやって一から積み上げたことで、色々な部署の人にも顔見知りができて、「雨を降らすにはこのくらいお金がかかる」とかドラマ作りのノウハウが分かりました。ロケがいかに大変かが分かるとそれを加味して脚本も作れるので、そこは逃げずに絶対通るべきだと思います。
映像制作を志す若者にはコピーになってほしくありません。自分が視聴者の立場に立って、何が面白く、面白くないのかを判断できる力を身に付けてほしいです。