どのキャストも輝いているように感じました。キャスティングはどのように行ったのでしょうか
【前田監督】
赤羽、結衣、十和子はイメージに合わせて、こちらからお声がけをさせていただいたのですが、それ以外の多くの役はオーディションで選びました。
それも普段とは少し違う形のオーディションで、まずは広く公募で応募者を募り、その方たちに過去の映像とプロフィールを出してもらって一次選考をしました。一次選考を通過した皆さんには台本閲覧にお越しいただき、台本を踏まえた形で「このキャラクターで私は応募したい」という希望を出してもらった上でもう一度書類選考をしたんです。そこを通過した方たちに、脚本から選んだ特定のシーンで実際に演技をしてもらうという流れでオーディションしました。
そこもキャストが光って見えた要因の一つになっているのではないかと思っています。映画の一般的なキャスティングでは、監督など制作側のイメージだけで決まることが多いと思いますが、今回は俳優の「このキャラクターを演じたい!」という想いが先に来ています。それからオーディションをして、僕らも「この俳優さんに演じて欲しい!」という方たちを選ばせていただいたので、言うならば、相思相愛の形で成り立っている配役が多いです。また、選ばれた俳優はオーディションで既に僕ともキャラクターに関してアイデアを一度共有しているので、現場前から自信をもって、より深みのある役作りが出来ていたのではないかと思います。
コロナ下ならではの工夫はありましたか
【前田監督】
スタッフの人数をミニマムにした事だと思います。普段の撮影に比べて随分と少ない人数で撮影を行いました。人数が少ない状況で、俳優の皆さんにもご苦労をおかけしましたが、「自分でやれることは自分でやります」とご協力頂けたことは助かりました。例えばプロフィールをピックアップするシーンを撮影する際に、普段なら持ち道具スタッフや助監督が、俳優がお芝居しやすいようにテイクごとにセットし直します。でも今回は俳優が「いいですよ、自分でやりますから」とご自身でやってくれたこともあり、足りないスタッフの人数をカバーしてもらったと思います。
【山﨑プロデューサー】
メインスタッフの多くが短編映画と共通でしたので、コアな部分での意思疎通は元々出来ていたと思いますが、長編でもスタッフが通常より少なかった分、風通しの良いコミュニケーションが取れたのではないでしょうか。トップダウンで上からだんだんと話が伝わるというよりは、人数が少なかったからこそ誰とでも直にやりとりができて、無駄の少ないコミュニケーションが取れていたと思います。