主演のお二人は5度目の共演ということですが、どのように決定されましたか
このお二人ありきでということではなかったのですが、それぞれの作品に賭ける思いを知ってお願いしようと決意しました。
山田さんは様々な作品で見ていますが、気持ちで芝居をしていますし本当に色んな役ができる俳優です。これまであまり演じたことのない役に挑戦したいとのことで台本を読んでいただいたのですが「何も言うことがありません」と快諾していただきました。「このような自分の一面を見て欲しい」と何もてらわずに言ってくださったのでお願いしました。
一方の松本さんからは、段取り(テストの前にシーン全体を通して演じ、動きを固める)を入念にやって欲しいと希望されました。そこで雰囲気を作りたいと。テクニックよりも気持ちの部分で演じたい方で、この作品に対して「女優松本まりかとして賭けている」というほどの熱意で臨んでくださっていましたので、我々も襟を正し丁寧に準備を進めました。
お二人の演技に求めたものはありましたか
山田さんはやってみないとわからないということで、事前の打ち合わせはほとんどなかったです。こちらから細かいことを言えばもちろん役者さんなので完璧にやってくれます。ただ、台本を読んでその役に入っている人というのは僕よりもその役の人物を理解しているはずなので、まずは彼らの表現を見せてもらいます。その上でどう捉えるのかなど話し合い、こうしよう、ああしようと決めていきました。松本さんとは「この女性がどういう人間なのか」という話をしました。都合のいい女に見える、だからこそ悩んでいるのではないか、というようなことを打ち合わせた上で臨みました。
お二人の共演が多いと聞いていましたが、実際の撮影現場ではいい意味で馴れ合いのようなものがなかったです。子役の森優理斗くんも含めて、少しずつ家族のような雰囲気になっているというのは感じていました。それは本人たちも意識していたようで、先にクランクアップを迎えた森君はすごく寂しそうにしていました。