本作では弘前市、板柳町の担当者とそのような関係を築けましたか
はい。撮影の3年程前から青森にプロデューサーと足を運んで、じっくり時間をかけて関係を築きました。弘前市のフィルムコミッションの方とは、15年ほど前、自主映画の時に手伝って頂き、知り合いだったのでやりやすかったです。関係性が出来ていたからこそですが、プロデューサーがフィルムコミッションの方へ発破をかけているところを何回か見ました(笑)
本作で一番印象に残っているロケ場所を教えてください
いっぱいありすぎて(笑)。岩木山の前を岩木川という川が流れているのですが、その川沿いを歩く主人公のシーンは、ロケハンしながら探した場所だったと思います。シナリオの中に最初はなく、ただ“道”としか書いていませんでした。その“道”というのが私のシナリオには結構多く書かれていて。主人公が歩く道はどういう道なのかと、いつも制作部と話し合いながら探すのですが、なんだかんだで道選びが一番難しくて。家とか学校とかは比較的限られる。でも道は無限です。だからこそ、劇中で出てくる道は試行錯誤して選んだ場所ばかりです。とても難しかったです。主人公の生活範囲を表現する道は、良く見ると色々な情報が含まれています。例えば、木が沢山あって自然を感じるだけでもダメで、そこに民家が少しだけ映り込んでいるだけでも見え方が変わってきます。道だけで物語を語れる場所が沢山あるんですよね。それぞれの部署でも見る視点が違っているので、制作部が探してきた場所を、カメラマンが見て、ちょっと違うなということで、また0から探してもらうことはよくありました。