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今の難しい世の中を必死に生き抜く姿を体当たりで演じる注目作『愛されなくても別に』井樫彩監督インタビュー

2025.07.03
監督
井樫彩さん

学生時代の卒業制作映画『溶ける』が国内外で注目を集め、カンヌ国際映画祭にも出品された井樫彩監督の最新作『愛されなくても別に』が7月4日(金)に公開される。今回は、井樫監督自身の過去の経験談や、次世代の監督を目指す方へのメッセージ等をインタビュー

今回主演の南さん、馬場さんとはどうでしたか?
今回初めてではなく、2人とも別々の作品でしたが2回目なんですよ。
ある程度知っているというか安心、信頼があったので、特にこちらで細かく指導するとか、要望はあまりなかったように思います。
南さんの役は言葉よりも、一つ一つのしぐさ(目線など)で感情を伝えるような役だったので、その辺りの表現力は難しかったと思いますが、違和感なく自然に演じきっていました。
また馬場さんに関しては、さらっとした部分がありながら、繊細な部分も持ち合わせているので、素に近い感じで演じてもらえれば今回の役にハマると思いました。
2人とも見事に演じきってくれて素晴らしかったです。
今回の作品は”水”が作品のモチーフになっているそうですね?
水は表現するうえでモチーフとして使用します。劇中に水族館も出てきますが、これは原作でも出てきます。ただ、水族館のシーンは原作より増やしました。
あと、江永雅(馬場ふみか)の家で熱帯魚を飼っているんですが、これは二人を水槽に閉じ込められた金魚に見立て、閉ざされた世界観を表現しました。
場面写真で、主人公の宮田陽彩(南沙良)が水の中を漂っているシーンもありますが、これはなんというか、宮田の溜まっていた(不幸のような部分)ものを水に流すということで入れたものになります。
その他、印象に残っているシーンやロケ地などありましたか?
最後のシーンで、宮田(南)と江永(馬場)がコンビニから2人で帰るシーンがあるのですが、制作部がすごく良い道を見つけてくれまして。
ただの真直ぐな道ではなく、少し下って上って、最後横に逸れるというような道で、これまでの2人の人生が平坦ではないという部分を道路の坂で表現できるなと。直線的なそれっぽい道はあったんですけど、この道を見たときは”これだ!”と思いました(笑)
登場人物の背景も表現するということで、ロケ地はとても重要な要素の1つです。
それを聞くと監督自身、ロケ地へのこだわり強いように感じましたがどうですか?
強いと思いますけど・・・。
(とどこか曖昧な返答に横にいたプロデューサーが「強いと思います」ときっぱり)。
既に頭のなかに画があるので、その辺りの妥協はないですね。 現場で色々と苦労することはありますが、スタッフが必死になって探してくれました。
それでも毎回苦労する部分ではありますが。。。
そういった意味で、自分が描いた頭の中のロケ地をそのまま表現できるアニメはいいなぁと思ったりしますね。いつかアニメ作品もやってみたいかも、いやいや冗談です(笑)
今まで制作している中でターニングポイントはありましたか?
映画『真っ赤な星』が長編デビュー作となるんですが、そこから全てはじまりました。
自主制作して、劇場で公開したのですが、色んな人が見てくれて、全て地続きとして今に繋がって。それがターニングポイントになりました。
誰に求められていたわけでなく、勝手に撮って公開した映画だったんですけどね。反響が大きくて自分でも驚きました。
最後に、学生や若い世代へのメッセージをお願いします。
学生映画のタイミングって、ある意味なんでもできるというか縛りがないですよね。内容もそうだし、どこで撮ろうがやる気力さえあれば映画ができると思うので、それはある意味すごい環境だと思うんですよね。

私はありがたいことに、自分の描きたい、やりたいことを突き詰めて表現しつづけたことで、今に繋がるということを学生のときに体験できたんです。そこで見つけてもらえたことは、これがやりたいんだとまっすぐに表現した結果なのかなと。

学生の内は、変に意識して大衆的にしようとしないで、自分の描きたいこと突き詰めて表現する方が、観客に伝わって面白いし、そういうのを見てくれる人はいるんじゃないかなと思います。
作品情報
映画『愛されなくても別に』
出演:南沙良 馬場ふみか
本田望結 基俊介 (IMP.) 伊島空 池津祥子 河井青葉
監督:井樫彩
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
主題歌:hockrockb「プレゼント交換」(TOY'S FACTORY)
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

©武田綾乃/講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会


公開日:2025年7月4日(金)

【あらすじ】
大学生の宮⽥陽彩(南沙良)は毒親に苦しみながら孤独に生きていたが、「殺人犯の娘」と噂される同級生の江永雅(⾺場ふみか)と出会い、少しずつ心を通わせていく。愛されなくても生きていけると思っていた二人が、自分の弱さを受け入れながら支え合い、再生への一歩を踏み出す青春ドラマ。

【プロフィール】
井樫 彩監督
1996年生まれ、北海道出身。中編映画『溶ける』(16)が、国内各種映画祭で受賞し、第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門正式出品。初長編映画『真っ赤な星』(18)で劇場デビュー。ほか監督作に『21世紀の女の子(君のシーツ)』(19)、『NO CALL NO LIFE』(21)、『あの娘は知らない』(22)、『恋と知った日』(23)、ドラマ「復讐の未亡人」(TX)、「隣の男はよく食べる」(TX)などがある。
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