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2018.11.19

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「映画製作の助成金」の実態とは?! 文化庁にインタビュー!

文化芸術振興費補助金、いわゆる“映画製作の助成金”をご存知の方は多いはず。「活用させてもらって助かった」「申請が難しくて面倒そう」「採択されなかった」など様々な「ロケなび!」ユーザーの声を受け、その実態を伺うべく文化庁に取材をおこないました。

◆インタビューにご協力頂いた皆さま

文化庁 文化戦略官 柏田 昭生さま  (写真:中央左)

文化庁 参事官(芸術文化担当)付 参事官補佐 伊野 哲也さま  (写真:左)

文化庁 参事官(芸術文化担当)付 芸術文化調査官 戸田 桂さま (写真:右)

文化庁 参事官(芸術文化担当)付 映画振興係長 森 考平さま  (写真:中央右)

  

ずばり、助成金を申請する際の条件は厳しいのでしょうか?

文化庁としては、申請内容を見極め応援し、日本映画の発展に繫いでいくことを第一に考えております。だからこそ、国の補助金の制度としては、申請段階では厳しい条件を設けていません。

条件としては、日本映画であること、一般に広く公開されなければいけない、といった点があります。劇場映画の制作支援なので、少なくとも一週間以上は有料で、劇場でも公開される必要があるということです。審査ではシナリオなどから、良い映画になるかどうかということが判断基準の一つとなります。

採択については、予算が限られているため、外部有識者による審査があります。これから制作される映画に対する助成金なので、完成後しっかり公開されるかどうかの見極めも大事です。団体の組織体制や予算は当然判断材料として確認するため資料を提出頂きますが、詳細は窓口があるので、気兼ねなく聞いてもらえればと思います。  

応援する体制として、いま現在どのような制度になっているのか教えてください。

以前は予算総額5000万円以上という下限があったのですが、現在は若手も申請できるように1500万円(助成金は500万円)まで、ハードルを下げています。

さらに2018年度からは、2か年助成制度を作るなど、年々少しずつ仕組みを変えています。映画の完成の前年度と完成年度の2か年にわたって助成金を交付する助成制度なのですが、基本的に提出書類は簡素化するようにしています。審査のポイントは、予算のほかにも、映画のコンセプトや、なぜいまその映画を撮るのか、ということなどです。助成金は、映画として素晴らしいものに対して適用する考えだからです。

昔は、映画が完成しないと助成金を受け取れなかったと聞きました。今年度はじめて出来た「2か年度助成」は画期的な制度だと思うのですが。

2か年度助成」制度があれば、小さな会社でも一年が準備期間で、二年目が撮影という形も制作できますよね。そういったことを考え、制度も変化してきました。

予算総額の最低ラインが下がったのは、デジタル化などで映画の制作費が下がったことなどが起因しているのでしょうか。

ひとつには、「若手にチャンスを与えたい」という考えがあります。また、予算の小さな映画でも、社会的に評価されるものは多くあると考えています。製作段階でお金を集めにくい作品に対しても、しっかり援助していきます。

そもそも、なぜ「文化芸術振興費補助金」(以下、助成金)制度が始まったのですか。

  15年前、日本映画の本数が激減し、日本で見られる日本の映画が全体の30%を切るかもしれない、という時代がありました。そこで文化庁で「映画振興に関する懇談会」を開催し、これからの日本映画の振興についての提言をまとめました。現在は邦画の上映数も増えているので、助成事業の成果は上がっていると考えています。

日本映画が海外で評価されることを、どう捉えていらっしゃいますか。

 海外で評価されることはもちろん喜ばしいことですが、日本での評価も素晴らしいことだと思います。問題は、エンターテインメントが多様化している中で、どのようにして多くの人に映画館に来てもらうか、ということです。スクリーン数は増えてはいますが、ジャンルが偏ってしまうと、観る作品も人も限られてしまい、映画界全体が落ちこんでしまいます。我々は色々な可能性のある作品を応援していきたいと考えています。 

色々な可能性の一つとして、国際共同製作映画にも期待しています。今年(20185月)、日中映画共同製作協定が結ばれましたが、これから国際共同制作がもっと増えていくだろうと考えており、国際共同製作映画の製作支援に係る助成金も増額したいと考えています。

 

助成金を活用した、わかりやすい成功事例を上げるなら、どんな作品がありますか。

 実写では、『万引き家族』や『寝ても覚めても』といったカンヌ国際映画祭で注目を集めた作品が挙げられます。また、アニメでは『君の名は。』や『この世界の片隅に』などがあります。

大ヒットした作品への助成については賛否がありますが、ヒットするかどうかは申請段階では分かりません。映画を完成させるために必要な予算を様々なところから集めていただく中で、文化庁の助成金についても利用いただければと思います。

では、今後ますます映画制作者を応援していく!ということですね。

もちろん、文化庁は引き続き映画界全体を応援していきます。先にお話しした「2か年度助成」や、国際共同制作の補助金のほか、映画に関する人材育成や海外発信も増やせるようにと考えております。

~インタビューを終えて~  

 制作者の皆さんに「文化芸術振興費補助金」活用について質問すると、「どんな制度?」「申請難しいでしょ?」と逆質問を多くいただき、ならばと取材に赴いた文化庁。採択率3割と限られた国の予算の中、支援できなかった映画作品も数多くあるのが実態ですが、今年度から始まった2か年度助成等は、映画製作の予算課題をくみ取ったもので、現場の声が反映されているのを実感しました。

そもそも、映画を文化として10年間、助成金を出すなどして応援してきた文化庁にとって、『万引き家族』のパルムドール賞は、悲願だったそう。 「ここまで来るのに10年。長かったのか短かったのか分かりませんが、この功績を糧に、第二第三の映画『万引き家族』が生まれるよう、引き続き支援していきたい」と語る文化庁の方々は、日本映画に熱い想いを抱く製作・制作者の心強い味方だと感じました。

なお、『万引き家族』でパルムドールを受賞された是枝裕和監督も、ご自身のブログで文化庁の助成金への謝意を述べられているとともに、日本の映画産業の規模を考えると、まだまだ映画文化振興のための予算は少ない、と述べられています。文化庁には、より一層、映画振興のため頑張っていただきたいと思います。

 (是枝監督の公式メッセージ「KORE-EDA.com」:http://www.kore-eda.com/message/20180607.html

▶リンク

 映画製作への支援(文化芸術振興費補助金)http://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/eiga/seisaku_shien/

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