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ホーム > 映像関係者の声 > 監督インタビュー > 数々の映画賞を受賞した衝撃作から16年 女優・藤山直美との黄金タッグ再び

数々の映画賞を受賞した衝撃作から16年 女優・藤山直美との黄金タッグ再び

2016.06.08
映画監督
阪本順治さん
藤山さんとのタッグは、日本アカデミー賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞した『顔』以来ですね?
藤山さんとのタッグは、日本アカデミー賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞した『顔』以来ですね?

 藤山さんのスケジュールが近々ぽっかり空きそうだという話を聞きまして。常に数年先まで仕事が詰まっている方ですし、『顔』の時はオファーから撮影まで3年半かかりました。今回は即やらねばと思い、打診したんです。

なぜ今作の舞台を団地に選ばれたのでしょう?

 ワンシチュエーションで、いろいろなことができると思いました。住宅が密集していて、お隣さん同士の距離が近い。情けの集合体ともいえる場所です。市井の人が住む閉ざされた空間でどういう事件が起こるとおもしろいのか、そこから物語を広げていきました。

舞台となる団地は大阪にあるという設定ですが、スケジュール的に関西ロケが難しかったこともあり、関東近郊で探すことになったそうですね?

 そのおかげで、スタッフにいい緊張感が生まれました。どうすれば大阪の団地に見えるのか、みんな必死でアイデアをめぐらせるんですよ。大阪で撮っていたらそんなこと気にもかけなかったと思います。助監督は実際に大阪の団地を覗きに行ってました。「監督!大阪では頰っかむりしたおばちゃんたちが、ひっくり返したビールケースに座ってずっと井戸端会議してます!」って(笑)

最終的にロケ地となったのは栃木県足利市にある錦町団地ですが、決め手は?

 1日、2日ではなく、人々が実際に生活している集合住宅に2週間お邪魔することになるわけです。だからこそ、映画作りに理解のある土地柄というのは大きな魅力でした。住民の方々にはご迷惑をおかけしたかと思います。朝から夜まで騒がしく、しかも団地は音が響く。でも、みなさん本当に協力的でした。「カーテン開けてくださーい」とか、「明かりを点けてくださーい」とか、果ては「ベランダに出て上を向いてくださーい」とか(笑)。これ、大阪だったら「じゃかあしい!」って追い出されてるんじゃないかな(笑)

ロケ地選びの際にこだわりはありますか?

 万人が知っているような場所はつまらないんです。普段陽の当たらないところにわざわざライトを持って行き、光を浴びせること。偉そうに言わせてもらえば、それが映画かなって。場所だけじゃなく人も、ですね。知らない土地へ行くと、同じ日本人でも全く異なる気質や風習を持っていることがわかります。以前、『大鹿村騒動記』の撮影で長野県の隠れ里を訪れたんですが、そこは本当におもしろかった。「私たちは譲らない性格なので」と言って、走っている車の真正面を歩いてくるんですよ(笑)。その土地ごとに自尊心というものがあり、それは僕らが持っているものとは違ったりする。そういったひとつひとつに触れて、学ぶことが、映画作りの肥やしになります。大切なのは、ただ「撮らせてもらう」のではなく、許される範囲でそこに住む人々を巻き込み、映画作りに参加してもらうこと。これは、大阪ロケで覚えた秘訣です。撮影にクレームをつけてきたおっちゃんに「スミマセン、ちょっと手伝ってもらえませんか?」と頼んでみたら、おっちゃんがスタッフばりに交通整理を始めてくれて(笑)。一緒にモノを作るというのはかけがえのない記憶になる。これからの日本映画の発展のためにも、大事なことだと思っています。

 

 

 

 

 

 

藤山さんとのタッグは、日本アカデミー賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞した『顔』以来ですね?
藤山さんとのタッグは、日本アカデミー賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞した『顔』以来ですね?

 藤山さんのスケジュールが近々ぽっかり空きそうだという話を聞きまして。常に数年先まで仕事が詰まっている方ですし、『顔』の時はオファーから撮影まで3年半かかりました。今回は即やらねばと思い、打診したんです。

なぜ今作の舞台を団地に選ばれたのでしょう?

 ワンシチュエーションで、いろいろなことができると思いました。住宅が密集していて、お隣さん同士の距離が近い。情けの集合体ともいえる場所です。市井の人が住む閉ざされた空間でどういう事件が起こるとおもしろいのか、そこから物語を広げていきました。

舞台となる団地は大阪にあるという設定ですが、スケジュール的に関西ロケが難しかったこともあり、関東近郊で探すことになったそうですね?

 そのおかげで、スタッフにいい緊張感が生まれました。どうすれば大阪の団地に見えるのか、みんな必死でアイデアをめぐらせるんですよ。大阪で撮っていたらそんなこと気にもかけなかったと思います。助監督は実際に大阪の団地を覗きに行ってました。「監督!大阪では頰っかむりしたおばちゃんたちが、ひっくり返したビールケースに座ってずっと井戸端会議してます!」って(笑)

最終的にロケ地となったのは栃木県足利市にある錦町団地ですが、決め手は?

 1日、2日ではなく、人々が実際に生活している集合住宅に2週間お邪魔することになるわけです。だからこそ、映画作りに理解のある土地柄というのは大きな魅力でした。住民の方々にはご迷惑をおかけしたかと思います。朝から夜まで騒がしく、しかも団地は音が響く。でも、みなさん本当に協力的でした。「カーテン開けてくださーい」とか、「明かりを点けてくださーい」とか、果ては「ベランダに出て上を向いてくださーい」とか(笑)。これ、大阪だったら「じゃかあしい!」って追い出されてるんじゃないかな(笑)

ロケ地選びの際にこだわりはありますか?

 万人が知っているような場所はつまらないんです。普段陽の当たらないところにわざわざライトを持って行き、光を浴びせること。偉そうに言わせてもらえば、それが映画かなって。場所だけじゃなく人も、ですね。知らない土地へ行くと、同じ日本人でも全く異なる気質や風習を持っていることがわかります。以前、『大鹿村騒動記』の撮影で長野県の隠れ里を訪れたんですが、そこは本当におもしろかった。「私たちは譲らない性格なので」と言って、走っている車の真正面を歩いてくるんですよ(笑)。その土地ごとに自尊心というものがあり、それは僕らが持っているものとは違ったりする。そういったひとつひとつに触れて、学ぶことが、映画作りの肥やしになります。大切なのは、ただ「撮らせてもらう」のではなく、許される範囲でそこに住む人々を巻き込み、映画作りに参加してもらうこと。これは、大阪ロケで覚えた秘訣です。撮影にクレームをつけてきたおっちゃんに「スミマセン、ちょっと手伝ってもらえませんか?」と頼んでみたら、おっちゃんがスタッフばりに交通整理を始めてくれて(笑)。一緒にモノを作るというのはかけがえのない記憶になる。これからの日本映画の発展のためにも、大事なことだと思っています。

 

 

 

 

 

 

作品情報
映画『団地』

家業の漢方薬局をたたみ、大阪近郊の団地に移り住んだ夫婦。妻のヒナ子(藤山直美)はパートに出かけ、夫の清治(岸部一徳)は裏の林を散策するのが日課という静かな毎日を送っている。腰は低いがどこか世を捨てたような雰囲気に、住民たちは好奇心を隠せない。いつしか清治が姿を見せなくなったことで彼らの妄想が膨らみ、ヒナ子が清治を殺して死体を隠しているという噂が流れ始める。そんなある日、漢方店の顧客だった奇妙な青年・真城(斎藤工)がとんでもない願い事を携えてやって来て…。

 

 脚本・監督:阪本順治

出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工、冨浦智嗣、竹内都子、濱田マリ、原田麻由、滝裕可里、宅間孝行、小笠原弘晃、三浦誠己、麿赤兒 ほか

配給:キノフィルムズ

有楽町スバル座、新宿シネマカリテ他 全国公開中

©2016「団地」製作委員会

 

阪本順治(さかもと・じゅんじ)

1958年生まれ、大阪府出身。89年、『どついたるねん』で監督デビューし、芸術推奨文部大臣新人賞をはじめ数々の映画賞を受賞。『顔』(00)では日本アカデミー賞最優秀監督賞、毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞などに輝く。その他の代表作に『KT』(02)、『亡国のイージス』(05)、『座頭市 THE LAST』(10)、『大鹿村騒動記』(11)、『北のカナリアたち』(12)、『ジョーのあした−辰吉丈一郎との20年−』(16)など多数。
※「吉」の正確な表記は(「土」の下に「口」)、「丈」の正確な表記は右上に点

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