プロデューサーインタビュー

2018.11.22

株式会社ロボット創業者・阿部秀司さんインタビュー/地元協力×鉄道撮影技術で魅せる、家族の物語(かぞくいろーRAILWAYS わたしたちの出発―)

プロデューサー阿部秀司

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  • ――『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』に続く最新作『かぞくいろーRAILWAYS わたしたちの出発―』が肥薩おれんじ鉄道を舞台に撮影された。前シリーズとは違い主人公は若い女性とその義父の二人で、鉄道会社も第三セクターだ。今回のロケ地を選んだ経緯や、今までのシリーズとの違いについて、阿部秀司エグゼクティブ・プロデューサーへのインタビューを実施した。
    ――肥薩おれんじ鉄道を物語の舞台に描かれたのは、どういった経緯だったのでしょうか。

     知人から「天文館シネマパラダイス」という鹿児島のシネコンのこけら落しに『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』を上映したいと連絡を受けたのが、縁の始まりです。その時に「肥薩おれんじ鉄道で映画を撮って欲しい」と言われました。ちょうど「RAILWAYS」の最新作をどこで撮ろうか、ということを検討していた時でしたし、鹿児島の皆さんも協力的だったので、最終的に鹿児島で撮影することになりました。

  • ――女性運転士が免許取得の研修を受けるシーンは、通常は見ることのない内部の映像で、とても勉強になり面白かったです。鉄道の研修センターや運転席などは、一般人はなかなか入れない場所かと思います。映画で撮影するのも難しいのではないでしょうか。

     そこは、RAILWAYSシリーズで培った経験値などでクリアしています。例えば研修のシーンですが、肥薩おれんじ鉄道の運転士になるには、JR九州が持っている試験センターに入らないといけません。第3セクターで、自社で研修施設を持っていないのです。そこで、JR九州にお願いして撮影をしています。先方は鉄道の映画ですし、今までの私たちの活動を知っているから快く応援してくださいました。

    ――鉄道の映画というのは、普通の映画とはまた違った撮影テクニックも必要となってくるのでしょうか。

     運転の撮影に関しては、「どうやったら運転しているように見えるか」というノウハウを私たちは前作で見つけています。免許を持っていない人間が電車を運転したら、交通違反になります。でも映画上では運転していないといけません。だから、運転士の役者が運転しているように見える撮り方をしているのです。更に、そのテクニックも、鉄道会社が撮影用のダイヤを組んで電車を走らせてくれないと使えません。一番大事なのは、それぞれの会社の人たちが協力してくれることです。今回も凄く協力していただきました。

  • ――撮影用のダイヤはどんな風に組まれるのでしょうか?

     シーンに応じて鉄道会社にダイヤを組んでいただきます。実際営業している中に撮影用のダイヤを組み込んでいただくので、自動車のように「これから行きますよ」という風にはできません。営業時間の中で、撮影用に動かせる時間が決まっているのです。撮影は事故が起きたら終わりなので、結構大変でした。そうやってきっちりと撮影を進めるので、鉄道会社の方だとしても映画づくりを分かっている人でないと、実現できませんね。

    ――映画冒頭とラストに出てきた、電車が一斉に交差していくのを歩道橋から眺めている場所が、とても印象的でした。ロケ地はどこでしょうか。

     JR池袋駅です。赤羽方向に行ったところにある陸橋で、湘南新宿ライン・山手線・赤羽線・東上線など4本ぐらいの鉄道が交差しています。あそこは跨線橋としても非常に重要な役どころだったので、どこで撮影するのか熟考しました。三鷹の方にも同じような場所があるのでロケハンしたのですが、電車が行き交うタイミングを見るのが大変でしたので、結果的に池袋に落ち着きました。

  • ――今回のキャスティングで有村架純さんをキャスティングされたのは、阿部さんだとお聞きしました。有村さんは何が決め手で指名されたのでしょうか。

     有村架純さんは『あまちゃん』の時から良い女優さんだと思っていました。また、所属事務所のフラームの方とも古い付き合いで、いつか何かを一緒にやりたいと話してもいました。誰が主演になるか、というのは映画にとって大きなことです。やはり映画はキャストの知名度や人気で見る方も多いので、「無名だけど演技が素晴らしい」という方はキャスティングしにくい世界でもあります。有村架純さんは人気も出てきましたし、『ひよっこ』で全国的に名前も知られました。現地でも「有村架純でいきます」と言ったら皆さん喜んでいましたね。主演のキャスティングには地元の方の応援もいただけるという、色々な要素があります。また國村さんもキャスティングされていますから、今までの「RAILWAYS」ファンへの間口もあり、結果的に観客層が広がったかと思います。

    ――子役の歸山竜成さんも阿部さんがキャスティングされたのでしょうか。

     いいえ、オーディションで決定しました。子役はキャスティングが一番難しかったです。歸山君のほかに凄く器用でうまい子がいましたが、その子に比べると歸山君は全くの未知数でしたね。でも可愛かったのです。採用したら苦労するだろうなとは思ったのですが、彼に決めました。とても心配していたのですが、本番には強い子でしたね。彼の演技の中でとても心揺さぶるところがあったのですが、あんな風になるとは誰も期待していなくて。そこまでできるのか、と驚きました。普段はぼーっとしている子なのですが、キャメラの前に立つと変わりますね。

  • ――タイトルに「かぞくいろ」という言葉があるとおり、今回は「家族」にフィーチャーした映画という認識でしょうか?

     今までの『RAILWAYS』シリーズは、電車や鉄道ファンが見た時に、物語はもちろん、車両にもデザイン性があり注目してもらえる作品でした。対して、肥薩おれんじ鉄道は、サービスや景観は素晴らしいのですが、「車両」という観点では際立つ珍しさはありませんでした。だから今回は鉄道ファンというよりも映画ファンに楽しんでもらえるような、ドラマに力を入れたものになっています。女性の運転手の話で、そこに関わってくる家族がいる。だから「かぞくいろ」という話になっています。今までは定年・中年・離婚という身につまされるような世界でしたが、今回は彼女が主人公になりその層にも他の層にも間口が広くなりましたから、幅広い方に観てもらえるのを期待しております。

    ――ありがとうございました。
INFORMATION

映画『かぞくいろーRAILWAYS わたしたちの出発―』

 (STORY)

晶は、夫・修平とその連れ子・駿也と東京で幸せに暮らしていたが、修平の突然の死で生活は一変。残された駿也と共に夫の故郷・鹿児島へ向かい、まだ会ったことのない義父の節夫を訪ねる。節夫は、運転士の仕事一筋で家族を顧みずに生きてきたが、突然やってきた晶たちを戸惑いつつも受け入れ、3人の共同生活が始まった。そして晶は、亡き修平の子供の頃の夢でもあり、電車好きな駿也のため、鉄道の運転士を目指すことに。「このままじゃダメだって分かってます。変わりたいんです。」血のつながらない息子の母として、そして運転士になるためまっすぐに生きようとする晶の姿に、これまでの人生で見出せなかった<大切なこと>に気づいていく節夫。愛する人を亡くし、一度家族を失った3人は、もう一度<家族>になれるのだろうかー――。

 

©2018「かぞくいろ」製作委員会

11月30日(金)全国公開

配給:松竹

出演:有村架純、國村 隼、桜庭ななみ、歸山竜成/木下ほうか、筒井真理子/板尾創路、秋山崇高

監督・脚本:吉田康弘

 

阿部秀司(あべ・しゅうじ)エグゼクティブプロデューサー

1949年、東京都生まれ。株式会社阿部秀司事務所 代表取締役・プロデューサー。株式会社ロボット創業者・顧問。CMプロデューサー、クリエイティブディレクターを経て、1986年に株式会社ロボット設立。映画『ALWAYS三丁目の夕日』(05)で第25回藤本賞・特別賞受賞。『永遠の0』(13)、『STAND BY ME ドラえもん』(14)、『海賊と呼ばれた男』(16)、『DESTINY鎌倉ものがたり』(17)等でエグゼクティブプロデューサーを務める。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(10年)、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(11年)では製作総指揮を務めている。

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