監督インタビュー

2018.03.09

福士蒼汰の華麗なアクション!美男子達の友情劇に女心鷲掴み/皆で作るのが映画。意見する人がいい

映画監督本広克行

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  • ――今作では、特に“女性目線”を意識されたそうですね?

     映画館に来るお客さんは女性の割合が高いので、女性の心に響くポイントを押さえるように考えて作っています。男性キャストは、時代劇に出てくる、いわゆる武士!というイメージではなく、現代の、細身でお洒落でキラキラしたイメージがいいと思いました。でも演出は、ただカッコイイだけではなく、兄弟の絆や友情など「人の為に何ができるのだろう」という愛情の話を軸に、主人公の天火(福士蒼汰)がまっすぐに喜怒哀楽をあらわす姿を描いています。

    ――全六巻に渡る原作を、一時間半に収めるのは大変だったのではありませんか?

     皆に言われますね。原作全てを描くと尺におさまらないので、今回の映画に必要な要素を取捨選択し、なるべくシンプルな話になるように心がけました。自分の中では、尺にあわせた描き方の攻略法が出来上がっています。以前、妻に映画館に行かない理由を聞いたら、時間が長いからと言われました。最近は予告編も流れますし、上映時間が二時間以上になると躊躇してしまうそうです。「じゃあ上映が一時間ぐらいだったらどう?」と聞いたら「それなら女性は行くわよ」と聞いて、時間を削るようにしました。

  • ――原作に登場する雲神社は、どこで撮影されましたか?

     天火(福士蒼汰)が守る雲神社は、原作では大津市にある唐崎神社がモデルになっています。ただ、唐崎神社は現代物が非常に多いなどの理由から、映画では日吉大社で撮影しました。煌びやかで、東照宮を移築したような美しい彩りで、素晴らしい場所でした。普段は入れない場所ですが、今回は撮影のために特別許可をいただきました。地元の方がとても協力的で、とてもラッキーでした。滋賀フィルムコミッションの方たちともすっかり仲良しになりましたね。

    ――ロケ地となった滋賀県で、地元の方とのエピソードがあれば教えてください。

     滋賀県は、この映画以外にも撮影したことがあるのですが、みなさんが本当に協力的で助かっています。この間は、フィルムコミッションの方が「『曇天に笑う』のせんべいを作ってみました」と言ってサンプルを持ってきてくださいました。たぶん僕が映画のグッズを作るのが好きだということをご存じなんでしょうね(笑)。唐々先生の絵も描いてあって、これは僕も欲しいと思いました。

  • ――風魔のアジトである獄門処(絶対脱獄不可能な監獄)は、どこで撮影されたのですか?

     外は、琵琶湖に浮かぶ竹生島がモデルで、中は栃木県の大谷石地下採掘場跡にセットを組んで撮影しました。大谷石地下採掘場跡を選んだのは、夏でも涼しいから。アクションシーンが多いので、役者が暑さで体力を消耗しすぎない場所というのも重要でした。

    ――天火(福士蒼汰さん)が滝行をするシーンは、どこで撮影されたのですか?

     神奈川です。御殿場の方だったと思います。滝壺の近くまで人が入れる滝がなかなか見つからなかったのですが、そこでは可能だったので、滝行のシーンだけを撮りにわざわざ行きました。

     福士君に会った時、本人から身体を鍛えていると聞いて実際見せてもらったら綺麗な体でね。「これは記録に残しておこう!」という話になりました。天火は宮司さんなので、一応、撮影の前には使い捨てのカメラを使って禊をして、撮影に入りました。映画の中では、経を唱えて、神様にお願いするシーンを随所にいれました。

  • ――福士蒼汰さんのアクションシーンは、スピード感が凄いですね!

     僕がドラマ『SP』という作品でも演出で使用した、“カリ”という手首で戦う武術を用いています。役者たちがアクション練習をしているV6の岡田さんのチームがあるのですが、福士君もそこで習っていたので、今作のアクションにも活かしました。彼の武器は鉄の扇子で、叩かれるともの凄く痛いのです。これを組みあわせると良いのではないかとアクション監督とアイデアを出し合って、ああなりました。福士くんは飄々とやるのですが、手足も長いので、舞を舞っているように華麗に見えて、演出で桜吹雪を吹かせたいくらい格好良いシーンになりました。

    ――監督は、スタッフやキャストなど、多く人の意見を聞いて作品を作ると伺いました。

     一時期、映画づくりに対して、後ろ向きの気持ちになっていた時期がありました。自分の中で、制作手法の正解があるので、その正解に乗せると、全部同じ映画になるわけです。同じようなロケ場所で、同じように撮影して、同じように良かったねーなんて言われているうちに、このままではまずいと感じました。映画監督の仕事は、大体そうしたことで精神的にしんどくなっていくと思います。僕の場合は「自分に補佐をつけたらどうだろう?」「皆にロケハンとか任せてみたら良いのでは?」と考えたら、抜け出すことが出来ました。だから、映像のことならカメラマンといったふうに、それぞれのプロにお任せしています。そうすることで、自分が思ってもいなかったアイデアに出会うことができ、映画の幅が広がる気がします。

  • ――今後、監督が一緒に働きたいスタッフ像はありますか?

     僕は、まだ下積みの頃、先輩方から「お前の意見はどうでもいいんだよ」と言われた時、「でも先輩たちの演出は違う!」と思っていました。だから、今の若い子たちも意見を言えないのだろう、と思っています。僕は“皆で作るのが映画”だと思っているので、言われたことをただやるのではなく、意見を言う人がいいですね。

    普通は、仕事をとられると思うから後輩に意見を出させないのですが、僕の場合は意見をどんどん出させます。そうやって多くの優秀な監督がうちの組から羽ばたいてきましたが、僕自身も仕事のオファーが増えています。またそれが新たな試練にもなるのですが(笑)。

    ――ありがとうございました。
INFORMATION

映画『曇天に笑う』

(STORY)

文明開化が進む明治初期、滋賀県の琵琶湖湖畔に建つ曇神社の14代当主・天火(福士蒼汰)は、弟の空丸(中山優馬)、宙太郎(若山耀人)、そして元忍者で居候の白子(桐山漣)と暮らしていたが、このところ大津では曇天が続き、オロチ(大蛇)の復活が近いのではないかと恐れられていた。政府の特別チーム“犲”がオロチ復活を阻止しようと動いている中、忍者集団・風魔一族はオロチのパワーを利用して政府転覆を画策。その風魔に空丸を連れ去られてしまった天火は、弟を助けるため戦いに挑む。

  

監督:本広克行 原作:唐々煙 

出演:福士蒼汰、中山優馬、古川雄輝、桐山漣、大東駿介、小関裕太、市川知宏、加地将樹/若山耀人/東山紀之ほか

3月21日(水・祝)全国ロードショー

(C)2018映画「曇天に笑う」製作委員会

(C)唐々煙/マッグガーデン

 

本広克行(もとひろ・かつゆき)監督

1964年、岡山県生まれ。映画監督・プロデューサー、テレビドラマ演出家、TVCM企画演出、演劇プロデューサー。1981年、日本テレビ系ドラマ『プロハンター』にて17歳で監督デビュー。日本国内でもロケーションされた『ブラック・レイン』R.スコット監督作品の日本側プロデューサーを務めている。主な国内監督作品に、ドラマ『SP』シリーズ、ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズ、映画『UDON』(06)、『少林少女』(08)、『幕が上がる』(15)、『亜人』(17)などがある。

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