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監督インタビュー

2016.12.27

直木賞「破門」映画化!やくざとヘタレの大追跡アクションコメディ/詐欺師とプロデューサーは紙一重?

映画監督小林聖太郎

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  • ――主演2人のキャスティングについて聞かせてください

     僕が作品に加わった時には、主演が佐々木蔵之介さんに決定していて、相手役を決めるところからキャスティングがはじまりました。候補に横山くんの名前があがった時は、まだ彼のお芝居の印象がなかったので、彼の作品を色々と観て、結果「いけるかも」と思いました。

     蔵之介さんと横山くんは、本読みの段階で、初対面とは思えないほど息があってしまいまして。でも、2人の関係は別に漫才コンビでも何でもない。つまり息が合い過ぎるのも違うんです。お互いを都合良く利用している関係なので、そこを意識してもらうところから始まりました。

    ――横山裕さん演じる二宮の“へたれ”キャラ、とてもいいですよね

     本当にイラッとしますよねぇ(笑)。蔵之介さんが「ほんまにムカつくわぁ!」って言って、何回か本当にグーで殴っていた時があったくらいで。二宮が桑原(佐々木蔵之介)に「びびったんすかぁ?」って聞くシーンは、「今のホンマに腹立つわ!」って、その場にいた全員の意見が一致しました(笑)。

  • ――作品の舞台は、大阪ですね。撮影も、ほぼ大阪ですか?

     大阪が舞台ですが、実はあまり大阪で撮っていません(笑)。横山君演じる二宮の事務所もアメリカ村の外れの雑居ビルで撮りましたが、交通量の関係でビル前に駐車したままでの撮影は難しくて。佐々木さん演じる桑原の車の中でのシーンは、大阪市内の駐車場に、グリーンバックを立てました。「何で大阪で大阪の背景合成してんねん!」とツッコまれましたけど(笑)、芝居をしっかり撮るためにはこういう手法もアリかなと思います。ちなみに桑原と二宮がハルカスの前を歩くシーンを撮ったのは錦糸町で、少し古くてごちゃついた街の雰囲気が、ハルカスがある阿倍野区とどことなく似ているなぁと思いました。

     二宮の実家は、外観は大阪市大正区で撮っているのですが、中は、足利市にある今使われていない古い感じの民家をお借りして撮影しました。

    ――マカオのカジノシーンは、どのように撮影したのですか?

     本当はマカオのカジノで撮影するはずだったのですが、カジノに人がいる状態を映すのはロケハンでもだめだと言われて、結局撮影許可が下りませんでした。

     結局マカオでは、街並みや実景だけを撮って帰って、カジノは幕張のホテルの宴会場で、小清水の潜伏部屋はお台場のホテルで撮影しています。グリーンバックでカジノ台とエキストラを倍に増やしたり、鏡を使って奥行きを出すなど工夫しました。劇中で登場するポールダンサーはモルドバ共和國の人です、下半身しか写ってませんけど。

  • ――桑原が行きつけの、カラオケスナックのロケ地はどこですか?

     あれは、室内も外観も赤羽のスナックで撮りました。実は、あのカラオケの映像も作りこんであるんです。

     普通カラオケでは、英語の歌詞の上にはカタカナで読み仮名が出るのですが、英語をわからない人にも歌詞の意味を分かって欲しかったので、わざと訳詞を乗せています。普通のカラオケではあり得ない映像になっています。カラオケモニター内の映像は、渋谷にある「dining&bar KITSUNE」というバーで撮影しました。 

    ――ロケ地で、特に印象に残っている場所はありますか?

     あべのハルカスは、撮影の条件が朝の5時から搬入、9時に完全撤収というタイトなスケジュールでした。その上、館内に身長8メートルのクリスマス仕様の熊の飾りがありまして…映画は9月頃の設定で撮っていたのですが、撤去できないと言われ、それを隠すのに苦労しました。秋用の飾りで、熊の下の方3メートルぐらいを隠すことにしたのですが、その作業込みで4時間しかなかったので大変でしたね。

  • ――撮影は、どのように進んでいったのでしょうか?

     撮影初日が、玲美(橋本マナミ)のアパートで滝沢組が包丁を出すというすごい乱闘シーンでした。まだ佐々木蔵之介さんと「桑原のキャラ設定、どうしましょう?」なんて話している時でしたから、結構きつかったですね。翌日の撮影も、小清水の家の前で桑原と滝沢組がぶつかる乱闘シーンだったので、2日間連続で大変でした。

     また、ある乱闘シーンで、原作では”おたま“が使われていたのを、映画では”菜箸“にしました。鉄製の串なども考えたのですが、刺さりすぎるのもあれかな、と思って。まあ実際に木の菜箸で戦って、あそこまで痛がるかどうかは分からないですが、そこらへんは「映画やなぁ」と思って楽しんでいただけたらと思います(笑)。

    ――愛媛の実景がとても綺麗でした。どのように撮影されたのですか?

     実際に愛媛まで行きまして、広島の空港から1時間ぐらいの”しまなみ海道“を、空撮で撮りました。ドローンで撮影する案もあったのですが、高さとスピードが足りなくて、少人数でヘリコプターに乗ってワンカットで撮影しました。 

  • ――(監督の仕事でもある)映画製作を題材にしているのもおもしろいですね。

     そうですね。原作のラストは伝聞で「桑原も最近は事務所に来てないらしい」「小清水も行方が知れない」といった二宮の独白で終わるのですが、映画ではピリオドをつけるために、「こいつ詐欺師やけど、やっぱ映画作りたかったんやな」というシーンを入れました。

     プロデューサーと詐欺師ってかなり紙一重だと思うんですよね。先月、1500万の詐欺で捕まった映画プロデューサーがいますが、映画ができたらプロデューサーだし、できなかったら詐欺師になりますよね。(原作者の)黒川さんはそういった生々しい事件も題材として取り上げていて、目の付けどころがすごいと思います。描写はかなりリアルだと思うので、プロデューサーの方にも観て欲しいです。

    ――最後に、映画をご覧になる方へ、メッセージをお願いします

     やくざは出てきますが、やくざ映画ではありません。大ざっぱにジャンル分けすると、バディムービーになりますが、劇中の桑原と二宮は自分たちをバディだと思っていません。でも、自分が金儲けするためとか、窮地を脱するためには、どうもコイツと組まざるを得ない状況というか。そういう、”イヤな奴とどうつきあうか”を、我が身を振り返る機会にしていただければいいですね。「何でこんな奴と結婚したんだろう?」とか言いながらも何とか上手くやっていくように、あんまり深く考えず楽しく観られる映画になっているので、ぜひ観て頂ければと思います。

映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』

(STORY)

建設現場での暴力団対策、通称“サバキ”を請け負う建設コンサルタント・二宮(横山裕)は、仕事を通じて知り合った二蝶会のイケイケやくざ・桑原(佐々木蔵之介)に振り回されっぱなしの毎日を送っていた。ある日、二宮は映画プロデューサーの小清水(橋爪功)が持ち込んだ映画企画を二蝶会の若頭・嶋田(國村隼)に紹介。二宮を幼い頃から知る嶋田は二蝶会系列の会社名義で出資するが、小清水は愛人と一緒にその金を持ち逃げしてしまう。キレた桑原は、出資金回収のため二宮を連れて小清水が潜伏するマカオへと向かう。

 

監督・脚本:小林聖太郎 原作:黒川博行 脚本:真辺克彦、小嶋健作

出演:佐々木蔵之介、横山裕、北川景子、濵田崇裕、橋本マナミ、國村隼、橋爪功 ほか

1月28日(土)より全国ロードショー

©2017「破門 ふたりのヤクビョーガミ」製作委員会

 

小林聖太郎(こばやし・しょうたろう)監督

1971年生まれ、大阪府出身。『ナビィの恋』(98)、『パッチギ!』(04)などの演出助手を経て、06年に『かぞくのひけつ』で長編劇映画監督デビュー。『毎日かあさん』(11)では第14回上海国際映画祭アジア新人賞部門で最優秀作品賞を受賞した。黒川博行作品を手掛けるのは、脚本も担当した連続ドラマW『煙霞‐Gold Rush‐』(2015/WOWOW)に続いて2作目。

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