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ホーム > 映像関係者の声 > 監督インタビュー > 笑って泣ける人情劇/原田組は”監督に直接相談する”べし

笑って泣ける人情劇/原田組は”監督に直接相談する”べし

2015.05.13
映画監督
原田眞人さん
映画『駆込み女と駆出し男』に原田眞人監督が込めた思いを教えてください
映画『駆込み女と駆出し男』に原田眞人監督が込めた思いを教えてください

 2002年に俳優として出演した『ラスト サムライ』で書寫山圓教寺を見て以来、ここをメインのロケ地にした作品を撮りたいと思っていました。時代劇を撮るのは14〜15歳で抱いた夢。そう思えば構想50年の作品です。

 心がけたのは時代劇の常識にとらわれないことです。まげは小さくし、当時の絵に実際に描かれたものを再現し、衣装にこだわりました。甚句や巡礼歌などの音曲も、当時の人たちが実際に聞いていたものを使っています。才能ある役者たちが、その意図を理解し、小道具を活かしてくれました。現場は「新しいものを作っている」という意気に満ちていたと思います。

 ブルーカラーの女性をヒロインにしたのも日本の時代劇にはなかったことです。本格派時代劇を作るためには女の立ち役が重要だと考え、「鉄練り」の女をヒロインにして原案からの名を変え、字幕にしても外国人になじみやすい「じょご」に決めると、すべてがスムーズに進み始めた感がありましたね。これで世界仕様になったと思いました。

 今よりもっと厳しい時代、虐げられながらも健気に闘った人々がいることを知って、元気になってもらえればと思います。

監督の考えるロケ地の大切さ、こだわりを教えてください。

『駆込み女と駆出し男』は書寫山圓教寺(兵庫県姫路市)ありきの作品です。古いロケ場所からはインスピレーションを得ることが多い。これは、都会での現代モノの撮影ではないことです。強烈な個性を持った歴史ある建物に対峙すると、あれもこれもと撮影のアイデアが沸きますね。本作でも、おゆきの妊娠にまつわる大審問の場面は最初狭いエリアでの撮影を意図して脚本を書いていたのですが、圓教寺境内の広大な空間を活かすために脚本を変更しました。

 戸田恵梨香さん演じるじょごと、満島ひかりさん演じるお吟の2人が駆込みを果たす東慶寺までの道中は、一番ロケハンにこだわりました。この場面ではゴルフ場も使っています。「なんでゴルフ場を時代劇に使わないの?」って前から思っていました。ゴルフ場は自然の中にあるわけだし、コースは開発されているけどカートロードはスタッフの車が入りやすくて、コースとコースの間に手つかずの自然がいっぱいあるからすごく撮りやすいんですよ。

撮影では、キャストの方々の意見も取り入れることはありましたか。

今までにない時代劇をつくりたかったので、江戸時代の所作など基本部分は訓練してもらったけど、撮影中は役者の意見にも耳を傾けました。いいコミュニケーションができたと思います。

作品を観てロケ地に人が注目して地域が活性化されることについて、監督はどうお考えですか?

大歓迎です。ですが今回のロケを通して古刹名刹を訪れて、「こんなところまでいたずら書きしてるのか」と観光客のモラルのあり方について考えさせられましたね。映画で観るときれいなまっさらな建物なんだけど、実際行くと相当汚れていることが結構あります。いたずら書きを見ていく人たちが他の人に注意するくらいの気構えを持って、古いものは大切にしてほしいと思いますね。

監督が一緒に働きたいと思うスタッフにこれだけは欲しいと思う資質、心構えはありますか?

やっぱりコミュニケーション能力は第一だと思います。とにかく僕の組の場合は、「勝手に動かない」ということはよく言っています。監督が何をしているか理解する力でまずスタッフを考えているんです。あとは個々の能力が高くなくてはいけませんし、本作も脚本からずっとやっていますから、何かわからないことがあったらこっちへ相談してこなくてはいけない、それは誰か間に通してはいけない、ということをよく言っています。助監督のフォースやフィフスに美術はよく提案を通そうとしますが、そうではなく監督にきちんと直接話をしてほしいんです。日本人っていうのはいつも遠慮してしまうから、なかなかそれができないんですね。フォースとかフィフスに通してしまうと理解度が低いし、伝言ゲームになってしまって間違いが多くなります。わからないことがあったら、とにかくちょっと監督に質問してということはいつも言っています。

映画『駆込み女と駆出し男』に原田眞人監督が込めた思いを教えてください
映画『駆込み女と駆出し男』に原田眞人監督が込めた思いを教えてください

 2002年に俳優として出演した『ラスト サムライ』で書寫山圓教寺を見て以来、ここをメインのロケ地にした作品を撮りたいと思っていました。時代劇を撮るのは14〜15歳で抱いた夢。そう思えば構想50年の作品です。

 心がけたのは時代劇の常識にとらわれないことです。まげは小さくし、当時の絵に実際に描かれたものを再現し、衣装にこだわりました。甚句や巡礼歌などの音曲も、当時の人たちが実際に聞いていたものを使っています。才能ある役者たちが、その意図を理解し、小道具を活かしてくれました。現場は「新しいものを作っている」という意気に満ちていたと思います。

 ブルーカラーの女性をヒロインにしたのも日本の時代劇にはなかったことです。本格派時代劇を作るためには女の立ち役が重要だと考え、「鉄練り」の女をヒロインにして原案からの名を変え、字幕にしても外国人になじみやすい「じょご」に決めると、すべてがスムーズに進み始めた感がありましたね。これで世界仕様になったと思いました。

 今よりもっと厳しい時代、虐げられながらも健気に闘った人々がいることを知って、元気になってもらえればと思います。

監督の考えるロケ地の大切さ、こだわりを教えてください。

『駆込み女と駆出し男』は書寫山圓教寺(兵庫県姫路市)ありきの作品です。古いロケ場所からはインスピレーションを得ることが多い。これは、都会での現代モノの撮影ではないことです。強烈な個性を持った歴史ある建物に対峙すると、あれもこれもと撮影のアイデアが沸きますね。本作でも、おゆきの妊娠にまつわる大審問の場面は最初狭いエリアでの撮影を意図して脚本を書いていたのですが、圓教寺境内の広大な空間を活かすために脚本を変更しました。

 戸田恵梨香さん演じるじょごと、満島ひかりさん演じるお吟の2人が駆込みを果たす東慶寺までの道中は、一番ロケハンにこだわりました。この場面ではゴルフ場も使っています。「なんでゴルフ場を時代劇に使わないの?」って前から思っていました。ゴルフ場は自然の中にあるわけだし、コースは開発されているけどカートロードはスタッフの車が入りやすくて、コースとコースの間に手つかずの自然がいっぱいあるからすごく撮りやすいんですよ。

撮影では、キャストの方々の意見も取り入れることはありましたか。

今までにない時代劇をつくりたかったので、江戸時代の所作など基本部分は訓練してもらったけど、撮影中は役者の意見にも耳を傾けました。いいコミュニケーションができたと思います。

作品を観てロケ地に人が注目して地域が活性化されることについて、監督はどうお考えですか?

大歓迎です。ですが今回のロケを通して古刹名刹を訪れて、「こんなところまでいたずら書きしてるのか」と観光客のモラルのあり方について考えさせられましたね。映画で観るときれいなまっさらな建物なんだけど、実際行くと相当汚れていることが結構あります。いたずら書きを見ていく人たちが他の人に注意するくらいの気構えを持って、古いものは大切にしてほしいと思いますね。

監督が一緒に働きたいと思うスタッフにこれだけは欲しいと思う資質、心構えはありますか?

やっぱりコミュニケーション能力は第一だと思います。とにかく僕の組の場合は、「勝手に動かない」ということはよく言っています。監督が何をしているか理解する力でまずスタッフを考えているんです。あとは個々の能力が高くなくてはいけませんし、本作も脚本からずっとやっていますから、何かわからないことがあったらこっちへ相談してこなくてはいけない、それは誰か間に通してはいけない、ということをよく言っています。助監督のフォースやフィフスに美術はよく提案を通そうとしますが、そうではなく監督にきちんと直接話をしてほしいんです。日本人っていうのはいつも遠慮してしまうから、なかなかそれができないんですね。フォースとかフィフスに通してしまうと理解度が低いし、伝言ゲームになってしまって間違いが多くなります。わからないことがあったら、とにかくちょっと監督に質問してということはいつも言っています。

作品情報
映画『駆込み女と駆出し男』

(STORY)

質素倹約令の発令により庶民の暮らしに暗い影がさし始めた江戸時代後期。幕府公認の縁切り寺として知られる鎌倉の尼寺、東慶寺には、顔に火ぶくれのあるじょご(戸田恵梨香)や、日本橋唐物問屋堀切屋の囲われ者お吟(満島ひかり)など、さまざまな事情を抱えた女たちが離縁を求めて駆け込んできた。女たちの聞き取り調査を行う御用宿・柏屋に居候する駆出し戯作者で医者見習いの信次郎(大泉洋)は、ときに災難に巻き込まれながら、奇抜なアイデアと巧みな話術で複雑な男女のもつれをほどき、主人の源兵衛(樹木希林)とともに、ワケあり女たちの人生の再出発を後押ししていく。

 

監督・脚本:原田眞人

原案:井上ひさし『東慶寺花だより』(文春文庫刊)

キャスト:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、堤真一、山﨑努、内山理名、陽月華、キムラ緑子、木場勝己、神野三鈴、武田真治、北村有起哉、橋本じゅん、山崎一、麿赤兒、中村嘉葎雄 ほか

©2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会

2015年5月16日(土)全国ロードショー

 

原田眞人(はらだ・まさと)

 1949年、静岡県出身。79年に監督デビュー。『KAMIKAZE TAXI』(95)が海外でも高く評価され、その後『突入せよ!「あさま山荘」事件』(2002)、『クライマーズ・ハイ』(08)などの話題作を発表。『わが母の記』(11)でモントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ受賞。8月には『日本のいちばん長い日』が公開予定。

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