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ホーム > 映像関係者の声 > 監督インタビュー > 天才殺し屋が凡人に?今、最も動ける俳優・岡田准一が集積所ロケで大乱闘/CM界の鬼才が初めて挑む漫画原作映画は異例だらけ(映画『ザ・ファブル』)

天才殺し屋が凡人に?今、最も動ける俳優・岡田准一が集積所ロケで大乱闘/CM界の鬼才が初めて挑む漫画原作映画は異例だらけ(映画『ザ・ファブル』)

2019.05.07
映画監督
江口カンさん
CM界の鬼才ともいわれる監督ですが、映画作品は3作目。しかも漫画原作の映画を映像化することも初めてだとお聞きしました。今回オファーが来た時、どう作っていこうと思われましたか?

 今までCMを300本以上撮ってきて、場数を踏んだことが今の映画作りに役立っていると思います。今作の話を頂いて原作を読んだ時、僕が一番魅力だと思ったのは、大阪の太平市(架空の市)というごく普通の街で、皆が生活をしているすぐ隣に、実は殺し屋や裏社会の人間がいて、殺しや恐喝が起きているところ。リアルで面白いなと思いました。

漫画原作の実写化にあたり、一番気を使われたことはなんでしょうか。

 リアリティと虚構を描く、世界観をつくるのが凄く大変だったと思います。今作は圧倒的に“日常の中の非日常”を描く作品です。そのリアリティを追求しつつ、ギャグやアクションシーンではとんでもないことが起きる、というのが作りたかった世界観です。

 ロケ場所選びも、日常感を出す為に“誰もが身近に感じられるような、普通の場所”を探してほしいと制作部に伝えました。真黒カンパニーのビルのシーンで、要塞のようなビルも提案されたのですが、「どこにでもありそうな、駅前のビルにしてくれ」と。でもそれは、何を手がかりに探せばいいのか定まらず、逆に難しいんですよね。なので、人口がどれぐらいの街なのかというイメージなどから、選定していきました。

主演の岡田准一さんの印象は?

 ずっと仕事をしたかった方です。真っ当に話をする人ですよね。武道をやっているからか、礼儀もしっかりしていらっしゃいます。まだ完成していない脚本を持って挨拶に行ったのが最初の出会いですが、岡田さんも初めての漫画原作ということで慎重さを感じました。本人も、漫画原作についてどう向き合うのかを考えている最中だったのだと思います。今の岡田さんのパブリックイメージにはないコミカルな役ですが、岡田さんは絶対にコメディが好きだし、笑いのツボも知っている。今回思いっきり振り切って演じていただけたのではないでしょうか。

岡田さんは、他の作品でもスタントなしでアクションをされていますが、今回はいかがでしたか?

 ほぼ本人が演じていると言っていいと思います。岡田さん本人はマスクをしているので「全部僕じゃないってことにしておこうか」と言っていましたが(笑)。アクション指導のスタッフが見本をやってみせた後、5回位練習したら、すぐ習得されて、本番でしたね。アクション監督はフランス人でしたが、岡田さんのアクションについて「とにかく凄い。世界でもこんなに出来る人はそんなにいない」と言っていました。

スタント無しのアクションは、監督がお願いされたのですか?

 撮影現場では、岡田さん本人から「当然自分がやる」というオーラが出ていました。スタントマンを使うか否かの確認もなく、いつでもマスクを被ってカメラ前でスタンバイされていましたし、「このシーンはやらないかな」と思っても岡田さんを見て「あ、やるんだ」と(笑)。クライマックスの集積所で、壁づたいに進入していくシーンなんて、後姿ですからご本人かどうか分からないのに演じていただきました。顔が見えないので、手抜きもできるのですが、そこを敢えて自分で演じるというのが、こだわりを感じますし面白いですよね。岡田さんの場合は、アクションそのものが演技になっていると思います。ただアクションが出来ればいいというわけではなく、「アキラ」という人間がこのアクションをやるとしたらこういう動きだろう、と相当考えて演じていたと思います。

集積所での決戦シーンは、特に高度なアクション技術が必要に見えました。どのように撮影されたのですか。

 決戦シーンのアクションは、茨城県の“ごみ処理場跡地”で撮影しました。桟橋と穴は別の倉庫に作ったセットです。同じような階段が沢山ある入り組んだ構造で、まるで広い迷路のようでした。ファブルと組織の人間たちが大立ち回りを繰り広げるのですが、アクションシーンを撮りながら、次のセッティング変えをして、また次のアクションをどうしようかと岡田さんと僕とアクション監督で話し合って決めていきました。どのシーンをどこで撮ったか分からなくなりそうでしたね。ダレないようにするために、メリハリやバリエーションをいかにつけていくかを考えるのは大変でした。

大阪が舞台ですが、「普通」の場所を求めて、東京でも撮影されたそうですね。

 「普通の大阪らしさ」が出る場所で撮らなくてはと思って、大阪にもスタッフが写真を撮りに行ってくれたのですが、それは特にありませんでした。大阪の太平市(架空の市)は僕の中で東京・調布市のイメージに近かったので、結局東京で撮影場所を探しました。できるだけどこにでもある場所の感じを演出するために、電線をあえて沢山映しました。ラストシーンなんて電線がありすぎて「岡田さんの顔が見えない!」みたいな(笑)。ぜひ、電線を見てください(笑)。

飲食店のシーンも多くありました。ロケ地はどこですか?

 冒頭シーンの料亭はセットで、ヨウコと河合のいたバーは渋谷に実際にあるバーです。どこにでもある街を描いた大阪との対比で、最初のシーンは東京っぽく、都会的な場所を選びました。あのバーはエロさが決め手ですね。チャラ男の河合が、普段から女の子を口説くときに使っている場所なんじゃないですかね(笑)

監督がこれから一緒に働きたいと思う、スタッフ像を教えてください。

 プロというのは、常に良いものを作らないといけない。これはどの仕事のセクションでも同じだと思います。でも人間なので、実はワンパターンに陥っている時があると思うのです。「分かったぞ」と思った時が、実は一番危ない。それはパターンが出来ている時なので、守りたくもなってしまうと思います。でも、そこで守りに入らず自分のパターンを壊し続けることを楽しめる人と、一緒に仕事ができると嬉しいですね。僕自身もそうありたいと思っています。僕は、映画はまだ三本目で分からないことばかりですが、新規参入者にしかできないものがやりたいな、と思っています。

CM界の鬼才ともいわれる監督ですが、映画作品は3作目。しかも漫画原作の映画を映像化することも初めてだとお聞きしました。今回オファーが来た時、どう作っていこうと思われましたか?

 今までCMを300本以上撮ってきて、場数を踏んだことが今の映画作りに役立っていると思います。今作の話を頂いて原作を読んだ時、僕が一番魅力だと思ったのは、大阪の太平市(架空の市)というごく普通の街で、皆が生活をしているすぐ隣に、実は殺し屋や裏社会の人間がいて、殺しや恐喝が起きているところ。リアルで面白いなと思いました。

漫画原作の実写化にあたり、一番気を使われたことはなんでしょうか。

 リアリティと虚構を描く、世界観をつくるのが凄く大変だったと思います。今作は圧倒的に“日常の中の非日常”を描く作品です。そのリアリティを追求しつつ、ギャグやアクションシーンではとんでもないことが起きる、というのが作りたかった世界観です。

 ロケ場所選びも、日常感を出す為に“誰もが身近に感じられるような、普通の場所”を探してほしいと制作部に伝えました。真黒カンパニーのビルのシーンで、要塞のようなビルも提案されたのですが、「どこにでもありそうな、駅前のビルにしてくれ」と。でもそれは、何を手がかりに探せばいいのか定まらず、逆に難しいんですよね。なので、人口がどれぐらいの街なのかというイメージなどから、選定していきました。

主演の岡田准一さんの印象は?

 ずっと仕事をしたかった方です。真っ当に話をする人ですよね。武道をやっているからか、礼儀もしっかりしていらっしゃいます。まだ完成していない脚本を持って挨拶に行ったのが最初の出会いですが、岡田さんも初めての漫画原作ということで慎重さを感じました。本人も、漫画原作についてどう向き合うのかを考えている最中だったのだと思います。今の岡田さんのパブリックイメージにはないコミカルな役ですが、岡田さんは絶対にコメディが好きだし、笑いのツボも知っている。今回思いっきり振り切って演じていただけたのではないでしょうか。

岡田さんは、他の作品でもスタントなしでアクションをされていますが、今回はいかがでしたか?

 ほぼ本人が演じていると言っていいと思います。岡田さん本人はマスクをしているので「全部僕じゃないってことにしておこうか」と言っていましたが(笑)。アクション指導のスタッフが見本をやってみせた後、5回位練習したら、すぐ習得されて、本番でしたね。アクション監督はフランス人でしたが、岡田さんのアクションについて「とにかく凄い。世界でもこんなに出来る人はそんなにいない」と言っていました。

スタント無しのアクションは、監督がお願いされたのですか?

 撮影現場では、岡田さん本人から「当然自分がやる」というオーラが出ていました。スタントマンを使うか否かの確認もなく、いつでもマスクを被ってカメラ前でスタンバイされていましたし、「このシーンはやらないかな」と思っても岡田さんを見て「あ、やるんだ」と(笑)。クライマックスの集積所で、壁づたいに進入していくシーンなんて、後姿ですからご本人かどうか分からないのに演じていただきました。顔が見えないので、手抜きもできるのですが、そこを敢えて自分で演じるというのが、こだわりを感じますし面白いですよね。岡田さんの場合は、アクションそのものが演技になっていると思います。ただアクションが出来ればいいというわけではなく、「アキラ」という人間がこのアクションをやるとしたらこういう動きだろう、と相当考えて演じていたと思います。

集積所での決戦シーンは、特に高度なアクション技術が必要に見えました。どのように撮影されたのですか。

 決戦シーンのアクションは、茨城県の“ごみ処理場跡地”で撮影しました。桟橋と穴は別の倉庫に作ったセットです。同じような階段が沢山ある入り組んだ構造で、まるで広い迷路のようでした。ファブルと組織の人間たちが大立ち回りを繰り広げるのですが、アクションシーンを撮りながら、次のセッティング変えをして、また次のアクションをどうしようかと岡田さんと僕とアクション監督で話し合って決めていきました。どのシーンをどこで撮ったか分からなくなりそうでしたね。ダレないようにするために、メリハリやバリエーションをいかにつけていくかを考えるのは大変でした。

大阪が舞台ですが、「普通」の場所を求めて、東京でも撮影されたそうですね。

 「普通の大阪らしさ」が出る場所で撮らなくてはと思って、大阪にもスタッフが写真を撮りに行ってくれたのですが、それは特にありませんでした。大阪の太平市(架空の市)は僕の中で東京・調布市のイメージに近かったので、結局東京で撮影場所を探しました。できるだけどこにでもある場所の感じを演出するために、電線をあえて沢山映しました。ラストシーンなんて電線がありすぎて「岡田さんの顔が見えない!」みたいな(笑)。ぜひ、電線を見てください(笑)。

飲食店のシーンも多くありました。ロケ地はどこですか?

 冒頭シーンの料亭はセットで、ヨウコと河合のいたバーは渋谷に実際にあるバーです。どこにでもある街を描いた大阪との対比で、最初のシーンは東京っぽく、都会的な場所を選びました。あのバーはエロさが決め手ですね。チャラ男の河合が、普段から女の子を口説くときに使っている場所なんじゃないですかね(笑)

監督がこれから一緒に働きたいと思う、スタッフ像を教えてください。

 プロというのは、常に良いものを作らないといけない。これはどの仕事のセクションでも同じだと思います。でも人間なので、実はワンパターンに陥っている時があると思うのです。「分かったぞ」と思った時が、実は一番危ない。それはパターンが出来ている時なので、守りたくもなってしまうと思います。でも、そこで守りに入らず自分のパターンを壊し続けることを楽しめる人と、一緒に仕事ができると嬉しいですね。僕自身もそうありたいと思っています。僕は、映画はまだ三本目で分からないことばかりですが、新規参入者にしかできないものがやりたいな、と思っています。

作品情報
映画『ザ・ファブル』

(STORY)

裏社会に生きる天才殺し屋・通称“ファブル”(岡田准一)は、プロの道を究めるための試練として、ボス(佐藤浩市)から「大阪で一年間、誰も殺さず“普通”に暮らせ」と言い渡される。戸惑いながらも彼は、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と共に大阪で一般人としての生活をスタート。そこで知り合ったミサキ(山本美月)らと交流するうち、ファブルは穏やかな暮らしを知っていくが、ある時ミサキが裏社会の小島(柳楽優弥)に狙われ…。

 

監督:江口カン

原作:南勝久『ザ・ファブル』(講談社「ヤングマガジン」連載)

出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、

福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、佐藤二朗、安田顕、佐藤浩市 ほか

6月21日(金)全国ロードショー

©2019「ザ・ファブル」製作委員会

 

江口カン(えぐち・かん)監督

福岡生まれ。KOO-KI所属。ドラクエ(出演:のん、北大路欣也)、スニッカーズなど多数のCMを演出。Webムービーでは、「Baseball Party」(トヨタ)や「COME ON! 関門!」(北九州市・下関市)などのヒット作品を手掛け、国内外にて異例の視聴数を獲得。07-09年、カンヌ国際広告祭で三年連続受賞。13年、東京2020五輪招致PR映像のクリエイティブディレクションを務める。ドラマ「めんたいぴりり」が日本民間放送連盟賞・優秀賞を受賞。劇場映画作品は、「ガチ星」(2018)、「めんたいぴりり」(2019)、「ザ・ファブル」(2019)と続いている。

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